ANTAGONISTIC TWO MIGHTS
アレンとマリオはその後仕掛けられた罠や兵士達を倒しながらさらに奥へと突き進んでいった。
部屋から部屋へと移っていっても景色は何も変わらない。ただ殺風景な空間が続いているだけだ。
だが、それはいつまでも続いてはいなかった。マリオがアレンを呼び止めて地図を床に広げる。
「いまはこの中心部に繋がっている連絡橋の手前っす…おいら達平和軍の総帥がいる部屋は…もうすぐそこっす。」
「それじゃあ、あの橋を渡った先に……」
ビアンカがいるのか…?
体が無意識に駆け出す。そこにいる奴らを出し抜けばこっちの勝ちじゃないか…!!
しかし、それを阻む者がいた。白い制服、銀縁の眼鏡をかけた彼は連絡橋の向かいから足音を立てながらゆっくりと歩む。
「あ、ああ…!!」
マリオは彼を見た途端におののき、言葉すら出せない。
この魔力、この威圧感、この緊張感……間違いない…!!
「…グロリア……!!」
「また会ったな…小僧」
ビリビリと伝わってくるこの緊迫…一瞬でも気を抜いたら負けだ…!!
「…シルヴァから聞いたぞ。彼女に勝ったそうだな。」
「あれは…勝利なんて立派なものじゃない。」
「ふん、謙遜する必要はない。喜ぶがいい。我々平和軍と対等に戦えたことを。
そして、この私とここで剣を交えたことを悔やむがいい。」
グロリアは細い刀身の剣をゆっくりと抜き、そして魔力を徐々に上げていく。
ほんの少し前の自分ならここで実力の差に落胆し諦めていただろう。
もうここまで来たんだ…どうせなら、自分の底力を信じてみようじゃないか…!!
「いくよ…!!」
「来い……今度こそ私の手で抹消してやろう!」