3 ENEMIES Ⅳ
ゼトーは焦燥感を覚え死体をさらに起動し参戦させる。しかし、スタークは死体の頭を掴み強靭な力で握りつぶし、さらには死体の足を引きちぎりそれを群れに投げつけるなどのような過激な攻撃を次々と繰り出す。
そして、とうとう周囲に転がっていた無数の死体も尽きてしまった。これで彼は抵抗する手段を失いスタークの剣のよって一撃を与えられた。そして怯んだ隙を逃さず幾度に渡って攻撃を続ける。もはや勝負はついたことは明白であった。しかしゼトーは傷に苦しみながら笑い続ける。それはあたかもまだ自分は敗北していないかのようにも見える。
「何がおかしい?」
「ハハハ…キミ達は大きな間違いをおかしたんだヨ。わかるかい?
ここからは生きて帰ることは出来ない…エリオット様のお力には…手も足も出ないだろうネ。せいぜい苦しむがいい、せいぜい後悔するがいい!」
「それだけか?なら死ねよ。」
無慈悲というべきか、いや敵をしとめなければ後々面倒な出来事を招く可能性もあるだろう。肉体から剣を引き抜き、それをしまってスタークとマリオは部屋を出て更に奥へと進んでいった。
一方ビアンカ達が選択した通路は地面が通常に比べて異形であり走ることが困難な状態である。まるで山岳地帯のようにでこぼこしている。しかしあらたな刺客が現れる様子もない。
「どうやら、怪しい感じもしないわね。」
「おかしいなぁ。やつらがこんなヌルいことをすると思うかい?まさか、僕達をつまづかせる為にこんな地形なわけじゃないだろう。」
しばらくすると、ようやく何か起きるような違和感を覚えた。そして突如強力な魔力を感じたのである。それは少しずつ近づいている…!!
彼らの目の前に現れたのは巨大な身体をもった悪魔であった。明らかに先程相手をしたものとは大きさや魔力が異なる。
それは大きく拳を振り上げ、彼らに襲いかかった。双方がしばらく攻防を繰り広げていた時、突然何者かが乱入し巨大悪魔を一撃で倒したのである。
それは男であり、白い衣服に身をまとっていた。そして彼はビアンカ達の方へと向いた。彼女はその顔を見て驚愕した。それはもうこの世に存在する者ではなかったからである。
彼の名前はレオン・レスターク。数年前魔人旅団を名乗った賊によって事実上殺害された平和軍の隊員である。それと同時に、ビアンカ・アンデリカの恋人でもあった人物である。