MENACE Ⅳ
バギーの魔力も跳ね上がり、舞台は二人の激戦区となった。こうなれば誰も手を出すことは出来ない。ビアンカにはアレンと待機する以外にすべきことはなかった。
「信じるのよ…スタークを。」
「………あぁ……!!」
スタークは人差し指をバギーに向け、そこから魔力による光線を発生させる。目にも止まらない速さで彼の肩を貫いた。
一瞬怯んだ時、スタークは紅く輝く剣を手にして渾身の一撃を与えた。今となっては完全に彼が優勢である。これが魔人解放なのか…!!
「…解せぬ!!何故……儂が押されているのだぁああ!!」
「………………」
スタークは深く息を吸い出し、尋常ではない雄叫びを揚げる。いつもの彼ではなく戦いに飢えている獣のようにも見える。まさか……今のスタークは人格を失い暴走しているのか!?
「………誰かいないのか!?助太刀する者はおらぬのか!!!」
バギーはかろうじて動ける体を起こして辺りに助けを呼びかける。すると空間が割れてその中から現れたのはキースだった。
キースは上司であるバギーを助けようと手を差し延べる。その時、もう一人この場に現れた。それは傷だらけのアルフレッド・トルネードだった。
「ダメだ!!逃げろ!」
アルフレッドは精一杯叫んでバギーに注意を呼びかけたが、時はすでに遅かった。キースは自身の武器を取り出して彼の胸を貫いた。
あまりにも唐突な出来事を目の当たりにして誰もが目を疑った。まさか…これは反逆なのか?
「おのれぇええ!!!キースッ!!!」
大剣で反撃をしようと試みたが、キースはすかさず避けて返り討ちをした。バギーはそのまま倒れたまま動くことはなかった。
「もう貴様は必要ない…これがモーファ様の答えだ。」
「キース!!君は…これが許されると思っているのか!?」
「反逆…とでもいいたいのか?ならばそれは誤りだ。これは我らの主モーファ様の答え…無断で現世に赴いたバギー・ファントムの忠誠心の欠如に罰を与えよ……
情に流された貴様らも同罪だ。故に消さなければならない。」
キースは剣を持って傷だらけのアルフレッドへと近寄る。それを阻止したのは魔人となったスタークだった。