MENACE
これが彼女の隠された過去だった。普段は明るく振る舞う彼女だが、それはあまりにも重く、過酷なものである。
そして彼女はとある提案を出した。それはアレン達にとって意外だった。
なんと、ビアンカはこれからの共に戦うことを申し出たのである。たしかに彼女はスタークの助太刀をした以上後戻りは出来ない。
「……オーケー。まぁ、俺達は皆もう後戻りはできねぇんだ。行ける道が続く限り歩くだけさ。」
部屋を出た彼らは、さらに奥へと突き進む。すると再びエレベーターがあった。しかし、そこにはどこか重苦しい圧力があった。これはエントランスで感じたものと同じか…!?
「はっ…バギーのおっちゃんご立腹ってところか…行こうぜ、ボスとこによ。」
エレベーターは凄まじい勢いで上昇し続け、ついに惨劇と化したパーティー会場へと辿り着いた。
ここはアレンが命拾いした時のままだった。テーブルクロスや食事が床に散乱している。いつ見てもおぞましい光景だ。
「誰も…いない?」
おそるおそる会場を散策してみた。しかし、誰もいない。スタークやビアンカが他の魔力の存在を感じないということは本当にもぬけの殻なのか。
緊張感が緩和しつつあった。気を抜いた時、どこからか巨大な魔力を察知した。今まで感じていたのはこれだった…!!
「アレン、スターク!!上よ!!天井に!!」
見上げた時、それはにぃっと笑う。三日月のように開いたその口はなんとも不気味である。だが、それはバギーではなかった。
「てめぇは誰だ…」
「失礼した…儂だ。バギーだよ。戦わなければならぬのだろう?ならば、儂は全身全霊をかけて貴様達を消すまで…覚悟はできたか…?」
「…あんたを潰して……マリアについて吐かせてやるぜ。」
「実に滑稽…ならば示すが良い!!本当の差を見せつけてくれよう!!」