THE DIVINE JUVENILE Ⅱ
圧迫されつつも剣を手にしてハルに攻撃を仕掛ける。接近すると、彼は片手から雷を発した。先程よりも明らかに威力が弱めてあるが、それでも速度は尋常ではない。
ギリギリのタイミングで避けたあと、すかさずもう一度雷を放つ。
ハルは余裕の表情を浮かべていたが、アレンが捨て身の覚悟で聖煌剣で弾き返したことには驚いたようだ。
アレンはその勢いでそのまま剣で一撃与えようと試みた。しかしながら、ハルは球体の透明ガラスのような物で周囲から守られていた。
防御の能力も兼ねているのか…!!
「君、神の持つ能力を知っているかい?」
彼は近づきながらそう言う。油断してはいけない。それと同時に距離を置く。
「まぁ…」
人間にはわからないだろうね。
耳元でハルが囁く。手を差し延べると心臓にも届くほどにまで接近していた。
全くわからなかった…瞬時に脳が反応することすらできなかった。
聖煌剣を振り攻撃を仕掛けてみたが、彼は元の場所へと戻っていた。
ダメだ…何が起きているのか…
「教えてあげよう。神の持つ能力とは、
万物を司る能力さ。つまり、こういうことだ。」
こんな事が有り得るのか…?あらゆる属性の中で、二つの属性を持つ能力者なんているのか!?
右手から猛る火炎、左手からはさらに威力を増した雷を放った。それに対抗する術もなくダメージを受けてしまう。
これが魔人旅団を倒した能力なのか…!!
「よくここまで来たね。天国はすぐそこだ。」
ハルが最後の一撃を与えようとした時、それを間一髪で何者かが防いだ。
灼熱を帯びた体、殺気立てた髭男…爆風で乱れる赤い髪、深紅の剣を持ったそれは間違いなく悪魔だった。
その姿が徐々に人間のように変わっていく。
まだだ…まだ終わってはいない…!!
「ふぅ…間に合ったか。ユー…観念しなよ…!」
「神とやらを冒涜しに来た…とでも言おうか。返してもらうぜ、俺様達のなかまをな。」