DARING CHALLENGERS Ⅲ
今この空間において存在するのはアルフレッド、ヤマヌシの二人だけである。つまり、介入する者はいない。これこそ真の一騎打ちである。
アルフレッドは愛槍ルドゼラを手にして相手の出方を伺っている。解放しないとはいえ、相手は魔人である以上どんな手段を繰り出すか予測がつかない。
「来ぬか…」
「いやー、やっぱりとりあえず洞察しないとねぇ…」
危ないからさ
彼は風のごとく背後に回り込み、一気にその体を貫いた。しかし、彼はすぐに感づいた。
手応えが全くないと…
「どうした?気を緩めるな。」
刀を抜くモーションが見えないまま強靭なる刃によって傷つけられた。
どういうことだ…?たしかに背後を取り、たしかにルドゼラで攻撃をした。しかし…手応えがなかった…
「見えぬか?拙者の刃が。」
「おかしいなぁ…」
「無理もない。絡繰りを見破らない限り、お主に勝機はない。」
アルフレッドはヤマヌシが刃を抜く瞬間に注目した。そして、彼は気づいた。その刀には刃が付いていないことに…
それはまた再び肉を裂いた。それは間違いなく存在する。しかし、まるで見えない刃である。
「面白い刀だね、それ」
「案ずるな。直に終わらせてやろう。」
ヤマヌシは駆け出して刀の柄に手を添える。また見えない力が容赦無く襲い掛かる。
しかしながらアルフレッドはルドゼラを前方に振り出した。互いの武器が軋んだ時、わずかに刃の姿が現れた。
一瞬の内に再び消えたが、後ずさった瞬間地面に触れた途端姿を現した。
「なるほどね…」
アルフレッドはにやりと笑う。どうやら、見えたようである。
「そいつは皮膚以外の物質に触れた途端姿を現す…そして僕の予想だとそれは姿を現す度に何らかの劣化が生じる…なんてトリックかな?」
「ふん…確かに、拙者のこの冥刀はその姿を消し、現れる。だが、真の能力はそれだけではない。そして、それはもう起きている。」
不審に思った彼はルドゼラを握り直して突風を起こすことを試みた。
しかし、それはあまりにも弱い。思うように魔力を込められずにいたのである。
「気づいたか。この刀の形を見た者に発動する能力…それはお主の力を確実に奪う。
一度見た者は魔力の半分を封印される。そして二度見た者はまたその半分…観念するが良い。」
つまり、今アルフレッドの魔力は通常の四分の一しか出せない。絶体絶命の危機に瀕しているのである…!!