3 ENEMIES
ネリスト大陸、それは世界で最も魔力に満ち溢れた場所である。気候、地形、さらには動物ですら魔力を帯びているという。しかし、今となってはエデンに侵略された荒廃地に過ぎない。悪魔の気配が周囲から感じられる。ここはもはや異常な地域と言っても過言ではないだろう。
木々でさえ枯れ果ててしまい、殺風景な景色だけが広がる。その中で、アレン達は生命の気配を感じた。それはおそらく生存者によるものである。弱々しいけれども、確かに生きている。
「誰だ…?生きているなら返事をしろ。」
スタークが前方へと歩み寄った時、突如足元に仕掛けられていた魔力を帯びた網によって捕らえられてしまう。
あまりの急展開に驚いたが、すぐさま強風がアレン達を襲いかかった。しかしアルフレッドが瞬時に背後へと移動して手刀によって相手を仕留めた。あっけなく倒れて、それは女性であることに気付いた。彼女はかすれた声で反抗し続ける。
「あんた…達…エデンのやつらなんだろ…!?」
どうやらエデンの者ではないようだ。おそらくエデンの侵略から生き延びた貴重な人物である。事情を説明すると彼女は俯いて拳を握りしめた。そして頭を下げてアレン達に訴える。
「頼む…!仲間を…仲間を助けてくれ!!」
その声は涙混じりのようにも聞こえた。それから彼女はジュリアと名乗り、ここで起きたことを全て語った。やはり、ここにはファーストクラスの強者がいるのである。そのファーストクラスがあれから姿を消した後、ジュリアは目を覚ますと二人の仲間の内の一人であるエースは大量出血によって死亡していて、もう一人のシオンは行方を眩ましている。十中八九無事ではないだろう。
それから彼女は歩き続け、生存者を求めた。そして、アレン達に出会ったのである。
「なら、僕達と一緒に行動しよう。一緒に戦おう!」
その一言で、ジュリアの心は揺すぶられた。彼女にとって安心できる存在が見つかったのである。絶望の淵から助けられた彼女は涙を拭ってアレン達にここに来た理由を尋ねた。そして訳を全て話した後、彼女は彼らについていくことを決意した。
「そうとなれば、案内してもらおうか。アルフレッドの得意な道案内にな!」
スタークは自力で魔力の網を引きちぎり脱出し、そのまま前方へと進む。そしてアルフレッドは薄ら笑いを浮かべてルドゼラの能力を発動させてネリスト城への道を導いた。
「あれ…もう到着したんか。こらあかんなぁ…」
魔力を抑えて枯れ木々に隠れて偵察していたのはエデンのセルであった。彼はにやりと笑い、手をおもむろに叩いて三人の下位兵を召喚した。その三人はともにセカンドクラスの者である。
No.20 ゼトー、No.19 コート、No.18 シンドラ。三人は片膝をついてセルに従うように下を向く。そしてセルは彼らにそれぞれ命令する。すると三人はすぐさま姿を消して遂行を試みる。
「くくく…こらぁ…えらいことになるなぁ…」