ANTAGONISTIC TWO MIGHTS Ⅲ
「見せてやろう…我々平和軍の力を…!!」
神々しい白い輝きがグロリアを包み込む。それはアレンにリーガルとの戦闘を彷彿させた。
浄魂…!!平和軍上位兵に与えられた力である…
リーガルはあの時、ハルとかいう人物と一体化すると言い残したはずだ。
すると連絡橋の向かい側にある建物から重々しい魔力がグロリアと共鳴しているのを感じた。
間違いない…あの奥にいるんだ…!!おそらくは平和軍の総帥だろう。
「……人間風情が…我々に背いた大罪の重さを思い知るがいい!!」
グロリアの姿が消え、そして腹部に違和感を覚える。それは容赦なく貫通した。
現状を把握できないまま自分の体から血液が吹き出る。
その時、アレンは心の中で最悪の結末を悟った。
「死」というワードだけが脳裏に浮かぶ。
まずい…グロリアの声が聞き取れない…視界もぐらついてきた……
いやだ…こんなところで…!!
「あぁああ…!!アレンが…!!」
マリオはもはや恐怖心から涙声を発するのがやっとだった。
「貴様も死をもって償うが良い。」
あえて少しずつグロリアは近寄る。
徐々に終わりが迫ろうとした時、彼は異様な気を感じた。しかし、それは何かはわからない。
なんだ…僕は死んじまったのかよ……
終わりのない暗闇の底へと落ちてゆく体…
そこは紛れも無く死後の世界といえよう。体がゆっくりと沈んでいく。まるで海の中にいるような感触である…
その時、アレンの肩を掴む手が現れた。ふと見てみると、そこにはスタークの作り上げた世界で共に時間を過ごしてきたリースだった。
「…大丈夫です、呼吸も出来ますよ。」
吸ってみると、たしかに呼吸が出来る。いったいここはどうなっているのだろう…
「リース……僕は一体どうし…」
「交代の時が…来たのですよ、アレン・クロニクル…」
イマイチ内容を理解できない。交代…何をだ!?
「今後は…」
すると何者かがリースの隣りに出現した。
しかも、それは…!!!
「俺様がアレン・クロニクルだ…!!」
なにもかもが僕に似た…いや、もはやアレン・クロニクルそのものだったのだ……