番外:残念王妃に関する聴取記録 メイド編
番外編②。
周りの人たちの視点。
連続2話更新しました。
番外編①もよろしくお願いします。
お嬢様ですか?
そんなに深く考えてないと思いますよ! 宰相様は昔からお嬢様のファンでね、いつも大袈裟なんですよ。
ええ、あたし……いえ、ワタクシは、お嬢様……いえ王妃様がお小さい頃から身の回りのお世話してます。
そりゃあもうお可愛いらしい子で、ワタクシ、ずっと妹のように思ってるんです。あっ、内緒ですよ!
王子様……今の王様ですね……がお越しの時の話ですか?
あの時はねぇ、お嬢様ったらお支度前にどこかへ消えてしまって。
探して探して、やっと見つけた時は泥だらけで、王子様とご一緒で。もうね、卒倒しそうになりましたよ。
一月も前から口を酸っぱくして王子様がいらっしゃると伝えていたのに、なんっにも覚えてらっしゃらないんですから。庭師なんかと仲良くなって、それであの惨状ですもの。
ワタクシ、ご主人様にあの庭師をクビにしてくれって言ったんですよ。
でもご主人は、お嬢様の仲良しを辞めさせるわけにはいかんなぁとか笑って、お咎めなしなんですよ!
おかげでお嬢様は畑仕事に夢中になって、お洋服がもう……。洗濯メイドに文句を言われるのは子守メイドのあたしなのに!
あら、ごめんなさい、あたしの事はいいですね。
それでね、お姉様がお嫁に出られて、二番目のお兄様が旅に転々とし始めた頃から、お転婆も治まって刺繍に没頭するようになったんです。
元々マナーの授業と手芸の授業だけは真面目にやってらっしゃいましたからね。まあ淑女の嗜みさえ何とかなってれば良いという教育方針なのでしょうね。
いえ、ですから歴史や語学はからっきしですって。
女の子があんまり賢しくても嫌われるじゃないですか。
え、考え方が古い?
そうでしょうかね、平等とか建前で、腹の底では女が出しゃばるのを嫌うと思いますよ。
最近は本当にそうでもない? それは、羨ましいこと……。
……え? あらあら、なんでもありませんよ!
ええ、ご兄姉とは今もよくお手紙のやり取りをしてらっしゃいますね。いえ大したことは書いてないです。流行りのお菓子がどうとか、花が咲いたからスケッチを送るとか。
そうです、スケッチは刺繍の図案用ですね。
お兄様も他国からちょくちょく絵手紙を下さいますよ、いい図案を見つけたとかで。
ええ、検閲もされず、普通に届きます。お兄様は道楽息子で有名ですからね。
結局、取るに足らないと思われた者が一番自由なんですよ。
ただやっぱり……、可愛いお嬢様が、残念王妃って呼ばれるのは、……残念ですねぇ。
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