ALLY OR ENEMY? Ⅱ
テセラは彼の落ち着きぶりが気にいらないような様子で、徐々に怒りをおぼえる。たしかに、この危機に瀕している相手がその様子では動揺するだろう。
痺れを切らしたテセラは大きな風を巻き起こし、それをアルフレッドに目掛けて飛ばした。
普段のアルフレッドならば対抗できる魔力だが、その術は意味をなさないのだー……!!!
「僕の能力で長けているのは破壊力じゃない、速度だ。
僕は風属性の中では最速…君は黒い風のせいで視界が悪かっただろうけども、僕は君があの巨大な竜巻を起こした瞬間に…
がら空きな君の背後を取っている。」
直ぐさま振り返ったテセラだが、反撃を繰り出す間髪もなくルドゼラで直接刺した。
抵抗力すらなくなったテセラは瞳を閉じて草原に倒れ込む。アルフレッドは彼の脈が打っていないことを確かめ、その場を去ろうとした。
「ブラボー!!いやーたいしたもんだ!」
だみ声じみた喋り方をした髭男と長い赤髪の体格の良い男、眼鏡をかけたボサボサの髪の女性が突如現れた。
「君たちは…?」
「私達はブラボーな戦いっぷりをただみていただけなの…さっ!
ユーはエデンの人間だったそうじゃないか?えぇ?」
「それなら、僕に何の用だい?殺しにでも来たのか?」
「ノンノン…私達はユーにイイコトを教えにきたん…だっ!」
男はしきりに髭を触りだし、間を置いて話を続けた。
「ユーの仲間が相打ちになって倒れた…。」
「なんだって…?スタークが…!?」
「そう…さっ!ヘイ、リサちゃん、出してやってくれ!」
すると眼鏡の女性が頭を掻いて呟く。
「…私を倉庫みたいに言わないでくださる…?」
細い手を前にかざし、何かを掴むように動かした。すると彼女は紙を破るみたいに目の前を裂いて箪笥のような物を取り出した。
その引き出しを開けると、またさらに四次元のような空間が続いている。そこに手を伸ばし、彼女は服の裾らしき布を引っ張る。
それは、紛れも無くスタークだった。
「安心なさい。この空間に居る間は治癒が行われるのです。」
よくスタークの体を見ると、まだ傷が多少あるが、はっきりした外傷はなかった。
「君たちは一体…?」
「…エデンでもなければ平和軍でもない。
私達は…魔人旅団なの…だっ!」