STERN DISCIPLINE Ⅱ
アレンはひたすら辺りを散策したり、目的地もなく走り回るが一向にコインが見つかる様子はない。
あまりにも疲れたため、限りなく広がる砂漠の地面に仰向けになって大の字となる。まがい物の太陽のせいで汗が額から滴り落ちる。
もうどれくらい時間がたったのか…それだけが気掛かりになりかけていた。
「只今、3時間経過致しました。」
「ふぅん…そっか…………え??」
誰…?赤縁の眼鏡をかけた背丈がとても低い女の子がいた。
「私は今回貴方の修行をサポートする案内人、リースと申します。スターク様の命により、本日は貴方に時間経過を伝える役割を務めさせていただきます。」
「そっか…よろしく!」
「よろしくお願いします。」
彼女は深々と頭を下げる。なんか堅苦しい子だけど…僕があれこれ言うこともない。
また再び起き上がり辺りを散策する。しかしいつまでもこのままだと絶対にコインなんか見つからない。
大変疑わしいけれど…あいつの言ってたことを試してみるか…??
その場で立ち止まり、僕は……コインだ。コイン以外の何者でもない!と心の中で何度も唱え続ける。
それを数分間続けてみたが、全く変化はみられない。
「あの…」
リースがおそるおそる何か尋ねてきた。
「………何をしていらっしゃるのですか?はっ…またスターク様は…」
………どうやらアレはデマだったようだ。あいつ…これが終わったら一発殴りたい気分だ。
では、どうしたらいいのか?しかし彼女いわく、スタークのアドバイスは全くの嘘ではないらしい。
「どういうことだい?」
「もし貴方の背後に誰かがいたら、気配を感じるでしょう?それと同じように、魔力を持つ者は魔力の気配を感じることが出来るのです。
貴方のその剣…それは昔スターク様がお使いになっていた物です。まだ少しだけ魔力が残っているようですね…
そして、それを持っていたことで貴方は微少ながらも魔力を感じられるはずです。
ここは一度、心を研ぎ澄ましてみて、コインの魔力を探してみてはいかがでしょうか?」