THE MALEDICTION OF ALLEN'S GODDESS Ⅱ
どこか様子がおかしい…ふらつき銃を構えるその姿はもはや敵とも思わせる。
しかし今この場で力をふるうわけにはいかない。こいつはただ操られているにすぎない。
アレンは躊躇うことなく発砲してきた。その弾は右肩を貫き、スタークの動きを鈍らせる。どうにか策を練らなければ殺されるのも時間の問題である。
「………くそっ…こうなったら使うしかないか…」
魔人眼……
スタークの両眼が紅く染まっていく。これは魔人の眼を一時的に宿す技だが、それと同時に寿命が縮むという代償が伴うのである。
染まりきった時、自分の視界が別世界に変わる。周囲に存在する魔力を見極めることで、あらゆるの物質の動きを透視出来るようになる。
そして、それでアレンを見ると……何者かが背後に浮遊している。こいつはまさか………
また再び銃を向け発砲した時に駆け出し、銃弾を手の甲で弾き返しアレンの懐へと忍び込む。
そして胸倉を掴み、床にたたき付けるとアレンはそのまま糸が切れたように倒れたままだった。
「……出てこいよ、似非超能力者。」
おやおや……相変わらずひどい言い草じゃないか。
徐々に姿が現れていく…狐目をした長い銀髪の男が現れた。彼の名はレンブラント・ルナティック。文字通り相当イッてるやつだ。
「くくく…やぁスターク…。久しぶりじゃないか…どうだい?この洗脳能力は!!」
「相変わらずくだらない研究ばかりやってんのか?悪いけど、アレンは返してもらうぞ。」
レンブラントは首を90度傾け、不快そうな表情を浮かべる。
「まさか君が人間の心配をするなんてねぇ…こいつは君のなんだ?え?」
「…マリアを潰す最後の希望だ。」
しばらく沈黙の時間が続く。レンブラントは目を大きく見開いたままぴくりとも動かない。彼の中の時間が止まったのか。
そして次はプルプルと小刻みに震えだし、急に吹き出し快哉を叫ぶように爆笑する。
「全く…君は実に面白いやつだよ。では、君をじっくりいたぶってからこいつを殺すとしよう!」