スキル
(一年目 七月二十七日)
ハチの巣退治の翌日、スドンとギリムはベッドで痛みにのたうちまわっていた。
驚いた玲奈は、学園の医務室に医者を呼びに行ったのだが、医者は玲奈たちを祝った。
一日のうちに一気に3もレベルが上がったために、急激な体の変化によって生じた症状だという。
つまり、強烈な筋肉痛のようなものだと玲奈は理解した。安静にしていれば、一日か二日で治まるらしい。
まあ別に、今のところ玲奈たちに急がなければならない予定もなかった。
昨日のハチの巣退治のクエストは、玲奈が想像していた以上にハードだった。その結果が、低レベルのメンバーの急激なレベルアップなのだから充分に元は取れているのだが、これから頑張ってバリバリクエストを受けるぞ、という気持ちにならなかったのは確かだ。
レベルは上がったけれど、金銭的にはものすごく赤字でもあった。
ギリムがパカパカ無駄にHPポーションを飲んだせいで、ギリムが飲んだポーション代だけで、クエストの成功報酬が飛んだ計算になる。
ただし、ポーションはフルーが作っているので元手は無料だ。
また、ハチミツを作るためだけで、玲奈は結局MPを200くらい消費した。その他に魔法も使ったので、瞑想でMPの自然回復をさせていたとはいえ、MPポーションも結構使っている。
ハチミツは樽に詰めてから完成までに1週間ほどかかり、まだ完成はしていない。
大きな樽にふたつ分と、中くらいの樽にみっつ分作った。結構な量になったので、売ればそこそこの金額になるだろうが、まだはっきりとは分からない。
ハチミツをどのような形で売りさばくかによって、これがいかほどのお金に変わるかは全く違ってくるだろう。
玲奈はハチミツの価格の相場を理解していないし、まだ完成もしていないハチミツなので、売り物になる程度の品質で出来上がるのかさえ分からない。
皇都の冒険者協会のクエストの中には、料理店や薬剤店などからのハチミツ入手の依頼があった。多分、普通に売るよりも金銭的に得だとは思う。
だがその場合、品質や量などに注文をつけられるかもしれない。玲奈が初めて作ったハチミツがどの程度の品質なのか、まだ分からない。
大量のハチミツを一度に売ろうと思うのならば、商人や仲買人に卸すのが手っ取り早いだろう。
だがその場合、素人の玲奈が商人に物を売るのだから、騙されたり買い叩かれたりする可能性がある。
冒険者協会や魔法学園の買い取り窓口に売るのは一番慣れていて気楽だが、とんでもなく低価格でしか買ってもらえないので論外である。
あそこは、冒険で半端に入手したドロップアイテムを売るのならばともかく、売るためにわざわざ生産した品物を売る場所ではない。
とりあえずハチミツが完成したのならば、一度学園の厨房に持って行って、品質を見てもらおう。お世話になったお礼に小さい樽の分はプレゼントしてもいい。ハチミツを使ったレシピを教えてくれるかもしれないし、もしかするとハチミツを売る時のアドバイスがもらえるかもしれない。
その日の昼食に玲奈は、動けない二人のためにオニオングラタンスープを作った。
大量に切ったタマネギを大きめの鍋に入れて、火加減に気を付けながら炒める。
彼女は最近、この世界における料理の時間短縮について知った。食べ物に火を通す時に、ちょっぴり魔力を注ぎ入れる。するとあら不思議、あっという間に大量のタマネギがしんなりしてくるのだった。
料理を含む生産スキルでは、魔力を使用することによって、様々な作業を簡単に行うことができる。
人々は、料理だけではなく、農作業や掃除洗濯などの日常的仕事に、MPとスキルを使用しているようだ。ごく普通の人たちにとっても、MPとスキルは大切で便利なものなのだ。
普通の料理にMPを混ぜ込むのは、玲奈としては結構勇気が要る行為なので、なかなか踏ん切りがつかなかった。しかし一度試してみると非常に便利なことが分かったので、これからはこれを利用するのを我慢できそうにない。
炒めたタマネギにたっぷりの塩と水を加えて煮込み、あぶったパンと共に深いお碗に少し控え目に注いだ。薄く切ったチーズを上にのせて、長屋にはオーブンがないので四元魔法で炎を出して表面上だけ焦がす。
チーズは高価なものなので、ちょっとした贅沢だ。しかし、高価でもチーズは、料理に使わなくては。そのままかじって食べるようなチーズではない。
玲奈はチーズを料理スキルで作ったことがある。
確かにチーズを作ることはできた。しかしそれは、塩味のヨーグルトといったもので、牛乳と塩の味しかしない半端なものだった。
チーズを作るには、魔力でも料理スキルでもない、チーズ作りのための技能が別で必要であるらしい。
料理スキルが高くても必ずしも料理が上手くないように、スキルがあっても作るのが難しい料理もあるのだ。
世の中には何種類もチーズがあるが、そのほとんどのチーズは材料が牛乳と塩だけでできている。発酵時間や場所、保存場所の湿度温度や香りによって、チーズの味は変化する。
魔法学園や市場で一番安く出回っているチーズは、味が濃くてこくがあって固いチーズだ。玲奈はそのまま食べるのは好きではなく、料理に使うのに向いたチーズだと思う。
チーズにこくを与えるために最も手っ取り早い手段が、長い時間をかけてチーズを熟成させることのようだ。
柔らかいチーズは、村の料理上手なおばさんにも作れるし、長期間保存しているとかびが生えてくる恐れがある。
固いチーズにはクセががあるので、村でチーズを食べたことのあるギリムは、都会のチーズは臭いと言って苦手がっていた。
ちなみにゲームの頃は無かったが、この世界には料理スキルの他に、発酵スキルや醸造スキル、お茶を淹れるスキルまであるという。これらのスキルを取得するのは、そういった専門的な仕事に就く職人たちが多いようだ。
料理の手伝いをしていたフルーと玲奈が、スープの入ったお碗をタオルごしに掴んで部屋の中へ入ると、ギリムとスドンはベッドの上になにやらアイテムを広げて話をしている。
「杖はクスノキで、ここに精霊石がよ」
「僕、鍛治。杖、木工スキル」
「だから玲奈さんは、金属の杖を欲しがってるわけじゃねえか」
「部屋の中で生産スキルを使うのではないぞ」
フルーは二人にスープを渡した。
「おう。っげ!
フルー、おまえだけ量が多いだろっ」
顔をしかめながら、ギリムは体を起こした。
「病み上がりが偉そうなことを言うな。おまえたちはベッドの上で食べるのだろう。こぼさないようにというマスターの心遣いだ。
大体、まともに食べられるのか」
「食べるくらいはできる!」
「チーズは焼かないけど、パンとスープはまだあるから、おかわり淹れてあげるから。食べなさい。揉めてるとこぼすわよ。
さっき、何話してたの?」
玲奈は最近分かってきた。食べ盛りの年頃の男たちは、食べられれば際限なく食べる。
ひもじいのは可愛そうだと思って作り足していたら、キリがないのだ。
「こいつが鍛治で作った武器を見て、俺は観察のスキル上げしてたんですよ。
俺もそろそろ生産スキルを勉強してもいいかと思ってます。皇都で参考になりそうな本を見付けたんです。
で、こいつが、どれもこれも何の工夫もしてない武器しか作ってないんで、ちょっとは応用しろって話をしてたんです」
玲奈はスープをスプーンで掬ってそっとすすった。オーブンで焼いた訳ではないので、熱さがやや物足りないが、季節が夏なので我慢できる範囲だ。
この世界では、少なくとも玲奈の仲間たちの故郷では、料理を火傷しそうなほど熱々で食べるという嗜好はなかったらしい。貧しい農民には普段から熱いお茶を飲む風習もないし、客に料理を食べさせる料理店ならばともかく、家庭料理ではその程度だろう。
「応用って、スドンには流石に早くない? まだ鍛治の勉強始めたばっかりでしょう」
「んー、なんか、皇都の武器屋で観察スキルを上げながら商品を眺めてて、気付いたことがあるんですよね。武器には、+1とか、+2とかのとかのマークが付いてることがあるんですよ。それで、そっちの商品の方が高いんです」
「あ、プラス装備ね、あるある。そっか、観察スキルでそれが見えるようになるんだ?」
魔法学園の市場には、皇都の武器屋ほど様々な種類の武器が売っていない。流石に杖は色々と売っているが、低レベルから高レベルまで、広いレベル帯の装備品が広く浅く並んでいる。
魔法学園の主要な顧客である魔法学園の関係者たちは、レベル10くらいまでのレベル帯は装備品にこだわることなくさっさと駆け抜けてしまう。そのレベルで良い装備をそろえるような身分の生徒ならば、店先で並んでいる品物なんか買わずに、ひいきしている職人にオーダーメイドで作らせる。
一方皇都には、20くらいまでのレベル帯の装備が、安価なものから高価なものまで幅広く売っている。
低レベルの人間だからといって、貧しいとは限らない。レベルの低い人間、腕力のない人間が装備できるもののなかで、少しでも効果の大きな装備、そして少しでもお洒落な装備を、少々高くても皇都の人々は求めているのだ。
「それで、プラスが付いてる装備の共通点を調べたんですけど、これが結構バラバラで。
同じ+1の銅の剣でも、+の付いてねえのと見た目は何も変わらねえやつも、刃の部分に何か彫り込まれてるのも、柄に巻いた皮が染められてるだけのとかがあって。
つまり+1程度だったら、何か一工夫で+が付くんだって俺は思うんすよ」
「何もしてなくても、+1の武器があったんでしょ? じゃあ、+が付くかどうかは職人の腕次第で、柄の色は+とは関係ないかもよ」
「それは、あの剣は+1で、その上柄に色が付いてるってことですか? だったら、ただの+1の武器よりも、その手間の分高く売るでしょう」
「その剣は、柄の持ち心地が良いから+だとか」
「や、色以外は何も変わってなかったです」
きっぱりと言いきるギリムに玲奈は首を傾げる。
どうしてそんなに自信満々なのかが分からない。ギリムは鍛治について詳しくなどないはずだ。
それなのに、慎重派のギリムがそんなに自信があるということは、つまり事実なのだろう。
(これは多分、観察スキルが働いてるんだわ。観察スキルが、ギリムにそうだって教えてるんだ)
「ふうん、じゃあ何か工夫をしたら、装備品に+が付くと。
スドン、何かやってみる?」
「皮とか、スキルない、無理」
スドンはフルーに頼んで2杯目のスープをいれてもらっていた。
にべもなく言いきる。
「皮が無理なら、他にあんだろ」
「刃とか、いじれない。逆に、失敗、マイナス付く」
スドンはきっぱりと言いきった。だがスドンは、本当のことを言ってはいるのだろうが、そんなに深く考えてものを言っている様子もなかった。
「だから、もっと考えて工夫すればいいだろ。どうせおまえまだ、剣作れるスキルねえんだから、こんぼうとかさ。
プラスでも付けねえと、こいつが練習で作った武器なんかまともな値段で買ってもらえないでしょう」
確かに、魔法学園の買い取り窓口で二束三文かもしれない。まともな武器屋は、なんの実績もないスドンが作った武器は、引き取ってもらえないかもしれない。これくらいの武器を作る鍛治職人は大勢居る。
だが、スドンの鍛治のスキル上げには、モンスターからたまたまドロップしたアイテムを使用するだけで、元手はかかっていない。彼が作った武器が売れなくても、パーティーで消耗する武器の買い替え代金を少しでも抑えられれば充分なのだ。
「ううん、でもやっぱり、まだスドンにははやいんじゃない? 工夫について考えておくのは良いことだけど……」
(スドンはあんまり、目端が効く、器用なタイプじゃないし)
いつまでも何の工夫もなく生産し続けられても困るが、やはりまだはやすぎる気がする。
少し考えていて玲奈は、はっと気付いた。
「それ、ギリムがやったらいいんじゃない?」
「え、俺が?」
「ギリムが装飾細工で、スドンの作った装備品を装飾したらいいんじゃない。
ギリムもまだスキルレベルが低いから、もう少しスキル上げてからでいいけど。
どうせ今日からしばらくの間、私とフルーはあちこちのワープポイントに触って回るつもりなのよね。その間ギリムとスドンは、ゆっくりスキル上げしといてもらおうと思ってたの。
レベルがちょっと上がってMPも増えたから、生産スキルを上げるのも楽になったでしょ」
玲奈は、ワープポイントに触れて回る旅に、低レベルの仲間を連れて行かないことにしていた。
途中でモンスターを倒して歩く余裕がないのならば、あまりメリットもない。
近くの街のワープポイントは、触れれば触れるだけ後で便利になるだろう。かなり大変な作業なので、お金がかかっても、馬車を利用して大きな街を回ろうかとも考えている。
ギリムは少し考えていたが、すぐに頷いた。
「分かりました。やってみます。
でもスドンも、ちょっとは協力しろよ」
話を振られたスドンは、特に何も考えない様子で、すぐに頷いた。
「そうだ、スキルといえば、ギリム、昨日言っといたけど。
二刀流スキル、どうする?
取る? やめとく? なんか他に取りたいようなスキルある?」
昨日のハチの巣退治の最中にギリムは、二刀流スキルを手に入れていた。
取得できるスキルは合計10個までと決まっている。スキルレベルが低いうちならば予備スキルにしてしまうことができるけれど、スキルを成長させてしまえば特定のアイテムを使わなければスキルを消すことはできない。そしてゲームの頃は手に入れることができたそのアイテムを、この世界でどうやって手に入れればいいか、玲奈はまだ調べていない。
だがまあ、そのうちになんとかして手に入れられるだろうと思っている。ゲームのようにクエストで入手することが不可能でも、お金を出せばどこかで買えるだろう。
ギリムの持つスキルのうちいくつかは最初から消すつもりだった。索敵スキルか観察スキルのどちらかは急所スキルを得るために必要ではなく、投擲スキルも場合によっては捨てさせようと思っている。
またギリムの場合、二つのスキルが成長してくっ付いて一つになるのを前提としてスキル上げをしているので、今は余裕がなくても将来的なスキル枠には余裕がある。
だから、余計なスキルが増えることは別に構わないのだが、最初から後で捨てると分かっているくらいならば、無料で予備スキルに回せる今のうちに捨てておけばいい。
二刀流のスキルを取得すると、腕力のステータスが上がりやすくなってくる。ギリムのステータスは敏捷と器用さが高く、スキルもその二つのステータスの上がりやすいスキルで大体固めるつもりだった。
だが、二刀流と共に短剣スキルも腕力が上がりやすいスキルだ。敏捷が上がりやすいスキルも、跳躍と踏舞スキルの二つ。これでは敏捷に振るつもりだったステータスが腕力の方に散らばってしまう可能性が高い。
そこまで複雑な話をギリムにしたわけではないが、二刀流スキルを取ると腕力ステータスが上がりやすくなって、パーティーでもっと積極的な攻撃役として、今後成長して行ってもらうことになるだろうとは伝えてある。
「いや、まあ。玲奈さんの言うことには従いますけど、まあ、俺は……。
俺以外のメンバーは、まだスキル10個埋まってないっすけど、何取るつもりなんですか? いずれは10個全部取りますよね」
ギリムは他のメンバーのことが気になるらしい。
「あ、将来的な話ね。はっきり決めてる訳じゃないんだけど。レベルが30になったら、上級ジョブにつけるじゃない。その時に入手できるスキルを付けようと思ってるの。
フルーの場合は、竜人の冒険者は大体魔法剣士になる、ってパターンが決まってるらしいの。竜人は魔法も含めて、どのステータスもまんべんなく良いから。レベルが30に近くなると、竜人だけが使える独特の魔法をスキルとして入手できるらしいの。それと合わせて、後は魔法剣士として都合が良いようにスキルを取得するつもり、例えば魔術運用とか、他の戦闘スキルとか。
スドンはまだどんなジョブにつけるか分からないんだけど、騎士とか守護者とかいうような職業につけると思うの。盾と重装備と神聖魔法で、確かそういう職業につく条件が満たされたと思う。その時に入手するスキルを取得するつもり。仲間を守るようなスキル、守護魔法とかそういうスキルがあるんじゃないかな。
ギリムは、予定としてはレベルが30になったら、盗賊とか斥候とかそういう職業についてもらうつもりだったの。そうしたら、鍵開けとか罠解除ができるような迷宮探索に便利なスキルとか、あとは隠形とか、まあギリムにはまだピンとこないかもしれないけど、そういう変わった便利系スキルを取ってもらうつもり」
「……え」
ギリムはその説明を聞いて、なぜか嫌そうな顔をした。
少し言いにくそうに口を開く。
「俺は、玲奈さんも分かってるんだろうとは思うんですけど、やっぱできるなら積極的に攻撃に出る役とか、あんまりやりたくないです。攻撃するためと腕力と、逃げるための敏捷なら、敏捷を上げたい。二刀流スキルは、予備スキルに入れちまいたいです。
で、それとは別なんですけど。フルー、将来魔法スキル取るんですね。スドンも、まだ魔法取るんすね。
俺も、なんでもいいから、魔法スキルが取ってみたいです、玲奈さん」
「え?
え? 本気? 魔法スキル?
どうしても?」
「……、いや、玲奈さんの言うことには従います」
ギリムが、そんなことを考えていたとは知らず、玲奈はちょっとびっくりした。
(魔法スキルが取りたいとか、そんなのあるんだ。
そりゃまあ、こっちのエリアでは魔法使いはあこがれの職業だし。
へえ)
元々魔法を使ってみたいという気持ちがあったのか、それともスドンが神聖魔法を持ち、フルーも今後魔法を取得する可能性があると知って、自分一人が違うということに焦ったのかは分からない。
だがなんというか、結構可愛いワガママのように思えたので、玲奈はその願いを叶えてやってもいい気持になった。
いざとなればスキルを外せばいいし、腕力を上げるスキルが二つそろうよりも、体力・知力・腕力ステータスを上げるスキルが均等に一つづつあった方が、敏捷と器用さにステータスが振られやすい。
「うん、いいよ、一つくらい魔法スキル覚えても。
特殊魔法を使えるメンバーがもう一人くらいいた方が便利かもしれないしね。 ギリムは、特殊魔法を覚えたことあったっけ、予備スキルに入ってる? それとも特殊魔法を覚えるには、学園の授業受けに行かなきゃダメかな」
玲奈は頭の中で画像を開いて、ギリムのステータスを調べていく。
ギリムが奴隷になってから入手し直した大量の予備スキルの中から、色々な条件付けを通して、冒険者が取得するにふさわしいスキル以外を振り落していく。
大量の道具利用系のスキルを除外し、冒険に有利そうなスキルを残して、魔力を使用するスキルを探していく。
玲奈は首を傾げた。
「ギリム。予備スキルの中に入ってるんだけど、この古代魔法って何?」
「古代魔法、ですか?」
「古代魔法。いつこの予備スキルを手に入れたか分かる?
ログから見てみると、ここ一週間の間に手に入れてるみたいだけど。皇都で誰かに何か教えてもらったりした?
私、古代魔法がどんな魔法か詳しくは知らないな。図書館でちらっと見た気はするけど、詳しくは覚えてない」
またゲームの頃に、古代魔法と言うスキルは存在しなかった。
尋ねられてギリムは、ここ一週間の自分の行動を振り返ってみるが、なかなか思い浮かばないらしい。
そうしていると、フルーが何かを思いついたらしく、声を上げた。
「あれではないか。
ギリムおまえ、皇都の本屋で分厚い辞書を立ち読みしていただろう。
古代魔法は知らないが、あれは、古代文字の辞書だ」
(辞書を見ただけで、魔法を覚えたことになるの? それも変な気がするけど)
「ううん、じゃあ、ひとまずはギリムの覚える魔法については置いておこう。
二刀流は予備スキルに回して、特殊魔法はまだ覚えない。今度皇都でその辞書買ってきて、私たちに見せてよ。それで私たちも古代魔法のスキルを手に入れることができたら、それが古代魔法なのかもしれない。
古代魔法が何なのかについても、教授とかに質問してみるわ」
「買うって! めちゃくちゃ高いですよ!?」
「ふうん、辞書だもんね。じゃあ、今度皇都に行ったとき、私に見せてよ、その辞書。
スドンの神聖魔法のスキル上げで、皇都にもまたちょくちょく行くから。
古代魔法かあ。そんな魔法かな、便利そうなら、取っちゃうかも」
玲奈はちょっとワクワクして来て、笑った。
Lv13 見習い魔法使い
レイナ・ハナガキ ヒューマン
HP/MP 82/123
スキル 杖Lv20 瞑想Lv18 魔術運用Lv13 付与魔法Lv17 神聖魔法Lv11 四元魔法Lv18 特殊魔法Lv30 暗黒魔法Lv13 料理Lv43
Lv13 見習い戦士
フルーバドラシュ ドラゴニュート
HP/MP 195/39
スキル 剣Lv25 盾Lv18 重装備Lv13 活性Lv19 戦闘技術Lv13 挑発Lv17 調合Lv30
Lv7 見習い戦士
ギリム ヒューマン
HP/MP 59/14
スキル 短剣Lv8 投擲Lv3 命中Lv4 活性Lv6 踏舞Lv11 跳躍Lv5 観察Lv6 索敵Lv8 装飾細工Lv1
Lv7 見習い戦士
スドン ハーフフェアリー(アース)
HP/MP 126/33
スキル ハンマーLv8 盾Lv7 重装備Lv4 活性Lv7 戦闘技術Lv3 挑発Lv6 魔術運用Lv2 神聖魔法Lv4 鍛治Lv9