EDEN Ⅱ
会議室にいる全員がひしひしとその近づいている魔力を感じていた。そして、それは扉を目前にして立ち止まる。
扉が開き、No.10の席を埋める人物が現れた。見かけはまるで少年のようである。少年は仮面を被り黒色の武装を身にまとっていた。
テーブルに肘を置いて様子を伺っていたボルカニックはあることに気づいた。
(こいつ…まさか…)
「実はの、こやつは随分前からエデンに存在していたのじゃ。但し、何年間も楽園にて鍛練を積んでいたがな。」
楽園…その名を聞いた時にファーストクラスの者が皆耳を疑った。
楽園とは11番以下の兵士がファーストクラスへと昇格する時に修業を積む空間である。そこでは死に値いする程過酷な試練が待ち受けている。
「へぇ、楽園で何年間も…ねぇ。」
アランは楽しげに少年を見つめていた。しかし、それは彼だけではない。通常彼らでさえ楽園には一年程度しかいられないのである。
「では…小手調べといこうかえ。」
すると閑散とした会議室の中に三つ首の巨犬が突撃してきた。これは研究に研究を重ね誕生した悪魔である。
それは咆哮を揚げて少年を威嚇する。すると彼はゆっくり剣を取りだす。
悪魔が突撃してきた時その凶刃は首を一つ切断して、背中へと瞬間的に移動する。
あまりの速度に悪魔は硬直したまま微動だにしない。そして少年は剣を剛健な背中を容赦なく刺した。少年は血肉が飛び散りつつも何一つ様子を変えなかった。
しかし、驚くべきことは地獄と同等の楽園を生き抜いただけではない。なぜなら彼は…
その後状況は沈静し、会議は進行していった。今夜の会議はとある場所に住む四種族達に関する内容である。
その種族達はそれぞれイノセンスの潜在能力を司る魔石を所有している。それを奪取することが現在のエデンが優先する目的なのである。