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冒険者協会

聖堂で祈っていたスドンを連れて、装備品の出店などを覗きながら、二人と待ち合わせをしている冒険者協会へ向かった。


冒険者協会は人の出入りの多いにぎやかな建物で、約束の時間にやや遅れてたどり着いたそこには、二人が待っていた。

すでに冒険者協会での生体認証の登録は済ましていたらしい。

生体認証はマジックアイテムを使用するし、やや時間がかかる。

玲奈は協会の職員に、協会に登録したいことを告げ、魔法学園の生徒手帳を見せた。


字が書けるのならば、書面に名前などを記入する必要もあるらしい。まだ字を書くのに慣れていないスドンに申込書を渡すと、ギリムやフルーの待つ机で記入させることにした。

スドンが字を書くのは時間がかかるし、間違った場合はフルーが指摘してくれるだろう。


玲奈はさらさらとカタカナで名前を書きながら職員の説明を聞いた。

彼女は奴隷たちの主人であり、またパーティーのリーダーでもあるので、パーティー申請などのための申込書も余計に書かなければならない。


幸い玲奈の身元引き受けなどは魔法学園が担ってくれるので、住所や連絡先や生年月日などの記入に、本当のことを書くかどうか、あるいは何と書くか悩む必要がなく、生徒手帳に書かれていることを丸写しするだけでよかった。


自分のレベルやスキルを書く欄が存在する。自分の能力やスキル構成を隠したい冒険者は多いから、それは書いても書かなくてもいい欄なのだが、玲奈は少し考える。

冒険者が何をできるか把握していた方が、協会としてはクエストを紹介するときに便利なのだ。つまり、クエストを紹介して欲しいのならば、自分が何をできるのかきちんと示しておく必要がある。

協会で冒険者たちが受諾するクエストは、基本的には自由選択だ。割の悪いクエストは、冒険者に受諾してもらえず、いつまでもこの協会に眠っていることになる可能性もあるのだ。


しかし協会の中には、絶対に解決したい、信頼できる冒険者にしか任せたくないクエストだって存在している。一般のクエストと同じ扱いでは、大勢の冒険者が喜んで群がるような、割の良いクエストだって存在する。

そういう場合は、協会の職員が信頼できる冒険者に依頼を直接頼んで、確実に依頼を達成できるようにつとめるのだ。


玲奈は悩みながらも、とりあえず特殊魔法、神聖魔法、付与魔法のスキルレベルは記入しておいた。


だが、まだ協会に入ったばかりで信頼も何もない玲奈に直接紹介してもらえるようなクエストはない。

協会の軽い説明を受けた後、玲奈はフルーたちのところへ行って、クエストを調べ始めた。


冒険者協会のシステムは単純で、自由度も高い。

クエストを依頼する市民たちと、それを受諾する冒険者たちの間に立って、中間マージンを取るだけだ。

冒険者には必ず受けなければならないクエストの最低数も、クエストをこなせば上がるランク制度も存在しない。

ただ繰り返し依頼をこなしていれば、冒険者協会の職員たちに信頼されるようになるだけだ。




「ん、スドン、書いた?」


「もう、ちょい」


皇都の冒険者協会は、かなり大きな方だ。

小さな支部であれば、その周辺地域の依頼ばかりが並ぶが、皇都の冒険者協会にはエリア中のクエストが集めて表示されている。

そこに保管されているクエストの量も半端ではない。とても数が多いので、クエストの種類や地域にわけて、冊子も作られている。


大勢の市民から出される多種多様な依頼は、必ずしも全て解決されるわけではない。

冒険者協会が絶対に解決させなければならないと考える、重大なクエストならば話は別だが、そんなものは協会が責任をもって信頼できる冒険者に依頼を通す。


多くの市民たちが依頼するクエストは、生活に根ざしたものだ。

報酬は相場もあるだろうが、依頼者が適当に決める。ギリムの話を聞いていると、農村では貨幣の取得が大変困難なようなので、依頼者にもよるだろうが、報酬をギリギリまで抑えたいと思っている依頼者も多いだろう。

冒険者はこの依頼の山の中から、できるだけ報酬の大きなものから選んでいき、報酬が悪くて割に合わない依頼はいつまでも解決されることなくこのなかに残っていることになるようだ。

できるだけ早く解決したい緊急の依頼ならば、冒険者協会にも話を通しておく必要もあるが、報酬を多めに見積もっておかなければならないのだ。


「何か良さそうな依頼、あった?」


「マスターがどんな依頼を望んでいるのかは分からないが、初めは皇都周辺でのあまりレベルの高くないモンスターの退治依頼が無難だろう。あとはそのモンスターを、私やマスターに経験値が入るレベルのものにするか、あるいは初めは弱いモンスターを選んでおいて、ギリムやスドンたちに経験値が入るようにするかだ。

もう少し違った、生産関係の依頼を望むのならば、こちらの冊子にいろいろ入っている。ただ、調合の生産依頼は、教授に受けている分で十分だろうとは思うのだが」


「ふうん。

ううん。最初はとりあえずなんでも受けてみたいとは思うんだけど。やっぱり、移動距離の問題があるよね。うん、まあ、最初は皇都周辺ね」


しかし本当に近い皇都周辺には大した依頼はない。皇都には冒険者が多いので、すぐに解決されてしまうのだ。

フルーの言う皇都周辺は、周辺とは言っても徒歩で一日二日は歩かなければならない。

その辺はまだモンスターのレベルも低いのだが、低レベルのスドンやギリムを連れて泊りでの旅は少し不安だ。そんなことを言い出すときりがないのだが。


玲奈はフルーから、生産関係の依頼をまとめた冊子を受け取って、パラパラめくる。

協会にいくつも並べられているうちの一セットの席に陣取り、座ってのんびりと眺める。


「書けた」


「うん。じゃあ、出してきて。

あ、ハチミツ生産依頼、結構いい値段」


「ハチミツ?」


なぜだかギリムは少し嫌そうな顔をして、フルーは不思議そうな顔で首を傾げた。


「どうかした、フルー」


「ハチミツ、ハチ? いや、聞いたことがある気はするが、どんなものだか私は知らない。ハチ系モンスターのドロップアイテムかと想像できるが」


「あれ、知らない? ギリムは、どうしたの、意味は分かってるんだよね」


(そりゃまあ、みんなそれぞれ知らないものもあるか。住んでた場所が全然違う訳だし)


「あ、はい。まあ。ハチの巣の採取が大変だと思って。

まだちょっと時期じゃないです、秋が一番依頼が多いと思いますけど、今の時期でも多少はハチの巣退治の依頼が出てると思いますよ。早めに依頼出してる村の方が、報酬は少ないと思いますけど、まだハチの巣が小さくて良いかもしれませんね。ハチミツにして納品できるんだったら、ハチの巣退治の報酬が少なくても、合わせたら悪くない報酬になるんじゃないですか。

ただ、ハチの巣を退治するの、俺たちなんですよね」


ギリムは憂鬱そうに、下を向いた。

玲奈は元の世界でのハチの巣駆除を想像してしまう。元の世界であれば、ハチの巣駆除は、しっかり防備を整えたうえで殺虫スプレーなどでハチを殺した。

しかしこの世界では殺虫スプレーなど存在しないし、ハチの巣を利用して料理をしようというのだから毒のようなものを使用するわけにはいかない。


「え、私、ハチの巣退治とかどんなものなのかよく分かってないから、何か知ってるなら教えてもらえると嬉しいんだけど」


「いや、俺の村でも何年かに一度、ハチの巣が大きくなりすぎたら、流しの魔法使い様に退治してもらうんですよ。ただその時、魔法使い様は遠くから魔法でハチの巣を全部燃やしちまうから、俺たちがその依頼をこなす時どうすればいいかは、ちょっと分かんねえっす。一匹一匹、剣で倒していくしかないんじゃないですかね。

ただ、大きくないハチの巣を村で見付けたら、俺たちが自分で退治してたんです。刺されながら、村人総出で棒とかでハチを殴って倒して。村で、一番料理が上手い婆さんが、取ったハチの巣でハチミツを作ってくれるんです。ハチ退治に参加したら、各家にそのハチミツを分けてもらえるんで男は総出で参加するんですけど、まあ痛いです。

俺たちで退治できるくらいなんで、あんまり強いモンスターじゃないんだとは思うんです」


(……燃やしちゃったら、ハチの巣が手に入らないからダメよね)


「ええ、その、一匹一匹剣とかでハチを倒すしかないってことだよね」


隣でフルーは、なんとなく納得したように頷いていた。


「ハチミツについてはよく分からないが、ミツバチという種類のハチはエカエリ諸島にはいないのかもしれない。

マスター、私は昔ハチの巣退治の依頼をこなしたことがある。ミズクロバチという種類のモンスターで、そのハチの巣は岩でできていて、簡単に壊せるような代物ではなかったから、ハチを全て退治してから巣を壊すという手順だった。

うっとうしいし、数は多いし、痛いしで、もう二度とあんな依頼は受けないと思ったし、実際ハチの巣退治の依頼は冒険者に不人気だった。

しかし今考えると、ハチは、低レベルの冒険者のレベル上げには非常に都合の良いモンスターかもしれない」


なんとなく彼らの話を聞いていると、グリンドワールドでもハチは、玲奈の世界におけるハチと似たような扱われ方をしている。

そこまで恐ろしいモンスターというわけではないが、身近な危険であり、小さくて数が多くてやっぱり痛い。


「どうして?」


「数が多く、経験値は少ないが、HPも攻撃力も小さい。

特にそのミツバチは、ハチの中でもあまり強いモンスターではないのだろう。ギリムでも当てれば、一撃で倒せるのではないか。モンスターの一撃ずつの攻撃力が小さいから、HP管理をきちんとして回復手段があるのならば、低レベルの冒険者でもそこまで危険なモンスターではない。経験値が少なくても、数が多いから、結局経験値は稼げるだろう。

何より、比較的弱く経験値が少ない割に、モンスターのレベルは低くない。私やマスターにも、多少の経験値が入ってくるのではないか。

そうだな。魔法学園の迷宮の、9階のカゼツバメに似ているな。あれより弱く、数が多い」


フルーは、冒険者協会に置いてある、モンスター図鑑を開いてミツバチを探している。


グリンドワールドのゲームでは、低レベルの冒険者は自分のプラスマイナス5レベルのモンスターを倒すと、経験値を入手することができる。

もっと高レベルになれば、上下10レベルのモンスターの経験値を入手できるようになる。


そういった事実を、この世界の住人達も理解しているようで、彼らは自分たちが倒して経験値が入手できるかを判断基準に、モンスターに対してレベルを付けていった。

そういったモンスターレベルが、その図鑑にも記されている。


「ああ、あった。

ミツバチ、レベルは6~13。生息地域は、魔法学園とエルフの亜大陸には全域に生息するが、やはりエカエリ諸島にはほとんど存在しないようだな。

ではマスター、皇都の近くでハチの巣退治の依頼をこなしてみることにするか?」


また、野生のモンスターたちは、同じ種類であっても、レベルにむらがある。

同じ人間であっても、様々なレベルの人間が存在するのと同じことだ。

例外的に、魔法学園の迷宮の中のモンスターたちは、同じ種類のものは全て同じレベルだ。そもそも、モンスターがレベルごとに綺麗に分かれて並んでいる迷宮だってとても珍しい。普通はもう少し、ばらけるものだ。

だからこそあの迷宮は、魔法学園の生徒のレベル上げに非常に都合の良い、特別な迷宮なのだ。


パーティーのリーダーである魔法使いだけがレベル上げをするためには、モンスターのレベルがはっきりと分かれている方が便利かもしれない。モンスターを倒して、経験値が入手できたりできなかったりするのはややこしいかもしれない。

だが、レベルの違う人間同士でパーティーを組んでいる場合、モンスターのレベルにむらがあった方が、レベル上げには便利だ。


「玲奈さん」


協会に書類を提出し終わったらしいスドンが、戻ってきて嫌そうな顔で、図鑑のミツバチを眺めている。


「絶対、山地のハチの巣退治、ダメ。大きい」


明らかにスドンが嫌そうな顔をしているので、玲奈はちょっと笑った。


「ハチに、そんなにひどい目にあわされたことがあるの?

フルー、人里近くの依頼じゃないと、ハチの巣がすごく大きい可能性があるから危ないって。ちょっとのけて選んでね」


玲奈だって、スドンやギリムがびびっているのを笑っている余裕は無い。これから彼女たちで、ハチの巣退治をしなければならないのだから。

後衛である彼女は、ちょっと遠くから戦いに参加するつもりではあるけれど、少々離れたところで数の多いハチは、彼女まで攻撃を仕掛けてくるだろうことは想像がつく。


「マスター。ハチの巣退治はいくつかある。

この辺だと思うが、この報酬の差は、ハチの巣の大きさに関係すると思うか?」


「それより、この報酬が安い方の依頼、出てから二か月くらいたってるじゃねえか。二か月の間にハチの巣が、めちゃくちゃでかくなってるかもしれませんよ、玲奈様」


「ええ、それは怖いなあ。

その辺のことを調べる手段はないの?」


玲奈は机の上に地図を広げて、依頼書に書かれている村の名前を調べる。

特に必要がなかったから買っていなかったが、今後あちこちを旅しながら依頼を受けるのならば、きちんとした地図を買っておく必要があるかもしれない。


「無いな。依頼書に嘘が書いてあるだとか、あまりにかけ離れている内容ならば、依頼を達成しなくても、冒険者協会に訴えることもできるだろうが。

おおまかにでも、対象モンスターの数量や大きさなどが書かれている依頼書が良い依頼書だ。そういった依頼から受諾されていくことになる。冒険者協会でも、依頼者に対してできる限り具体的な内容を告げるように言っていると思うが。あまり細かいところまでは、協会の方も手が回らないだろう」


非常に依頼の数が多いことだし、職員の人数も限られている。


「私、できるだけたくさんワープポイントに触って行きたいんだよね。ワープポイントに触りながら、どっちかというと東の方にだんだん進んでいきたいの。

でも、皇都周辺のワープポイントは、東西南北おさえときたいから、最初はどこでもいいんだけど」


一度ワープポイントに触れておけば、その後は簡単にその地に行くことができる。

出来る限りたくさんのワープポイントに触れて、じわじわと冒険可能地域を広げていきたいと考えているのだ。

一度行った地域のクエストは、簡単にこなしに行けるようになる。ワープを使える魔法使いの存在するパーティーの強みだ。


「マスター、東とは?」


「前からちょっと言ってたでしょ。ゴーレム山を拠点にしたいって。

ゴーレム山のふもとの町で家を借りて、しばらくはそこを拠点にするつもり。

別にわざわざそこまで徒歩で行く必要はないし、行けるとも限らないけど。近くの街まで行っておけば、そこからゴーレム山まで行く馬車も安いし便数だって多く出てるはずでしょ」


「なるほど。私はこちらの地理に詳しくないが、モンスターの強い地域があるのならば、そこだけ強い冒険者を護衛に雇っても良いと思う」


「今そんなにお金も貯まってないし、すぐに魔法学園を出てそこに家を借りたいってわけでもないんだけど。

でも冬までには、新しい家をきちんと用意しておきたいのよね」


ギリムは顔を上げて、ちょっと不思議そうに玲奈を見た。


「どうして冬なんですか? 一応あそこ、来年の春まで借りられるんですよね。

また、仲間でも増やすんですか?」


多くの魔法使いたちは、自分の実力を相応しい場所で伸ばすために、大急ぎで飛び立っていくけれど。

確かに、魔法学園の寮は入学してから一年間借りることが可能だ。

けれど。


「それって、多分建前だと思うのよね。ほとんどの生徒たちは、冬までにあそこから出て行くものなんだと思う。

あそこの長屋って、結構風がスースーするでしょ。夏は暑いのがちょっとマシだけど、冬、寒いと思うのよね。

それに魔法学園って、家具がほとんど用意されていないでしょう。暖房器具とかないと思うんだけど、この辺ってそれで冬大丈夫なの? 寒くない?」


フルーは、暖房器具って何それ、という顔をしていた。

彼の故郷エカエリ諸島は、常夏の気候だ。


「僕、平地の冬、知らない」


「……いや、奴隷の俺たちはそれくらい我慢するべきかもしれねえんですけど。なしだとかなり寒いと思います」


言わないけれども、本当は玲奈は、冬までに風呂を用意しておきたい。

常春の気候である魔法学園で、さほど厳しくない暑さの夏。

玲奈は体を水で拭いたり、時々水浴びをしたりして、暑さをしのいでいる。そこまで風呂に入りたい欲求が厳しくないのも、夏だからだ。


こちらの世界でも、日本のようなクーラーや暖房のような家具が存在する。

やや高価だが、裕福な一般の家にも備え付けられているらしい。魔力的なものを動力として動き、エネルギーに比較的お金がかかる。

風呂だって、そんなに珍しいものではない。


ただ、今風呂を買ったところで、どうすることも出来ない。アイテムボックスに入れて運ぶことは出来るかもしれないが。

まずは、風呂を備えるための家を借りなければならないのだ。

風呂のついた家を借りるのでもいいけれど。


玲奈たちが借りる家は、スドンが生産をするための炉が付いた家になる。

以前鍛冶師が住んでいた家を借りることになるだろう。

鍛冶師は普通の農民よりは少し裕福な存在のようだし、初めから家の中で火が燃えているので、そのエネルギーを風呂に回した風呂付の家もあるようだ。

そのかわり、クーラーや冷蔵庫のようなものの取り付けには気を使わなければならないかもしれないが。


「まあ、冬までだからそんなに急がなくてもいいけど、そういうつもりで少しずつ行動範囲を広げていきたいな、と思って」


ゲームの頃は、皇都からゴーレム山までは、モンスターを無視して1時間くらい走り続ければ着いた。


「ならばマスター、東の方向ならば、この村がある。

この村にはワープポイントは無さそうだが、近くの街にならばワープポイントはあるだろう」


フルーが地図で示した場所には、よく見なければ分からない薄い文字で村の名前が書かれている。ワープポイントのある大き目の街は、地図の上でもしるしがつけられていて分かりやすい。


「その依頼、大丈夫そう? 変なところはない?」


「無難な感じだな。情報が少なくて判断しにくいが、ごく普通のモンスター退治の依頼ならばこんなものだろう。

平原を歩いて、早朝から夕方くらいで街に着くだろう。平原に出るモンスターは、魔法学園の周辺と同じくらいだと思うが、ギリムとスドンをどうする?」


「んー」


「大都市のすぐ近くだ。モンスターの数も少ないと思うし、昨日のように群れでの移動に遭遇することも、まずないと思う。これくらいならば、二人が居ても大丈夫だとは思うが」


魔法学園から皇都まで馬車が走ったコースは、低レベルのモンスターしか出ない地域も、中レベルのモンスターが生息している地域も通った。

ヒヅメキツネたちに遭遇したのは、やや危険な地域だった。


「フルー、ギリムかスドンのどちらか一人だけだったら、守りきれそう?

どうせ、ワープポイント触ったら帰ってくるわけだし」


「……ああ、大丈夫だ」


ギリムかスドン、どちらか片方を守ると言えば、守りやすいのは防御力の強いスドンの方なのだが。


「よし、じゃあ、決まり。この依頼、受けましょう。

3人で街まで歩いて行って、ワープで帰って、日を改めて4人でハチの巣退治。

留守番は、今回はスドンね。大神殿で、神聖魔法のスキル上げ」


ギリムとフルーは少し意外そうな顔をしたが、それで大丈夫だと頷いた。

スドンは、平気な顔をしている。自分が残されるだろうと、気付いていたのかもしれない。


玲奈は依頼書の冊子を持つと、冒険者協会の職員のところへ向かった。3人も付いてくる。


「この依頼を、お願いしたいんですけど」


「はい、分かりました。達成予定期限をどうぞ」


「その、私たちのレベルでも達成可能でしょうか」


協会職員は穏やかそうな女性で、玲奈を心配するように丁寧に忠告してくれた。


「パーティー4人のうち、2人が10レベルですので、達成は可能だと思います。

しかし低レベルの方は、HPに不安がありますので、できる限りたくさん回復手段を用意して行った方がいいですよ。

報酬は6000Gですが、それくらいHPポーションを持って行った方が安全でしょう。場合によってはポーション代で、赤字になるかもしれません」


(もちろんそれくらい用意して行くつもりだったし、神聖魔法があるけど。赤字になるかもって、結構酷い話よね)


「はい、大丈夫です。達成には、一週間くらいかかるかもしれないんですけど、良いですか」


「構いませんよ。一週間くらいかかるかもしれないのは当然のことですし、あまり人気のない依頼ですので。

他の冒険者の方がこの依頼を受けたいと思って、受諾のキャンセル待ちをする可能性は、あまり高くありませんので」


「じゃあ、一週間でお願いします」


「はい、ありがとうございました」








Lv12 見習い魔法使い

レイナ・ハナガキ ヒューマン 

HP/MP 76/114

スキル 杖Lv19 瞑想Lv18 魔術運用Lv12 付与魔法Lv15 神聖魔法Lv11 四元魔法Lv17 特殊魔法Lv30 暗黒魔法Lv13 料理Lv39


Lv12 見習い戦士

フルーバドラシュ ドラゴニュート

HP/MP 182/35

スキル 剣Lv25 盾Lv16 重装備Lv11 活性Lv17 戦闘技術Lv12 挑発Lv16 調合Lv29


Lv4 見習い戦士

ギリム ヒューマン

HP/MP 35/8

スキル 短剣Lv5 投擲Lv3 命中Lv4 活性Lv3 踏舞Lv9 跳躍Lv4 観察Lv4 索敵Lv4 装飾細工Lv1


Lv4 見習い戦士

スドン ハーフフェアリー(アース)

HP/MP 74/21

スキル ハンマーLv8 盾Lv5 重装備Lv2 活性Lv4 戦闘技術Lv2 挑発Lv4 魔術運用Lv1 神聖魔法Lv2 鍛治Lv7


いつもこの作品を読んでくださっている方々には、大変感謝しています。

どうもありがとうございます。

申し訳ありませんが、近頃定期更新が非常に苦しくなってきました。

この作品は、自分の好きなようにかなり好き勝手に書いている作品でして、終わりも決めておらず、いつまで書いても終わりが見えません。

のんびり書いていきたいと思っています。

今後更新が不定期となり、かなり遅くなると思いますが、作者の身勝手をどうか許していただきたいとお願いします。


また、今後しばらくは『獣化の剣』という別の作品をこちらのサイトで更新していきたいと思っています。

一か月くらいで完結する予定ですので、そちらも読んで頂けたらありがたいです。


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