DARING CHALLENGERS Ⅵ
単なる実力試しである。そう言うとアギラは杖をついている。アレンは自分を油断させようとしているかもしれないという疑心に駆られた。しかし、先程から隙を突かれた時も傷を負わせるような攻撃は一撃も仕掛けることはなかった。
それでも自分の攻撃はまだ一撃も命中させていない。アギラの超能力が発揮される限りそれは難しいだろう。しかし、自分にはまだ更なる術がある。それはまだ完全にコントロールしたわけではない為に発動出来るかどうなすら確実ではない。
試してみるしかない…!!
アギラは精神を統一するかのように冷静なアレンの様子を伺う。大きな技を放とうとしているようである。しかし決して回避は難関ではない。
その瞬間の出来事だった。アギラの脳裏には何も浮かばない。一瞬だけアレンの思考が読めなくなったのである。
そして、その一瞬で勝負はついていた。アレンのその姿は平和軍本部にて編み出した能力と同じである。彼の身体は純白のローブに包まれ、聖煌剣の形態も変化していた。その剣によるシャイリアス・レイは通常の五倍程の威力がある。アギラはアレンの能力を見破ることが出来ず、そのまま膝をつく。
「見事です…あなたならば、変えられるかもしれませんね。この世界を…そしてあなたの世界もね。」
元の世界に戻り、アギラが敗北したことに旅団の魔人たちは驚愕していた。そして続けて第三魔人ティア・ワルディーンが前に出る。
「アレン、お疲れさま。こっからは、あたしの出番ね!」
まだ先日の事件から日も経っていないにも関わらずビアンカは闘志を燃やしていた。相手は小柄な体型をしていてブロンドの髪をいじっていた。
「お手柔らかにねっ♡」
「あら…悪いけど、あたしは本気でいかせてもらうわよ。」