COMING TO A HEAD Ⅴ
「アレン…アレン…アレン…おや?そんな名前私は存じませんなぁ。戦力外は引っ込んでていただけます?」
「やってみるか?こいつと。」
スタークはにやりと笑いそう言う。それは自信の表れと言えよう。たしかに、修行を終えた彼の魔力は飛躍的に上がっている。それは明白であったが、それだけではない。
アレンが手にしていたのは、従来の剣ではなく、正真正銘聖煌剣だった!!
「面白い!!あなたから先に始末させていただきますよ!!」
鋸を両手にリンセイは笑みを浮かべながら迫る。ところが彼の一撃はアレンの剣で受け流され、そしてその瞬間に生まれたわずかな隙を突かれて逆にダメージを与えられてしまった。
しかも、それだけでは終わらずにアレンは何度か斬り続ける。リンセイは魔力を解放していたため、それでダメージを軽減していたが、深刻な傷を負わせられた。
もはや、力の差は歴然たるものだった。
「がはぁ…!!な、なぜ私が…に、人間ごときに…!!?」
「人間ごとき?………笑わせるなよ、お前はその人間に負けるんだよ。」
怒りをあらわにしたリンセイは最大限の力の解放を試みた。すると二本の鋸が合体して巨大な刃を持った鋸となった。
「ははははっ!!!しねぇえええ!!!!!」
辺りの空気が張り詰める。息苦しささえ感じた。それは、アレンの魔力がさらに、またさらに上がったからである。
彼は剣先をリンセイに向ける。そして、聖煌剣を解放するため、叫んだ!
聖煌剣…解放!!
シャイリアス・レイ!!
リースのように…彼の剣から神々しい白い輝きが放たれた。その場にいた皆の視界が一瞬眩んだ。良好になり始めた時にはもう決着はついていた。
アレンの初陣は見事な結果となったが、反動が彼の体を襲いそのまま意識を失った。
「………はっ、あいつ…変わった力を手に入れたようだな。」
あれほどの魔力の攻撃を受ければただでは済まない。たしかに、リンセイは戦闘不能となった。しかし、死んではいない。その代わりに、魔力をほぼ完全に喪失していた。命を奪うことはしたくない…彼の想いが表れた能力である。
「お…覚えていなさい…!!私はまたあなたたちの前に現れ…そして……殺す!!」
彼はそう言い残して現世から異界の扉を開き、この場から去っていった。
全滅の危機を迎えたが、なんとか免れた。しかし、それは他ならぬただの人間だったアレンの活躍があったからである。
緊迫感から脱した彼らはひとまずもう一夜この世界で過ごすことにした。
そして、スタークからひとつ提案が持ち出された…。