STERN DISCIPLINE Ⅳ
残るところ後1時間。その間に二枚目のコインの在り方を探ることが出来た。そして、その在り方である断崖のふもとへとやってきた。
辺りを探してみたが、魔力を感じるが見つけられなかった。どこか岩々の下のような取れない場所に落ちたのだろうか。
すると、前方からスタークが歩んできた。そしてその手はコインをにぎりしめていた。彼は行動に移って早々コインの在り方を突き止めたのである。拡散させた時に自分すらその場所を知らないのにも関わらず。
「あとは一枚だな。さぁて、どこかねぇ。」
実はお互いにもう場所に気づいていた。ここからそう遠くはないオアシスの泉の中である。しかし、そこには罠が仕掛けられていた。
「アレン、もう場所はわかってるんだろ?なら、取ってきな。ただし、取れるもんならな。」
何かたくらんでいるのか。いや、そうではない。気掛かりなままそのオアシスの方角へと走り出す。しかし、奇妙なことに一向に辿り着ける様子ではない。
そして、アレンは気づいたのだった。蜃気楼という自然が生み出したトラップにかかっていることに…!無数に広がるオアシスが彼を惑わせる。
「………これは…!!どうすればいいんだ。」
「………大丈夫です。本物は、一つだけなのですから。」
リースはそういうと、時計を気にし始めた。おそらく残された時間はもうほとんどないのだろう。
本物は一つだけ……どんなに酷似した物でも、見極めればそれに気づけるのだ。アレンは全神経を研ぎ澄ませてみた。
緊張感が込み上げる中で、そして数多くある中で彼が選んだのは北の奥にあるオアシスだった。
そして、そこの泉の中に金色にきらめくコインが沈んでいた。拾い上げた時、リースの時計のアラームが鳴り響いた。
「……おめでとうございます。アレン様の勝利です。」
一気に疲れが込み上げてきて、僕はそのまま意識を失った。気づいた時には砂漠は消え、最初の殺風景な部屋へと戻っていた。どうやら、今日の訓練は終わったようだ。
外の世界ではアルフレッドが交代して、一方ビアンカは疲労を回復するために仮眠をとっていた。人間の世界では、星が降る穏やかな夜を迎えていた…。