ANTAGONISTIC TWO MIGHTS Ⅱ
グロリアの実力は自分自身がわかっているはずだが、あれが本領だったとは到底思えない。
もし彼が総帥を除く平和軍の指揮をとっている人物なら、間違いなくまだ奥の手を隠しているだろう。
そして彼は剣を抜き、前のように雷を放つ。それにしても、やけに遅く感じるのは何故だろう。
わざとそうしているのか。いや、そんな回りくどい戦法など取らないだろう。
「ふん…どうやら私の雷を避けるほどの実力をつけたようだな。
ならば、こんな子供騙しをする必要もないか…」
もちろん、その彼の一言は意外だった。
力の差は以前に比べて縮まったならば…勝機はある…!!
グロリアは眼鏡を外し、そして利き手に剣を持ち替える。
強い目力に一瞬押された時、四方から異常な威圧感を感じた。いったいいつ、どこから攻撃がくるかわからない…!!
集中しろ…そして、見極めるんだ…!!
軋る剣の音が響き渡る。雷が走っている剣を手にしたままグロリアは数メートルの距離を空ける。
ばかな…あの小僧に今の速度が見切れるはずがない…!!
冷や汗をかき、息が止まりそうなほど周囲の空気が張り詰める。
そして瞬きをした時、アレンは間隔を狭めて聖煌剣で先制して一撃を与えた。
あまりの速さ故、数コンマ遅れて彼の体から鮮血が流れた。
状況を理解出来ないままでいるグロリアはもはや辛うじて冷静さを保てていた。
「理解出来ないかい…?僕はここでの戦いを通して、ようやく聖煌剣の真価を見つけたんだ。」
「………ふっ……はっはっはっは!!!」
彼の高らかな笑い声がその場に響く。
「私の…私の本領がこの程度とみたか!?
ならば見せてやろう…我々平和軍の…力を!!」