A PERFECT MADNESS Ⅵ
アレン………
どこかで聞いたような声…
誰の声だろう…それでも、優しい声だ……
僕を呼ぶのは誰…?あなたは…………
「アレンッ!!」
スタークの太い声で僕はようやく我にかえった。どうやら僕は上の空のようだった。歩きながらぼうとしてるなんて…なんて能天気なんだろうか。
「あぁ、ゴメン…なに?」
「なに?じゃねぇよ。まだタワーまでかかるのか??」
「いや、もう少しだよ。この道を行けば…」
何かとてつもなく重い物がどしん、とのしかかったような気がした。
この感じはなんだ…!?足が震えて歩けない…!
スタークは前方を見上げて、冷や汗をかきながら笑みを浮かべた。
どうやら、フィリップス・シャンデリアの中からこのまがまがしい気はきているらしい…!!
「着いたか…!!アレン…ここからは、死ぬ気でついてこい。」
「うん……!!」
タワーは数時間前のものとはまるで別物のようだ。左右双方に置かれた神々しく輝く金像が客人を迎え、それをくぐるとレッドカーペットが敷かれたエントランスが待っているのだ。
なんとも言えないこの感激は、ここに踏み入れた者のみぞ知ることができる。
その空間への第一歩を踏み出した時だった。金像の目が赤く光りだした。
「おまエたチハ何者だ…」
「イますぐ立ち去レ…」
「かっ!!最近の石像は喋んのか?ずいぶんハイテクなやつだなぁ!
だが、残念だったな。俺と会った運命を呪いな。」
すると金像は激しく揺れだし、手にしていた金の剣と盾を握りスタークに襲い掛かろうとした。重々しい足音とともに迫りくる。
「うらぁああっ!!!」
力一杯込めた彼な一振りで金像はバラバラに砕け散り、輝かしい光を見せながら動かなくなった。
まさかこんな物までもが攻撃をしてくるなんて…いったいどうなってるんだろう。
スタークいわく、それはマリアによる感染だという。どうやら、その感染は生物以外を対象としても支配してしまうようだ。
そして、僕らはびりびりにひき裂かれたレッドカーペットの上を歩いてようやくフィリップス・タワーへと入った。
このあと、更なる試練が二人を待ち受けていた…