COMING TO A HEAD Ⅵ
「よし、わかったか?お前たち。」
要するに、スタークの話は次の通りである。数時間前、彼らは今日も現世でスタークの住み着いていた小屋で一夜を明かすことに決めた。
そして、彼らはこれからの行く先を考えていたところだった…。
無論、これから倒すべき者達、マリアは常に現世にいるわけではない。むしろスタークを始末するために現世に出向いてくるのである。裏切り者は相当の処罰を受ける…これはどこでも同じルールなのである。
裏切り者………。スタークもその一人である。彼には…同僚だったビアンカやアルフレッドですら知らないベールに包まれた過去があった…。
「ふう…懐かしい過去だな。まぁそんなことはいいや。
いいか、やはりこのまま現世にいても組織の元には行けやしない。」
「ということは…スターク、やっぱりあたし達は……」
「あぁ、異界に行く。今横でのびてるこいつも、魔力を手に入れたことだしな。」
先程リンセイが逃亡する際に開いた異界の扉…それは開いてから三日間は跡が残ってしまう。つまりはもう一度開くことで異界に繋がるのである。
「よし、わかったか?お前たち。」
皆の頑なな決意は変わることはない。おそらく、いや絶対にアレンもそうにちがいない。
なぜなら、戦うべき敵がいるから。倒すべき敵がいるから。
救うべき世界があるから…!!!
「はぁはぁ…なんだあの人間は…!?」
リンセイは辛うじて異界の何処かに存在するマリアの組織…またの名をエデンの元へと帰還する最中だった。
彼はアレンとの戦いを後にして大きなダメージを受けていた。その為救助を求めてに来たが、道中にて人影を発見した。
それは林立する枯れ木の上に座って景色を眺めていた。その正体を知ると、一瞬の間に木から降りて彼は肩をたたかれた。
「リンセイ君やな?君…何のこのこと帰ってきてんねん。理由、聞いたろか?」
「………あ……ああ…」
リンセイは恐怖のあまり微動すらままならない。蛇の如く絡みつくその冷たい手…彼はエデンに所属している者だが、上位階級だったバギーと対等である。
薄い緑色の髪…そして独特な口調故に周囲でも毛嫌いする者がいるらしい。しかもそれだけではない。
「ないんか?ほな…死んで詫びてくれ。」
目を大きく開き、地面から木々の根が出てきてリンセイの心臓をピンポイントで貫いた。
そして吹き出た血液は木々に吸収され栄養として蓄えられた。もちろんこの木はただの木ではなく、魔力によって血肉に飢えた魔物へと変貌を遂げている。
「…また派手にやってるのか。」
「おやぁ、テセラやないか。何や?君も気になるんか?」
「馬鹿、俺はモーファ様の命を受けた。人間を引き連れた反逆者達がこの世界へと戻ってくるとな。」
「ほな…行こか。ちょいとお遊びや。」
COMING TO A HEAD…!!