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第三話「力」

「最終防衛ライン・・・って、どういうことだよ。」

どうやら俺は何かに巻き込まれてしまったらしい。それが“何か”明確にはわからない。本来ならこんなわけわからないところにいきなり連れてこられて、異世界がどうだの言われても信じられるはずがない。ただ、目の前で淡々と話す少女、久遠来夏は冗談を言っているようではないし、変な宗教家というわけでもない。それは何故だか雰囲気でわかる。とりあえず、まだ考えが整理できていないため俺は話を合わせることにした。

「いや、わかった。とりあえずここはその“第二世界”ってやつで、俺はお前に無理やり連れてこられた。というわけだな。」


「無理やり・・・とは心外だなぁ。キミは願ったじゃないか。だからワタシは連れてきてあげた。」


こいつは何を言う。反論しようとはしたものの、確かに形はどうであれ、異世界に連れて行けと言ったのは俺だ・・・俺だが・・・この気持ちは心にしまう。

「はー、まあそれはそれでいいや。で、俺はこれからどうなるんだ?元も世界に戻りたいんだが・・・」

まあ戻らせてはくれないだろうが、聞いてみた。


「うーん。それは出来ないな。」


案の定帰ってきた言葉は、俺を帰してくれるものではなかった。・・・が、予想だにしない言葉を来夏は口にした。


「キミにはワタシたちとともに戦ってもらうよ。その異能の力を思う存分発揮してくれたまえ。」


「・・・は・・・?」

なんだなんだ。戦う?異能の力?俺は戦うつもりもないし、異能の力なんて知らない。もう話を合わせるのは無理だぞ!!そんなことを思ったが、話が飛びすぎて声に出なかった。すると来夏は・・・


「戸惑うのはわからないわけでもない。キミはまだ自分の異能の力に気付いてないようだからね。でもね。この世界に来たということは、つまりそういうことだよ。・・・まぁ、百聞は一見に如かず・・・だよ。」


そういうと、来夏はいきなり立ち上がった。そして真っ黒な瞳が、赤く光った。全身黒に包まれた少女を取り巻く空間は暗く、一瞬ゆがんだようにも思えた・・・次の瞬間刃物のようなものが来夏の周りに集まり・・・俺に向いていた。


「おいおい・・・何のつもりだよ。というかなんだよ!それ!!」

俺は後ずさるも、すぐ後ろに壁があった。くっそー、こんなことなら廊下側に立っておくべきだった。


「さあ・・・まずは・・・自分の身を守ってみたまえ!!」


鋭い刃物のようなもの・・・いや、まさしく刃物は俺の方に向かって飛んできた。次の瞬間、俺は自分で自分を疑った。

カンッ、カンッ、カツンッ

俺の体に届く前に刃物は跳ね返り畳に落ち刺さった。俺の周りには薄黄色に光る膜が張られていた。

「なんだよ。今の!」


「それがキミの力・・・シールドだよ。なるほど、なかなか強力だ。ワタシの連刃を防ぐとは。まあ、本気では無かったけどね。」


そう言って、来夏は腰を下ろした。

そうか・・・俺はこの瞬間理解した。理由はどうあれ、確かに俺は何かの力があるらしい。これは、いろいろこの少女に聞かなければならないのことがあるな。

壁を背もたれにするように、俺も腰を下ろした。


-----


「なるほどな。」


どうやらこの世界には異能の力を持っていなければ来ることすらできないようだ。そして、現実世界にいた俺は、その力に気付くことなく過ごしていたらしい。来夏はその俺の力を見抜き、俺に近づいた。何故俺だったのかはなんだかはぐらかされた感じがした。なんでも、偶然見つけたから、らしいが・・・。さらにこの世界はいくつかの都市で分かれているらしく、さっき話に出ていたユースポートやコンポートというのは第二世界の都市の名称で各都市には統領がいるそうだ。

また、各世界には本部があり、第二世界の本部はセンターポート。第三世界本部はセンターライトという。この本部にいる総帥が世界のまとめ役ということだ。ちなみに、俺のいる都市はサラメントという。ここで驚いたのが、目の前にいる少女、来夏はサラメント地区の統領ということだ。統領というには明らかに幼すぎないか?どんだけ強いんだよ!という突っ込みは無しで。話をを続ける。


「それでもうひとつ、いや、まだ聞きたいことが山ほどある。」


「なんだい。キミも変わった男だねぇ。よくしゃべる。『今日はゆっくりさせてくれ』とか無いのかい?まぁ、ワタシは気にしないよ。なんならこれから一夜を共に過ごそうじゃないか。」


不敵な笑みを浮かべながら、来夏は言った。意味深なこと言うんじゃねえよ!・・・というかもうそんな時間か。確かに外は真っ暗だ。しかし俺にはまだ聞きたいことがある。来夏だって、冗談か知らんがああ言っている。


「じゃあ、聞く。今この世界で何が起こっている?もしかして、現実世界がやばいんじゃないか?」


な・・・!と来夏は少々驚いた顔を見せたが、気のせいだっただろうか?無表情で言った。


「何故そう思うんだい?」


「いや、さっき現実世界の最終防衛ラインとか言ってただろう。それになんだか第三世界からの救援要請だなんだって・・・決して穏やかな状況じゃねえよな?」


来夏は、これまで淡々と俺の質問に答えてきていたが、ここで間ができた。そして、ふぅとため息をつき話し始めた。


「さすがだねぇ。確かに穏やかじゃないよ・・・これは説明しないといけないね。まずこの世界は、第一世界、つまり現実世界と第三世界とつながっていると言ったね。要は現実世界とつながっている異世界は第二世界だけということになる。そして、この第二世界本部と現実世界の裏組織とは実は交流があるのだよ。一種の同盟関係にある・・・不可侵条約とでも言っておこうか。まあ、向こうからこちらに侵略してくることは出来ないから、こちらが現実世界を侵略しないため同盟ということになる。そのかわり、現実世界は第二世界に対し、必要物資や食糧などを惜しみなく分け与えている。」


「まて、そんなこと可能なのか!?それに、異世界と現実世界に交流があるって・・・」

思わず口をはさんだ。しかし、来夏は俺の言葉を豪快に無視した。こいつには後々、人の話を聞くということを教え込まなければならない。


「その物資や食糧の一部は、もともと第二世界と友好関係にあった第三世界にも少し分け与えているのだよ。しかし、それを面白く思わない者がいてね。・・・それが第四世界だ。第二世界とは直接の交流は無いため、第四世界は第三世界に物資供給を頼んだ。・・・異世界というのは、現実世界に比べると裕福ではないのでね・・・こういう世界間の交流は良くあるのだよ。しかし、第三世界はそれを拒否した。まあ、第二世界経由の物資だからねぇ。量も少ないため、出来なかったのだよ。・・・しかし」


「第四世界は反発した。」


「そういうことだ。」


その通りだ、と今回は反応した。俺も話が徐々にわかってきた。つまりその第四世界が物資供給を求めてこちら側に攻めてきているということだな。案外、異世界でも現実世界とやっていることは変わらないんだな。まるで国家間の戦争だ。

「それで、第三世界が攻撃され、救援要請ということか。ん・・・そのうち、第二世界にも攻めてくるってことか!?」


まあ、第三世界が突破さればね。来夏はそう言い立ちあがり続けた。


「本来ならその心配はないよ。こちらは第二、第三の連合軍だ。第四世界単独ではどうにもならない。」


「本来なら?」

俺が聞き返すとさらに来夏は続けた。


「第四世界がね、第五世界と手を組んだのだよ。」


「力が五分になったってことか?」


「それだけなら良いのだよ。ただ、さっき第五世界以降は良くわかっていないと言ったね。つまり未知数なのだよ。第三世界の打撃もこの第五世界の参戦によるものが大きい。」


おいおい、それはまずいんじゃねえか。さっきラミエと話していたときは、来夏は要請に積極的じゃなかった。何故かと問う前に来夏が口を開く。


「まあでも、スーラと美加を送ったからとりあえず問題は無いよ。」


「2人だけ・・・か!?」


「そうだよ。あぁ、勘違いしているようだけれどね、キミのいた現実世界の戦争とは少し勝手が違うのだよ。こちらは異能の世界だ。同じように敵も異能者だ。数多い軍隊が来るのではなく、異能者個人が攻めてくる。数は問題ではない。それに、何千、何万の軍隊よりも1人の力が大きいことだってある。それが、異能者同士の戦いなのだよ。」


それは恐ろしい。しかしこの余裕な表情は、その2人が相当な強者であることを意味する。俺は口を出すのをやめ、質問を変えた。

「じゃあ、ここが現実世界の最終防衛ラインというのは、現実世界まで攻められる可能性があるということなのか?」


「まあ、そういうことだね。第二世界としては極めて友好な関係にある現実世界を乗っ取ろうという気はないけれどね、異世界の者にとって現実世界の環境はすばらしく思えるのだよ。第三世界も、第二世界が取り繕わなければ、現実世界に対する脅威となっていただろうね。」


「てことは、最悪この世界で止めておかないと、現実世界がやばいってことか。」

冗談じゃない!実感は湧かないがこれはおそらく事実だ。もし、現実世界が異能者に侵略されたらどうなる?いや、待てよ。もしかしたら現実世界には俺みたいな異能の力を持った奴が他にもいるんじゃないか?そしたら・・・あ、でも気付かなきゃ意味ねえのか。俺もわからなかったしな。


「さて、話はこれくらいにしようか。キミも思うところがあるかもしれないけどね、今ある事実を受け入れたまえよ。まあ、今のところ第二世界に被害は来ないようだから、そのうちに自分の力の使い方でも覚えていてくれ。ワタシは少し一休みするよ。」


来夏は、今日からはここで寝たまえよ、というと、スタスタと廊下に出て行った。

俺はただ、今この事実を受け入れるしかなかった。

今回は世界観の説明が多くなりました。

いまいちうまく文章が書けてない気がします。

ただ、まだ頑張っていこうと思います。

これから物語はどう進むのか・・・。

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