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THE TEAR OF WORLD  作者: FRONTIER
SCARLET XXX
88/110

EDEN Ⅲ

この異世界にはイノセンスの力を司る四つの魔石があり、それらはそれぞれ四種の部族に守られていた。



そして、エデンは最初にここからはるか北東のグランドバレーへの遠征を決断した。そこにはエリオット・アンリ、セル・ムルジュらファーストクラスと複数の下級兵を引率することにした。




「ほな…エリオットはここにおったらええ。どうせ、夜にならないとあかんしなぁ。」



セルは下級兵を引き連れて別室へと移動した。そこにはエデンに設けられている特殊研究所によって開発された物質転送装置が設備されている。


それによってピンポイントではないものの目的地付近にまで瞬間的に移動可能となる。




さぁて、祭の始まりや…エデンの更なる台頭を祝う祭やで。







同時刻、北東に位置するグランドバレーの頂上に存在するにネリスト城周辺にて。


空に浮かぶ満月が城下街を照らしていた頃、一人の庶民が追い剥ぎによってなけなしの金銭を奪われていた。


日中は商人達によって繁盛しているが夜はこの有様である。




「へへへ…これはいただいていくぜ。」



必死にしがみつき抵抗していた庶民の腕を蹴り、逃走しようとした時だった。


どこからともなく軽快な汽笛の音色が鳴り響く。それを聴いた追い剥ぎは焦燥感に駆られる。


そして突然現れたのは煙草を加えた浴衣姿の女性だった。彼はけだるい雰囲気を醸し出しながら追い剥ぎに接近していく。




「あ、あんたは…!」



女性は徐にダイスを取り出して転がす。その目は3を示していた。



「ちっ…あんたツイてるね。温いやり方で済ませてあげるよ。」



すると女性はダイスを掴むと、握った手が輝き出した。女性の手には扇が現れ、それを広げた途端魔力が上昇し始める。




「観念しな!!絶扇波!!」



扇で前方を扇いだ途端に凄まじい疾風が追い剥ぎを吹き飛ばす。そしてその隙を突くように女性は手の平でダイスを転がし2の目を出した。


女性が頭上へと跳んだ瞬間に新たに現れたのは巨大な独楽(こま)だった。重量のある独楽は追い剥ぎを容赦なく潰した。





「悪は成敗するまでよ!」



追い剥ぎが気絶した後にまた新たに二人が到着した。二人は女性の味方である。


彼らはグランドバレーに拠点を置いて活動しているハンターである。ハンターと言っても悪事を働いた賊を捕獲することを生業としている。この地域では彼らのようなハンターは数多く存在する。




「まったく…お前はいつも勝手に急ぐんだから。ついていくの大変なんだからな!」



彼はリーダーのエース・リッチモンド。銃使いである。




「まぁまぁ、結果オーライですよぉ。」



常に笑顔でおっとりとした口調の青年はシオン・レジスタ。三人の中で唯一属性を持つハンターである。




「なんだい…せっかく成敗したのにさ。」



気性の荒い彼女はジュリア・ミレオン。賭博をこよなく愛している。



そして彼らは追い剥ぎを北東平和軍へと引き渡して報酬を受け取った。


平和軍は世界各地に設けられている。先日の激戦によって壊滅状態に陥っているものの、各地の兵士達は通常通り警備を行っているのだ。




雄大なる景色を誇るグランドバレー。この時まだ誰もが後の惨劇を予測していなかった…。


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