THE MALEDICTION OF ALLEN'S GODDESS Ⅳ
スタークはそう宣言すると、剣をしっかりと掴みぽかんと口を開けたままのレンブラントに先端を向ける。はっと我にかえった彼は銃を構え、同時にアレンも動き出す。
洗脳された今の彼には意思はなく、ただひたすら剣を振り銃弾を放つだけの兵器である。しかし先程よりも少しずつ動きが鈍くなった。それはレンブラントの魔力が消耗されつつあるからだ。
その証拠に、彼の息が荒くなっていく。
「はっ……はっ……」
「おいおい、てめぇは昔から戦闘向きじゃねぇんだからさっさと諦めなって。言っておくがさっきの言葉は嘘じゃないからな。」
「…洗脳能力が君にもあるというのか……否!!そんなはずがない!!この能力は異界でも私だけが使えるんだ!!君のような奴が使える技じゃないんだよぉお!!」
怒りを表わにした彼は辺りにいた流動体のしもべに向けて殴り蹴り八つ当たりを繰り返す。なんともおかしなやつだ。自分の思うようにいかないとすぐにキレる餓鬼と同じだ。こうなると手がつけられない。
「あ………あああ……だんだん……だんだんだんだんだんだんだんだんムカついてきたよ…!!!こうなったら、私の切り札で君を葬ってやる……来い、しもべ達よ!」
するとレンブラントは銃を踏み潰して破壊し、中から液体が大量に溢れ足元に集まる。それに周囲にいた流動体達もついて行き、それらはレンブラントの口内へと入っていく。なんとも不気味な光景だ。
彼の体に異変が起きる。華奢な体がぶくぶく太っていき、最終的には鞭のようなゼリー状の複数の腕を兼ね備え、足は大蛇のように長い尾となった。まさに化け物である。
「サぁ…終幕といコウか……」
「ちっ……厄介なことになった…悪魔化ってやつか…」
悪魔化…それは異界の者がある条件を満たしたときに発動出来る切り札である。自分の体や魂を悪魔することで秘められた力を最大限に引き出せるのだ。
そして、レンブラントの悪魔化の条件は、狂気である。怒りや悲しみで錯乱状態に陥った時に発動できる。その能力は…
「リキッドボディー…肉体を流動体へと変化さセる能力。君ノ攻撃は全て通用シナイ!!これでオワリだヨ!!!」
「ぐあっ…!!!」
鞭のような腕達がスタークの体をひたすら打つ。とてつもない力によって足が潰され、一瞬動きがひるんた時に四肢を捕まえられて身動きが取れなくなる。
これで抵抗をすることもままならなくなった。彼はただ攻撃をくらい続ける。人間ならば致死量のはずの血液を吹き出す。生きているものの、絶体絶命の窮地に立たされている。
「クハハハハッ!!!魔人もそんナものカ!!」
「ばーか……まだ魔人は眼しか出してねぇよ。だけど、そろそろもう少し出さないと死ぬかもしれないな……」
「出し惜しみしテイルと、シヌよ?君。」
「はっ…てめぇにはもったいないなぁ。あまり発動したくないんだよ。早死にしたくねぇしな。」
「まダ私ヲ見くビるか!!ならばシネ!!シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!!!!!」
怒りが増しさらに力を増す。いっそう巨大化し、四肢を締め付けていた腕達も太くなる。この状況でさらにスタークは不利になるだろう。しかし、彼はにやりと笑いそして呟いた。
魔人解除…と。