A PERFECT MADNESS Ⅴ
スタークは家屋の壁に後頭部を打ち付けて血を垂れ流す。なんとも痛々しい傷だ。
それなのに、こいつはニヤついている。痛覚がないんじゃない、マゾでもない。ただ、楽しいのだ。
「……おっどろいたなぁ…まさかルドゼラまともにくらって立てるなんてねぇ。」
「…忘れたか?昔から俺は打たれ強かったろ?」
「…あぁ、そういやそうだね。んじゃ、もうちょい本気出そうかね…」
その時だった。アルフレッドが所持していた携帯電話?のような通信機器の耳障りな音を立てた。戦いの最中にも関わらず、彼は応答した。
なんだか戦闘の空気がぶち壊しだぜってきっとスタークなら言うだろうな。
「けっ…戦いのムードがぶち壊しだぜ。」
…やっぱり。もはや剣先を地面に刺して一時休戦という態度のようだ。
それにしても長い通話だ。スタークのわりにはよく痺れを切らさないな…。
「あぁー!!!もう待てねぇ!!」
「あ、悪いねぇ。ちょいと命令で戻らないといけねぇんだ。」
「おいおい…冗談が下手くそだなぁ。」
「フィリップス・シャンデリアに来なよ。そしたら決着つけよう。」
そう言い終えたあとにスタークは後をつけるように体をつかもうとしたが、もうその時は遅かった。
戦場と化した大広間はまた再び閑散とした空間へと戻っていった。そのうえ雨までも降ってきたようだ。なんとも切ないものだ。
しかししばらくして彼はまたタワーの方へと歩き始めた。それに僕もついていく。
目的地まではあともう少しの場所まで来ていた…