足踏み
(一年目 七月十六日)
二人の奴隷が新たに玲奈たちとの生活に加わってから、十日近くがたった。
新入りの奴隷たちは、これまで何度かフィールドでの戦闘に参加したが、迷宮に連れてきたことは一度もない。
玲奈とフルーは二人だけで、時々迷宮に潜っていた。
迷宮、第9階のモンスターはカゼツバメだ。
「《挑発》。
ハァッ」
「《瞑想》。フルー、《小治癒》」
カゼツバメは小さく素早く、弱いけれども集団で襲ってくるモンスターだ。時には、10匹近い数でやって来る。
フルーの挑発では全てのツバメを引き寄せきれていない。もっと言えば、数が多いので盾で上手く攻撃を受け止められてもいない。
残りのツバメが、後衛の玲奈に向かってくる。
「ちっ、《毒》。
《付与炎》。ええい」
スカッ。
玲奈の武器は、銅の棍棒だ。魔力の媒介をキーホルダーのようにぶら下げて、杖だと誤魔化している。棍棒に炎を付与してツバメに殴りかかった。
しかし、動きの素早いカゼツバメには当たらない。的が小さい上に、飛行タイプなので上下を含む三次元で逃げられるのだ。
だいたい、フルーだって剣を空振りしまくっている。
「痛いっ、もう、鬱陶しい!
《小治癒》」
幸いなのは、攻撃力が小さいことだ。玲奈が攻撃されても、焦る必要はなく、十分回復は間に合う。
防御力も弱いので、フルーの攻撃力ならば一撃で倒せるのだが、いかんせん攻撃が当たらない。
(こういうのが、ギリムとかと相性の良いモンスターなんだろうな)
近頃玲奈たちは、伸び悩んでいる。
玲奈は今日の戦闘で、レベルが12に上がったのだが、これまで大体一つか二つレベルを先行させていたフルーに、玲奈のレベルが追いついてしまった。
これは彼女のレベルが上がっているわけではなく、最近フルーのレベルが上がっていないためだ。
そもそも、グリンドワールドというゲームは、レベルアップの条件がやや厳しいゲームだった。
冒険者とモンスターのレベルのバランスが悪いと、モンスターを倒しても経験値取得量が非常に少なくなってしまうのだ。
だから、同じモンスターを相手に戦い続けていると、すぐにレベルアップが止まってしまう。
この迷宮の9階まででは、レベルが12までしか上がらないのだろう。
10階には中ボスの火オオカミと、通常モンスターの灰オオカミが出る。
ゲームであれば、レベル12のパーティーで十分挑める敵だが、死の危険の存在する現実世界で、玲奈はまだまだ到底10階に上がる気持ちにはならなかった。
「えいっ」
バチッ。
やみくもに棍棒を振り回し、時には当たるが、玲奈の物理攻撃では致命傷にはなりえない。
自分のところにくっ付いていたカゼツバメを3匹斬り殺して、フルーは玲奈のところへガッシャガッシャと駆け寄ってきた。
「マスター!
《挑発》! ハァッ」
レベルも上がらないし、ドロップアイテムもさほど高くは売れない。最低限の価格で買い取りをしてもらえるだけだ。
確かに、すぐ隣に迷宮があって、大勢の生徒たちが四六時中潜っているのだ。この迷宮のモンスターのドロップアイテムは、どれも余っていて、魔法学園の側としては底値で買うのも温情という状況かもしれない。
ポーションを調合して、クエスト価格で買い取ってもらえる、ゴーレムの白い石が今のところ金銭的には一番うまみがある。
しかし石ゴーレムは迷宮の3階のモンスターだ。流石に物足りなくなってきている。
(多分今の状態が、フルーとか教授とかが言う、急にレベルが上がらなくなるっていう状況なんだろうな)
ここからうまく状況を打開できなければ、このまま玲奈はずっとレベル12のままなのだろう。
玲奈は時々、レベル12のままではいけない理由を考えてみる。
特に無い。
レベル12のままでも、ポーションを作り続けて、生活費や学園への借金を返す金を貯めることも不可能ではない。
けれど、不完全とはいえゲームの知識を持っているというズルをしている状態で、レベル12で終わってしまうのは流石に情けないだろう。
それに。
それに実は玲奈は最近、欲しがっていたものを手に入れようとしているのではないかと、考えていた。
欲しかったもの。
玲奈が、ゲームのグリンドワールドに望んでいたもの。
彼女を大切にして、尊重してくれる、決して裏切らない仲間たち。
もちろん彼らは玲奈の奴隷で、彼女を大切にしてくれるのは当然の話なのだが。
でも、それでも、彼女は欲しかったものを手に入れようとしているのかもしれない。
もう少し、彼らとともに冒険の旅を進めていきたいと、彼女は思うのだ。
どうせなら彼らを、彼らの望む、レベルの高い冒険者にしてあげられたらなと、思っている。
「フルー、《小治癒》。
《瞑想》。
ああ、もう! なんだかうまくいかないね。一回、安全地点まで下がろうか」
「分かった、マスター。
《活性》」
玲奈は短剣を取り出して、カゼツバメの腹を切り開いた。
小さい魔素の結晶を取り出す。魔素の結晶は全てのモンスターが体内に持っていて、大きさに合わせた値段で安定して買い取ってもらえる。
カゼツバメの結晶は、カゼツバメが弱く体も小さいこともあってか、小さい。これでは、10G位にしかならないだろう。一回の戦闘で出てくるカゼツバメが多いので一度にたくさん入手できるが、その戦闘にこれだけ時間がかかっていたのでは、うまみにも感じない。
もっとモンスターのレベルが上がれば、魔素の結晶だけでもそこそこ儲かるようになるのだろうが、まだまだ遠い話だ。
「ふう。マスターの魔法も、私の剣も全く当たらないな」
フルーが、少し離れたところで倒したカゼツバメの体を運んでくる。
動物系のモンスターは、スキルレベルと敵モンスターのレベルのバランスが合えば、解体しただけで少しずつ料理スキルが上がる。なので、カゼツバメの解体は、玲奈の役目だ。
「ううん。ここではもうレベルも上がりそうにないし、別のところへ行く?」
「最近そんなことばかり言っている気がするが、たとえばどこへ?」
グリンドワールドがゲームだった頃でも、レベルアップが伸び悩むことはたびたびある。しかし、レベル10周辺という、低レベル帯で起こるようなことではない。ならば、ゲームでは伸び悩まないレベルで、なぜ今玲奈が立ち止まっているのか。
理由はいくつかあるだろう。
まずは、そもそもゲームと比べて、安全マージンをかなり大きくとっていることだ。
ゲームならば、10階の中ボスなんかに躊躇ったりはしない。何度か死んでしまっても、致命的なことではなかった。危険を押して、とっとと上の階にすすんでいただろう。
「フィールドの川の方に行ってみない? 欲しいドロップアイテムは特にないけど、カゼツバメよりはレベルが高いと思うし、これ以上迷宮で戦っててもレベルが上がらないでしょ」
「あいつらをどうするつもりなのだ? 連れて行くわけには行かないだろう。川のフィールドまで行って帰ってくれば、2・3日はかかる」
それから、ゲームで色々と助けてくれたお助けNPCは、今のところ足手まといでしかない新入りの奴隷たちだ。
それに、移動の問題がある。
ゲームだった時も、レベルに適したフィールドに移動するのはかなり面倒くさかったが、それが現実になると面倒くさいではすまない時間がかかる。少し離れたフィールドまで行こうと思ったら、数日かかることになるのだ。
あるいはそれは、拠点の問題と言い替えてもいいかもしれない。
ゲームの時は、住むところを気にする必要はなかった。魔法学園周辺のモンスターでうまみが小さいのならば、拠点を移してその周辺のモンスターを狩ればいい。
魔法学園は、ヒューマンの魔法職にとって、はじまりの町にあたる。いつまでもとどまっていなければならない場所ではない。レベルがある程度上がれば、次の場所に移っていくべきだ。
魔法学園は、設備やクエスト用のNPCが集まっている、拠点に向いた大都市だが、同じような大都市に皇都がある。
教皇都市パルピナ。
そろそろ、皇都に行きたいところだ。
馬車代を出せば、低レベルでも皇都に行くことができる。皇都周辺のフィールドはまた種類の違う初心者向けのモンスターがそろっている。売っている武器や防具も違うはずなので、そちらの方も確かめたいところだけれど、魔法学園に戻って来なければならないことを考えると、そう簡単ではない。
無料で泊まれる宿泊施設は魔法学園しかないのだから、気軽にここから離れることは出来ないのだ。
「まずは、特殊魔法のスキル上げよ。スキル30になったら、ワープが使えるようになるわ。そうしたら、まず皇都に行って、情報収集をして、それからゴーレム山の近くで家を探して、そしたらすぐに引っ越しをするんだから。
そうしたら、ガンガンレベル上げもできるし」
フルーは、玲奈のむきになった様子に、小さく笑った。
「なら、マスター。家を借りる金を貯めなければ」
玲奈は、次の拠点はゴーレム山の近くだと決めている。
やはり、MPポーションは儲けが大きいし、物理職のスキル上昇が速い。また、ゴーレム山には、弱いゴーレムから強いゴーレムまでが順番に配置されている。レベルアップには都合が良い。
その予定があったから、ギリムにもスドンにも金属系の生産スキルを取らせたのだ。
「そうね。お金となったら、3階の石ゴーレムよね。
しばらくは私たち二人のレベルは諦めて、ギリムとスドンを連れてゴーレム狩りをしようか」
焦ってはいけない。
きっと、急がば回れだ。
新入り二人のレベルが上がれば、パーティー全体の戦力は上がるのだ。
Lv12 見習い魔法使い
レイナ・ハナガキ ヒューマン
HP/MP 76/114
スキル 杖Lv19 瞑想Lv17 魔術運用Lv12 付与魔法Lv15 神聖魔法Lv11 四元魔法Lv17 特殊魔法Lv27 暗黒魔法Lv12 料理Lv38
Lv12 見習い戦士
フルーバドラシュ ドラゴニュート
HP/MP 182/35
スキル 剣Lv25 盾Lv16 重装備Lv10 活性Lv16 戦闘技術Lv11 挑発Lv15 調合Lv27
Lv1 見習い戦士
ギリム ヒューマン
HP/MP 11/1
スキル 短剣Lv3 投擲Lv2 命中Lv0.3 活性Lv3 踏舞Lv6 跳躍Lv2 観察Lv0.3索敵Lv0.2 装飾細工Lv1
Lv1 見習い戦士
スドン ハーフフェアリー(アース)
HP/MP 30/9
スキル ハンマーLv4 盾Lv2 重装備Lv0.5 活性Lv2 戦闘技術Lv0.2 挑発Lv3 魔術運用Lv0.1 神聖魔法Lv0.3 鍛治Lv5
(一年目 七月十七日)
早朝。
玲奈はドデカカボチャの皮を包丁でなく、カナヅチと短剣で剥いていた。
ドデカカボチャは、魔法学園の農耕スキルの教授が温室で作っている。濃厚に甘くて、この世界では貴重な甘味となる野菜だが、料理に使うには少し難しい。
なぜならばこのカボチャは、料理スキルが30以上ある人間でないと、皮を剥くこともできない扱いにくい野菜だからだ。
そのかわり、30から45の料理スキルの人間が扱うと、スキルが上昇する。
田舎ならば、料理上手のおばさんくらいしか、ドデカカボチャのパイは作れないし、都会ならばプロの料理人が使うだけで一般家庭に出回る食材ではない。
魔法学園の食堂では、冒険者が持ち込んだり、教授が趣味で作ったりした珍しい食材がたびたび使われる。それらの中には、料理スキルが高くないと使えない食材もあって、おかげで玲奈は普通の人よりもかなりはやく料理スキルが上昇した。
「ハナガキさん」
玲奈がカボチャを剥いている隣に、料理長がやって来て座り込んだ。
「そろそろ、食堂の仕事やめるって?」
「あ、はい。
拠点を移ろうかと思っていまして」
中年の女性である料理長は、食堂で働く料理人達の中で、どちらかと言えば若い方だ。しかし、料理スキルは飛び抜けて高いらしく、他の料理人はみんな彼女に敬意を払っている。
実は元奴隷で、元冒険者だったらしい。主人であった魔法使いと結婚し、奴隷から解放されたのだ。旦那さんも今、魔法学園で教授として働いている。
「そう。今までありがとう。
春から夏のこの時期は、学園の生徒さんも食堂で食べる人が多くて、いつも人手が足りなかったのよ。
魔法使いさんが食堂で働くなんて、どうかしらと思ってたけど、すごく真面目に働いてくれたし、水汲みなんて率先してやってくれたものね。
よく働いてくれたわ。
お礼にハナガキさんには、いくつか特別な料理のレシピをあげようとおもってるの。欲しい?」
「え!
ほ、欲しいです」
玲奈は驚いた。
「ハナガキさんは今、料理スキルはいくつ?」
「38ですっ」
玲奈が勢い込んで答えると、料理長は笑った。
「まあ、十分ね。
それじゃあ、このレシピあげるわ。
料理スキルが60になったら、良ければまたいらっしゃい。またいくつか特別なレシピを用意してあげるわ。
ただしその時は、代わりにいくつかお願いをするかもしれないけど」
「はい! ありがとうございます」
料理長が書き写してくれたらしい、レシピのメモを玲奈は受け取る。
ゲームでいう、特別なレシピを入手するクエストを完了したというところだろう。
また、魔法学園として考えれば、食堂が料理スキルの教授の研究室みたいなものなのだろう。
「また、いつでも遊びに来てちょうだい。珍しいアイテムを見付けたら、持ってきてくれていいのよ。そのアイテムの調理法を教えてあげる代わりに、私たちの依頼を受けてくれると嬉しいわ」
ギブアンドテイクということらしい。
「はい、分かりました。
あの、料理長さん。ちょっとお伺いしてもいいでしょうか。失礼でなければ」
「まあ、なあに?」
「その、料理長さんの料理スキルは今、どれくらいなんでしょう?」
彼女はにこりと笑った。
「料理スキルは、120よ。レベルは、70」
彼女はいたずらっぽく告げた。
(料理スキルが120って、すごくない?
ヤバい! それがどのくらいすごいのか、すごくないのかもよく分からない!)
「あら、ハナガキさん、驚いてくれないのね」
「え、いえ、すごいですね。
魔法学園の食堂なんて、勿体ないんじゃ……」
「あら、料理スキルの方をびっくりしたの?」
(ん? 料理スキル120よりも、レベル70の方が、びっくりなの? 確かに、料理人としては高いのかもしれないけど)
彼女は首を傾げてから、ややのろけ気味に語った。
「まあね、普通料理スキル120なら、王族の専属の料理人をしていてもおかしくないかもしれないけど。私実は、料理スキルほど料理が上手いわけじゃないのよ。
私、元は剣士だったの。
うちのご主人が、ドラゴンスレイヤーで、主に竜を狩る冒険者だったの。モンスターの種類は、固定しちゃった方が利益も出やすいし、なかなかの冒険者だったのよ?
料理スキルはそんなに真剣に上げてなかったんだけど、一応パーティーの食事係だったからね。
でも、竜を斬ってるうちに、勝手にどんどん料理スキルが上がったの。高レベルの獣形のモンスターを解体してると、それで料理スキルが上がることがあるでしょ。それに近いんだけど、竜って食材としてはかなり高レベルだったみたいで。
スキルレベルに、実際の料理の実力が伴っていないみたいだから、今は私もここで料理の勉強中なのよ。うちのご主人にも、もっと美味しい料理を作ってあげられるようになりたいし」
玲奈はしばらく、呆然としていた。
「そういうことって、あるんですね」
真面目に修行だけをしていれば、スキルレベルが上がるというわけではないという、やや残酷なこの世界の一例である。
「まあね。スキルレベルが高いのに、料理がさほど上手くないって言うのも、変な話よね。
でもやっぱりこの世の中は何事も、レベルとMP量次第だから。
私も、元は奴隷だけど、今は高レベルだからね」
「MP量次第、ですか?」
頷きながら、料理長は玲奈の先ほどもらったレシピを指差した。
「ええ。スキルレベルを上げるのだって、MPが多い方が楽だし。私は、スキルアップにMPを使わなかったけど、それはかなり珍しい例だわ。
そのレシピだって、作るのにMP10か15くらいは必要だわ。料理スキルが30あっても、MPが15あるかどうかはわからないでしょう。
MP量は人それぞれだけど、レベルアップすればMP量も増えるわ。でも、やっぱり魔法の才能のある人だと、レベルアップした時のMPの増え方だって全然違うわ。
魔法使いになれるほどのMPがなくても、職人にしろ商人にしろスキルを使う職業だったら、将来的に成功する見込みが高いのは、やっぱりMPが多い人間よね」
玲奈はレシピを開いてちらりと見た。
(あ! やった。ハチミツと砂糖の作り方が書いてある。
……砂糖)
喜びを顔に出さないようにレシピをまじまじ見てから、玲奈は心の中で首を傾げる。レシピの書き方が大雑把過ぎて、よく分からない。ハチミツや砂糖なんて、料理というより材料だし、それは仕方がないのかもしれないけれど。
MPの消費量についても詳しいことが書いてあるわけではない。
彼女が今言ったことが、この魔法学園のエリアで魔法使いが支配階級である理由なのだろう。
MP量の多い人間が、社会的に成功しやすいことが、世界のシステムとしてできあがっているのだ。スキルやレベルアップ、MPが存在するために。そして多分、MP量の多少は、どの程度かは分からないが遺伝にも影響されるのだろう。スキルの取り方でもMPの増え方は変わるから、スキルの取り方を一族で隠すことで、魔法使いの名門一族などもできる。
日本であれば、高学歴の人間がどのような職業に就こうと社会的に成功しやすいことと同じだ。
学歴に関係のない成功栄達も存在するが、高学歴の方が成功しやすい社会であることは間違いがない。そして、最も高学歴の人間が就く職業が医者や弁護士であるから、医者や弁護士は尊敬される。もちろん、収入の上下も重要だろうが。
この魔法学園のエリアでは、最もMPの多い人間が就く職業が魔法使いなのだ。だからこのエリアの支配階級は魔法使いなのだろう。
帝国領やエカエリ諸島のエリアで、物理職の立場が高い理由は、まだ分からないけれど。
「料理でお金を儲けようと思ったら、そのあたりのレシピだと利益が出やすいわ。皇都の冒険者ギルドには、ハチミツの入手クエストも結構出てると思うわよ。料理スキルがそこそこあって、MPが多くないと作れない食材だけど、甘いものを食べたい人はたくさん居るもの」
「はい。アドバイス、ありがとうございます。
それに、私も甘いものが大好きなので、とてもありがたいです」
「あはは、自分のためにハチミツ作るつもり? それもいいわね」
玲奈も少し笑ってから、料理長に対して、深く頭を下げた。
新章のタイトルがあまりに思い浮かばな過ぎて自分でもがっかりです。
未定にしようかとも思ったのですが、大したタイトルを付けるわけでもないのでやめました。章の内容が、タイトルとずれてきたら変更する可能性もあります。
魔法学園エリアで魔法使いが支配階級である理由は、このような感じです。スキルが生活に関わっているため、どのような職業に就いても、MP量が重要なわけです。
職人でも、本格的に生産を極めたいと思ったら、少しは冒険してレベルアップによるMP量やステータスの底上げに取り組みます。
でも冒険者になるわけじゃないので、冒険者に必要なスキルをあまり取ることができず、レベルアップは冒険者の卵よりもずっと大変です。
そう簡単に、レベル10にすら上がれる訳ではありません。