A INTENSE BATTLE LIKE SEXUAL INTERCOURSE Ⅲ
炎が消し去った時、ビアンカは心中でもはや悟っていたのである。スタークの力が解放されるということを。
相手としては、これは看過出来ない事態と言っても過言ではないだろう。
何故なら彼は………!!
「ふぅ…やっぱ止めとくぜ。まだ解放する時じゃない。」
「はっ…!!能力解放をせずにあたしを倒すつもり!?」
「あぁ…俺も少し本気を出さしてもらうけどな。安心しな、殺しはしないさ…」
挑発され険相を浮かべ痺れを切らしたビアンカは床に刺さった剣を抜き、足を強く踏み込んで飛び上がり斬り掛かろうとした。
再び炎がまとい付く。またくらえば確実に助からないだろう。するとようやくスタークは次の行動に移った。
姿勢を低くし、絶妙なタイミングでスライディングを繰り出して攻撃を回避した。
「今日のビアンカちゃんはピンクか…」
彼女は直ぐさま手でスカートを押さえて頬を染める。所謂乙女の恥じらいというやつだ。スタークのやつやりたい放題じゃないか…。
それと同時に剣の炎の激しさが増した。どうやら怒りに触れたようだ。
彼女は後ろを振り返り、足を動かそうとした。その時、スタークは指差して警告した。
「足…動かさない方がいいよ。」
恐る恐る彼女は自分の足を見てみた。
ゆっくりと赤い雫が足元へと流れていく…温かい…けど、徐々に冷たくなってきた。
そして、気づいたんだ。さっきのスライディングは、回避じゃなく攻撃だということを。
スタークはいつのまにか剣を手にしていた。足をくぐった時、瞬時に剣を振るって腱を斬ったのだ。女の子には手をあげないと言ってたくせにえげつないことをするもんだ。
「くっ……!!いたっ……」
「…ふぅ、これで懲りたろ?もし認めるなら、助けてやるよ。」
もはや立つことすらままならないビアンカはひざまついて悔しげな表情を浮かべて俯く。
このまま彼女が強がると命が危ない。早く諦めた方がいいのに…どうしてこんなにも頑固なんだろう。
あまりにも目を当てられないのでよっぽどスタークを止めようとしたが、たしかに彼女は敵なんだ。ここで僕がどうこう言えることはないはずた。
「……………くっ!!」
いつまでも意地を張る彼女だったが、最初に折れたのはスタークだった。彼は呆れたように腰に巻いていた小型のポーチからカプセル状の薬?を取り出した。どうやら回復薬のようだ。
口を開けな。何も言うな、ただ従え。
耳元でそう囁き、スタークは彼女の口に薬を入れる。それにビアンカはただ従うだけだった。
やっぱり、彼は女性には甘いのだろうか…
「さて、行こうぜ。アレン。…ビアンカちゃん、動けるようになった異界に帰りな。」
そう言い残し、部屋をあとにした。ただ残ったのはヴァンパイアに血を吸われた淑女のような彼女だけだった。
むなしく、時間だけが過ぎていった。