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第一話「始まり」

ストーリーが動き始めます・・・

~それは 穏やかな日常の中にあった~


キーンコーンカーンコーン


と、授業の終わりの時間を告げるチャイムが鳴る。

俺の学科は理系だ。だからと言って俺が数学や理科が得意かといえばそうでもない。

むしろ苦手な部類に入る。

今日の物理の授業なんてさっぱりだ。


「お疲れなようだね。今日もさっぱりわからなかったような顔だね。」


辰雅はいかにも人を馬鹿にしたような顔で言う。

その通りなのだが、その通りなことを他人に言われるとムカつく。

特に辰雅みたいな、基本的なんでもそつなくこなすオールマインダーには。


「うるさい。わかっているならいちいち聞くな。」


「まあまあ。そんなお疲れな君に朗報がある。聞きたいかい?」


なんだこの思わせぶりな言い方は。さらにムカつく。

「別に・・・」と俺は無意味な意地を張る。


「そうか。そうか。では教えてあげよう。次の授業は休講だ。」


「だから別に・・・って・・・マジで!うわ、やった!今日は帰宅だ。」


「まあ嘘だけど。」


「てめぇ、殺すぞ」


「というのも嘘。」


「やめてくれないか。わけわからなくなってきたぞ。え!何、休講は本当なのか!?」


兎にも角にも、休講は本当な話で、俺は思わぬうれしい誤算で予定を変更することになった。

1時間以上早く帰ることができるということは、なんというか、気分が晴れる。

まるで物理の授業なんてなかったかのようだ。いっそ無かったことにして悩むのはやめようか。

しかし、帰り際にもあの“バカップル”にはうんざりさせられる。

-以下回想-


「よし!じゃあ帰るか、辰雅。」


「あ、申しわけないね。僕はこれから用事があるのだよ。」


何となく予想は出来るぜ。この、子どもがサンタさんを待っているような、そんなわくわくした時の顔の辰雅は、確実にこの後彼女と会うと決まっている。案の定・・・来た。淡い茶色のウェーブがかったショートヘアーで、前髪をピンで留めた、その可愛らしい彼女が言う。


「たっくん。行こ!」


いきなり!俺との絡みなし!?それも昨日と呼び方変ってるし!いや、わかってたけど!こういったときの俺の立ち位置って完全にこういうものだって。こいつらにとって、もはや俺などモブキャラにすぎない。どうせこの後の辰雅の言葉は・・・


「あ、でも守が・・・」


はい。いただきました!予想通り!

あ、じゃねえよ。てかこのくだり昨日と同じだし。


「水宮橋くんなら大丈夫だよ。」


ん?名前が出てくるあたり、俺もモブではないということか・・・待てよ。何が大丈夫なんだよ。というか俺一言も発言してなくねえか?なんかたくさんしゃべっているような気はするけど、これあくまで気がするだけですから!心の声ですから!!


「そうらしい。守もさっきから俺らのことは黙認しているね。さすが僕の親友。言葉で交わさなくとも心で通じ合っている。」


え!黙ってはいるけど、認めてはねえよ!?そんな親友、俺は知らんぞ。いいから、心は通じなくていいから言葉を交せ。

一応誤解のないように説明しておくが、このバカップル2人は、完全に俺に見向きもしないで会話をしている。俺はそこに入れる余地がない。

何という鉄壁だ。これがベルリンにあったら、きっと東西はまだ対立しているだろうな。


「まあ、一番に通じ合っているのは、僕と香代ちゃんだけど、『ね~!』」


・・・俺はこの鉄壁を崩壊させて良いだろうか。そう思ったときには、すでに2人は去っていた。一応俺に手は振っている。誰が振り返してやるものか。木口に関しては何か言っている。誰が聞いてやるものか。

もしも俺が、ゆうきとまだ付き合っていたなら、ああいうふうになれたのだろうか?

・・・いや、さすがにあれは無いな。


姫宮ゆうき。その女性は今の俺を友達としか見ていない。それでもいい。俺は決めたのだ。もう彼女を悩ませることはしない。俺と付き合ってる間ずっと悩んでいた彼女を、偽りの笑顔を、俺は忘れてはならない。別れ話の時に言われたあの言葉を、無かったことにしてはならない。そう、心に決めたから-


-回想終わり-


家に帰る途中-俺の家は大学から電車で一本、およそ30分という中途半端なところにある。しかし駅を降りてからは3分と、非常に駅近だ。そんな3分の道のりを、今日、俺は帰ることができなかった。それは、その3分の道のりの途中で出会った、一人の少女との出会いから始まる。



「帰ったら何をしようか。やはり、今日の物理はやった方がいいか。無かったことにするとは言ったが。これはこれで無かったことには出来ないか。」

などと独り言に興じていると、目の前に少女が立っていた。

小~中学生くらいの、小柄な女の子。しかし服装は、一般的なそれとは違う。何というのか、これがいわゆる“ゴスロリ”ってやつか?

さらに髪の毛は腰の位置以上に長く垂れ地て、色は真っ黒。服装も黒い。おまけに黒いソックスに黒い靴。見事に黒づくめだ。片手には何かバインダーのようなものを持っている。これは・・・紺だな。


ただ、顔は美しい。同じ小柄な木口と比べると、非常に対照的。木口が天使ならこの少女は悪魔だ。いや、初対面の人に悪魔は失礼か。しかし往々にして美しい悪魔というのは需要がある。そんなことを立ち止まって考えているといきなり少女から声をかけられた。


「・・・おい。・・・」


何かまずかっただろうか。さすがにじっくり観察しすぎたか。防犯ブザーでも鳴らされたらたまったもんじゃない。世の中物騒になってきているせいで、いちいちドキドキしなければならない。そんな俺の空虚な考えをよそに少女は続ける。


「合格だ。光栄に思いたまえ。キミは選ばれたのだよ。」


といい、何かを持っていたバインダーに書き始めた。

それには俺も何か言わずにはいられない。


「ちょっと待て。何なんだその合格って・・・というかきみ何者?そのコスプレは親がさせてるのかな?」


何か言わずにはいられない何かがこれかい!と自分のバカさに気付く。


「やはり面白いなキミは。そうやっていつも守りに入っているのかい?」


何なんだ“守り”って。意味がわからない。俺がいつ守りに入ったって言うんだよ。


「まあいい。付いてきてほしい。といっても実際に歩いて付いてきてというわけではない。ただ、キミがそう強く思うだけでいいんだ。異世界の扉は、それだけで開かれる。」


おいおい、俺は何かファンタジーな夢を見ているのか?なんだよイセカイって。おいしいの?

とりあえず、この少女が何を言っているのかを確かめないと・・・


「なあ、そのなんだ。さっき言ってた、選ばれたーとか何とかいうやつ。いったい何なんだ?」


「それは、ワタシのもとに来ればわかる。」


「いや、わけわかんねぇし。」


そうか、これは夢なんだな。俺も疲れているらしい。今日の物理の復習はやめにしよう。現実世界にこんなゴスロリ少女が異世界の扉とかなんとか言うなんて・・・

その瞬間、わき腹に何かが刺さる感触があった。みるとそこにはおよそこれまで、現実では見たことないような大量な赤い液体。一瞬何が起きたのかわからなかったが、次の“痛み”とともに、これは夢でないこと、さらに現実に起きていること、この2つを理解することができた。出来たのだが、痛みに耐えきれず俺はその場に倒れこむ。

目の前の少女は何事もないかのように告げる。


「さあ、どうするのかい?このままだとキミ、死ぬよ。現実に起きていることを受け入れたまえ。もう一度言う。強く思え、そうすれば異世界の扉は開かれる。」


くっそぉー、なんだよ・・・

「あぁー!なんでもいい!異世界の扉でも新世界の扉でも開きやがれ!俺はもうファンタジーでもなんでも受け入れるよ!!」


おそらく、最後の力を振り絞った精一杯の叫びだった。少女には届いただろうか?

俺はその後意識を失った。もしかしたらもう死んだのか?とも思った。その時、ふと元カノの顔が浮かんだのは気のせいだろうか?

彼女は今、本当に最高の女友達なのだろうか?自分が死んだと思うと、やはり今まで抑えてきた未練がこみ上げてくるのがわかる。確かに今が楽しくないわけではなかった。話も普通にできるし、冗談も言える。ただ、本当は別れたくなかった。彼女をずっとそばで守っていきたかった。ずっと・・・ずっと・・・



「それだよ、キミ・・・いや、守クン・・・」


その言葉が聞こえたのは、気のせいだったのだろうか。

なるべく各話ごとのあとがきは少なくいきたいと思います。人物紹介とか入れようとも思ったのですが、それは、考えておきます。あと、まえがきは書かなくなるかもしれません。

徐々にストーリー展開するといいましたが、多少急展開になってしましましたでしょうか?何となく伏線、といか実際伏きれていない感があり、展開が読めそうな作品になってしましそうです。・・・が、そこは頑張ります。とにかく、今後の展開にご期待ください。

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