A JUVENILE DEVIL Ⅲ
エレベーターを降りると、そこには老若男女関係なく多くの人々が観光していた。窓から街を見下ろすと、今までかなり高層だと思っていたビルでさえちっぽけに感じる。なんとも不思議だ。
いくつか望遠鏡が設置されているが、順番待ちだけで軽く数時間はかかるだろう。とても心地よく享受出来るスポットとは言えない。
すると、喧騒な空間の中でアナウンスが流れ始めた。
「本日は、フィリップス・シャンデリアに御来場していただき、誠に有り難うございます。
本日午後7時より、22階にてディナーショーを開催致します。皆様是非御来場ください。」
「ディナーショー?」「あぁ、今日はそれがメインだからね。あまり間食をするなよ、ディナーのためにね。」
それからアレンは各フロアを回り、ディナーまで時間をつぶした。
途中で何度か屋台の前を通ったが、その魅力になんとか勝てた。
「さて、そろそろ行くか。」
午後6時40分、アレンとジャンはエレベーターに乗り、賑やかな会場へと向かった。そこに、アレンの母シェリーもいた。
「お母さん!来てたんだね!」
「ええ、遅れてゴメンなさいね。さぁ、今日は最高のディナーにしましょうね。」
シェリーは微笑み、それがアレンの気持ちをいっそう高陽させた。そう、最高の一日になるはずだった。そうなる運命だったのに
いや、最初からこうなる運命だったのかもしれない。
突如停電が起き、会場は混乱した。
その時アレンはトイレに行っていて、その場にはいなかった。そして、扉を開け賑やかだった会場に戻ると
その少年の瞳に映ったのは、鮮血の匂いが充満した惨劇の舞台だった…