COMING TO A HEAD Ⅳ
リースによる一撃が目前に迫り、もはや命拾いという結果で終わらないと諦めた。しかしながら、不思議なことに神はアレンを見捨てなかった。絶対に直撃したはずなのに…壁が崩壊しながらも自分の身体は無傷だった。
「あれ…??どうして僕は……」
「………まだお分かり頂けませんか?」
彼女が一体何をほのめかしているのかが理解出来ない…それはたった今命拾いしたことと関係があるのか?
そういえば、さっき聖煌剣の魔力放出に腕が当たった時も痛みが皆無だったと思い出した。もしかしたら、彼女の攻撃は受けないのだろうか。
………一か八か、試してみよう。
リースが再び剣をぐっと掴み攻め込む。互いの距離が少しずつゼロとなっていく。そしてアレンの腹部に剣が刺さりそうになった瞬間に彼は剣を手放した。聖煌剣は容赦無く彼を貫いた…!!!
やっぱりそうだ…痛みもなければ血すら出ていない。そう、これが最後の試練…恐れを消し去ること。そして、同時に彼の力を上げる修行となる。
「よく気がつきましたね…もしかしたら、貴方はわかっていたのではありませんか?この聖煌剣は…貴方の真の力なのですよ。」
知っていたさ。なぜなら、剣が体に当たる度に温かさがあったからだ。誰の物でもない…僕の……
僕の魂の温かさが…そこにはあったんだ。
さぁ……現世に戻りなさい。そして、強く生きなさい。貴方は一人じゃない…!!
通常ならば初見とはいえ、こんな魔力しか持たない者に押されるはずがない。しかし、アルフレッド達は異次元への扉を長時間維持していたため、魔力を相当消費している。今の彼らは…通常の5分の1の力しか発揮出来ていない。
リンセイの武器は二本の小刀であり、魔力が上がると刀身が鋸のような形へと変形する。
リンセイはボロボロのアルフレッドを容赦無く鋸で肩に斬りかかる。なす術もなく彼はその場で倒れ込む。鮮血の臭いが周囲へと広がっていく。
そして身動きが出来ないビアンカへと近づいていく。
「待ちなよ…まだ僕は死んでないさ…」
「おやおや…おとなしく死んでいればよかったものを…それでは、これで終わりにしてさしあげましょう!!!」
鋸が振り下ろされる。しかし、それの刃が当たったのは白い剣…そして、魔力が飛躍的に跳ね上がりリンセイは勢いを失い一旦退いた。
目の前を見ると、赤髪の男と人間の少年が立っていた。いつ現れたのかわからなかった…!!
「………誰ですか、あなたは…?」
「アレン・クロニクル。お前を倒す男だ!!」