DARING CHALLENGERS Ⅱ
軽快なジャズがぴたりと止んだ時、第二魔人のスルガはグラスを手に取りブランデーを飲み干す。アルコール臭を放ちながら彼は前に出る。
「おいドルコン。こいつらのどこがすごいんだ?あん?」
彼の台詞に過剰な反応を示したスタークはスルガの胸倉を掴み睨みつける。できれば何ごともなく事を進めたかった…
「おいおい、言ってくれるじゃねぇか。」
「あん…?強そうに見えねぇんだよ。」
「やるか…?」
目を逸らすことのない二人が同時に剣を抜こうとした時、スルガは体に何かとてつもない圧力がかかったように倒れた。
それはラストによる何らかの能力だった。冷静さを保ったまま彼は歩み寄る。
「くっそ…!!」
「無駄な戦闘は控えろ。それで…?俺らに何の用だ?」
「彼らはミー達と同じく打倒エデンという目標を掲げている。そこで、同盟を結んで戦力に加えたいの…さ。」
「…なるほど、奴は人間か。名前は?」
「アレン…。アレン・クロニクル。」
「良いだろう。では、テストをしようじゃないか。」
そう言うとラストは壁に設置してあるスイッチを押した。するとこの酒場にセッティングされていたショーステージの地形が変化し、透明のキューブになった。
それに触れながら話すラストの方へとスルガ、ヤマヌシ、ティア、アギラは近寄ってゆく。
「こいつらに勝ってみろ。ただし、こちらは魔人化は使わない。イーブンな条件で戦いを行う。」
これは小手調べにしては相当ハードである。ドルコンらに匹敵する実力者達を相手にするからだ。こちらで戦闘を行うのは治療担当のマリオを除いて必然的に四人…。
「おもしれぇ、やってやろうじゃねぇか。」
「では、始めようか。最初は誰が出る?」
互いに相手の戦術がわからない以上、実力面以外では対等である。そして最初に名乗り出たのはアルフレッドだった。
「気をつけて!」
「あぁ、ちょっと頑張ってくるよ。」
それに対して旅団側からは第六魔人ヤマヌシが出る。草履で床を踏み締める音が響く。やはりその風貌は侍そのものだ。
「お手柔らかに。」
「拙者はお主が如何なる者か知らぬが…しかと試させていただこう。」
互いにキューブへと近づく。すると二人はその内部へと密閉されてしまった。これは魔力によって作られた戦場であり、内部に入った者の精神のみが機能する。つまり、この間肉体は抜け殻のようになる。