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残念王妃の小さな事件簿 ―刺繍の好きな王妃様は、今日もほわほわと周りを振り回しているようです―  作者: 青風ぱふぃん


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5. 残念王妃による婚約関係修復事件

1.2と経て少しあとのお話の再録です。再録はここまで。


なんでもすぐ捨てる王妃と頑張り屋さんの候爵令嬢のお話。


短編で出したので、これだけ読んでも何となく分かるように、人間関係や王子のやらかしの説明などもちょこっと入っています。ごめんね王子。でもこれ一生言われるやつだからね。


頑張る1000文字縛り。

「あっ……間違ってる……」


「あら」


 侯爵令嬢の呟きに、王妃が目を上げる。


 侯爵令嬢は、この国の王子の婚約者である。

 今日は、王妃による王子妃教育のために王宮を訪れ、何故かレース編みを教わっているところだ。


「まあ、結構編み進んでしまったのね。意外と編み間違いは目立つのよ」


 ほら、と編み地を広げて見せた王妃に、本当ですね……と令嬢は残念そうな顔をする。


 そこへ、王子が挨拶に顔を出した。


「たった一目ひとめの編み間違い?」

 事情を聞いて、王子が笑う。

「そんな小さい所を気にする必要はないよ、他は綺麗じゃないか」


 令嬢は笑い返そうとして失敗し、頬を引きつらせた。


 王子には、ちょっとした浮気歴がある。学生の頃に他の女生徒に目移りした程度だが、令嬢の心には今も棘のように引っかかっている。

 それを揶揄されたようで、令嬢はつらい思いに目を伏せた。


「あ、そんな意味では……」

 王子も困って目を逸らす。


 そんなふたりを見て、王妃は首を傾げた。


「ねえ令嬢、そんなに気に病むなら、もうやめる?」


「えっ?」


「このまま続けても、つらいんじゃない? だったら思い切って捨てましょうよ」


「は、母上?」

 王子が青ざめる。


「間違えた所までほどいて編みなおすのは面倒ですもの」


「……編み物の話ですか!?」

 王子はどっと体の力を抜いた。


 そんな王子を見て、令嬢は少し考え、一旦いったん目を伏せた後、王妃に向き直る。


「いえ、私は、解いて編み直したいと思います」


「ええ!? 編み直すのは大変よ? 糸に編み癖が付いて編みにくいし、綺麗に仕上がらないし……」


「それでも私は、この作品を最後まで作り上げたいと思います」

 ちらりとこちらを見た令嬢に、王子がハッとする。


「……そう? 仕方ないわね。解いた糸を引っ張りながらお湯の蒸気に当ててご覧なさい。糸の癖が少しは取れるわ」

「え……」

 王妃は令嬢に優しく微笑みかける。


「一回クシャクシャになったものは完全には戻らないけれど、それでも、時間をかけて丁寧に伸ばせば、また綺麗に編めるようになるわ」


 一瞬目を見開いた令嬢は、

「……はい!」

 と笑顔で頷く。


「熱が肝心なのよ。途中で冷めないように気をつけてね」


「は……」

「私は冷めません!」

 令嬢が答えるより先に、王子が宣言する。


「……お湯の話よ?」

「はい! 令嬢の心が温まるまで頑張ります!」


 言い切った王子に、令嬢は再び困ったように目を伏せる。

 見れば、その頬は緩み、仄かに赤らんでいるようで、王子はホッと微笑んだのだった。


ここまでお読みいただいてありがとうございます!


ここまで短編の再録です。ここから先は連載になるので、中編や長編も書いていけたらと思っています!


1000文字縛り短編も、文章の練習になるし話のキレが上がるような気がするので、続けていきたいと思っています。

……が、1000文字縛りはネタを思いついてから書き上げるまでに1ヶ月かかったりもするので……、気長にお待ちくださると幸いです。


応援ありがとうございます! 単発のつもりだったこのお話を書き続けられるのは皆様の励ましのおかげです!


これからもよろしくお願いいたします!

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