A JUVENILE DEVIL Ⅱ
2月7日月曜日、時刻は午後4時を回っていた。まだ少し肌寒い季節で、街の人々は誰もがあくせくと街道を歩いて行く。
ここハーレン街は一年中交通量が他の地区に比べて多い。アクセスが容易であり、何よりも繁栄しているというのが大きな理由とも言えよう。
この街の郊外に住んでいる青少年アレン・クロニクルは、家族で外出していた。
クロニクル家の目的は、今年新しく建設されたハーレン街のランドマークであるフィリップス・シャンデリアを観光することだった。
無論、この家族以外にも多くの人々がタワーには集まっていた。
「アレン、とりあえず最上階の展望台に行ってみよう。もう少ししたらきっと入場規制がかかるかもしれないからね。」
この眼鏡をかけた白髪頭の中年男性はアレンの父親ジャン。
今日のためにわざわざスケジュールを遣り繰りして休暇をとったようだ。
「お母さんは?」
「あぁ、お母さんなら少し遅れて来るみたいだ。彼女は働き者だからね、なかなか都合もつけられないんだろう。」
アレンの両親は共働きをしていて、彼は幼い頃から留守番をして慣れたためあまり孤独感を感じない。
それでも、どこか寂しさがあったのかもしれない。だからこそ、今日は家族皆で過ごす最高の一日にしたかったのである。