A JUVENILE DEVIL Ⅴ
突然現れた悪魔のような謎の男、そして魂を喰らうなんたらとかいうスタークの出現、もう頭がおかしくなりそうだ。わけがわからない。
しかし、もうこんな事態だ。少なくとも彼は僕を殺すつもりはないようだ。ならば、一緒にいれば安全なのかも…!?
「あー…そいつは面倒だ。実に面倒だねぇ。」
「そんな…!このままここにいたら僕は殺されてしまう!またさっきみたいな奴らに!!」
「ふぅん……」
こいつ…何を考えているのかよくわからない…。さっきは僕を助けてくれたんじゃなかったのか!?もはや恐怖なんかなかった。僕はスタークの肩を掴み睨みつけた。
「まぁまぁ、そんな怒んなよ。それより…」
すると突然爆発音が響いた。その方向を見ると、先程の男のような人物が大勢いた。その中心には髭を生やした体格の良い男性がいた。
周りのやつらとはまた一風変わった感じだが…どうやら味方ではないみたいだ。
「うぬ…やはりここにいたか、スタークよ。」
「ひゃー、駆け付けるのが早いねぇ…そんな俺派手にやらかしたっけか?」
「ふん…こいつらは死ぬと最後に菌を撒き散らす。儂にはそいつの匂いがわかるのだよ。」
「なぁるほど、そいつが例の菌か?なら…いつまでもこうしちゃいられないねぇ…」
スタークは少しずつ後退る。背中の方には何もない。夜景が一望出来る窓が羅列しているだけだ。
しかし、彼は何故かニヤついている。一体何を企んでいるのかわからない。
そして急に僕の足は地面を離れた。宙に浮いたのではない、スタークが僕の体を背負い込んだのである。
すると彼は窓へ向かいダッシュし始めた。おいおいまさか……!!??
「いくぜぇええ!途中で吹っ飛ぶんじゃねぇぞ!!」
窓を突き破り、僕らは夜の街へと急降下していった。
無論、やつらは追いかけては来ない。
会場には髭の男性と漆黒の集団がいただけの空間となったのだった。
「逃げたか…ふん、まぁいいわ…このまま逃がしはしないぞ。この街を消してでも儂の手で貴様を殺してくれるわ…!!」
こうして、はちゃめちゃな一夜が幕を開けたのであった。
まだまだ夜は明けない。グロテスクなパーティーは始まったばかりなのだから…