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THE TEAR OF WORLD  作者: FRONTIER
SCARLET XXX
109/110

3 ENEMIES Ⅶ

レオンは剣に加えてグローブから放たれる攻撃を次々と繰り返す。昔何度か目の当たりにしたことあるが、一度もそのトリックを見破ることは出来なかった。今もその攻撃を回避することは出来ない。おそらく魔力の光線、又はそれ以外の攻撃である。



ビアンカは何度か反撃をする絶好のタイミングを得たが、やはりそれを逃してしまう。攻撃をしようとすると頭に彼に関する記憶がよぎって自分の意思を保てなくなってしまうのである。




「ビアンカ!逃げてばかりじゃ勝てないぞ!俺も倒してみろ!!」




彼は掌をビアンカに向け更に強力な光線らしき攻撃を繰り出す。これに直撃したらおそらく立ち上がれないだろう。もう既に蓄積したダメージの影響で瞬発的に移動することも厳しいのである。




その時、背後に何者かの気配を感じた。そこには優しい温もりと安らぎがあった。それは数年前に生きていた当時のレオン・レスタークの姿であり、彼はビアンカの耳元で何かを呟いて霧のように消えてしまった。



しかしその不可思議な出来事がビアンカを大きく変えた。先程は一方的な戦況であったが、彼女は炎を周囲に発生させ高速移動をしレオンを翻弄する。


彼はビアンカの居場所を魔力で判断することを試みた。彼の能力からしてそれは決して難関ではないだろう。そして彼はグローブによる攻撃を前方に放った時にビアンカは姿を現し渾身の一撃を与えた。


今さっき魂として訪れたレオンが耳打ちした言葉。それは彼自身の弱点である。グローブによる攻撃は光速である故に非常に強力だが唯一弱点がある。攻撃を繰り出している最中は一切の身動きが封じられることである。つまりそこを突けばダメージを与えられるということだ。


炎の攻撃によってレオンの皮膚は爛れてゆく。そして徐々にその真の姿が明らかになってきたのである。もちろん彼は本物のレオン・レスタークではない。彼はエデンNo.19コート・クリーティア…不気味な能力を駆使する白髪頭の老人である。




「あなたは…!!」





「ひっひっひ…お久しぶりですねぇ…反逆者のビアンカ殿。どうでしたかな?数年ぶりの感動の再会は。」




「最悪よ。あなたの能力…いったい。そんな悪趣味だったかしら?」





「ひっひっひ…正体を暴いた褒美として教えてやろう。わしの能力は魂喰(ソウルイーター)その名の通り魂を喰らい、そしてその魂が持っていた肉体と同等のモノを得る。しかも肉体だけではない!血液も…細胞すら模倣する!



その為わしは偵察要員として活躍していた…そして悪魔化を発動させることでその魂に酷似した能力を得ることが出来る!つまり!レオン・レスタークの能力を模倣することが可能になったのだよ!!」




「何故貴方が彼の魂を…」




「あの日、平和軍を奇襲した魔人旅団を名乗った刺客を派遣した…彼はわしのしもべに過ぎない。魔人旅団を陥れる為に…欺いたのさ。そしてレオンは死に、わしはその魂を喰らった。」




「最低なのね、どこまでも。いいわ…再開しましょうよ。」




彼の能力はある意味で無限に進化出来るというわけである。高笑いをして彼はまた再びレオンの肉体へと変化してビアンカの前に立ちはだかる。しかし、これで最早躊躇する理由が全て無くなった。


彼は再び剣を手にして攻撃を仕掛けてきたが、ビアンカは冷静に戦略を練り確実にダメージを与える。コートは一度術を解かれてしまった為肉体を完全に模倣出来ていない。老体が追いついていないせいで動きも格段に鈍くなっている。そして、とうとうビアンカは静止したコートの周囲を火炎で取り囲むことに成功した。





「ま、まて…!!落ち着け…わしが悪かった!許してくれ!」




「侘びなさい。死をもってね…」




コートの断末魔と共に炎はさらに猛り完全に肉体を燃焼した。勝負がついた時、レオンが再び現れてビアンカの手をしっかりと握りしめ、口を動かして霧散してしまった。




ありがとう、と。彼は二度と彼女の前にその姿を見せなかった。


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