第4話
ガタ
音とともにれいかさんが画面に映った
「皆さん、すみませんでしたわ。」
さっきと変わらぬほほえみで内情が読めない。うぅ…どうなるの?これ。
そのままの笑みで口を開く。固唾をのんで見守ることしかできない。
「不届き者は排除してもよろしくて?」
「は、はい、もちろんでございます!れいか様!」
一人の勇気ある素晴らしい若者が口を開き、みな、安堵で息を吐く
よ、よかった…じゃ、ない!!結局向こうで処されることが決まっちゃったし…
「あ、あの、れいか、さん?」
「あら、なにかしら?神代さん」
「えと、やりすぎなんじゃないかな~って。」
「そんなことを気にしておいででしたの!?心優しい方ですわね。でも大丈夫だと思われますわ。こいつ…ではなく、この方もその程度の理解はしているでしょうし。ねぇ、河井さん?」
「う、うん」
「ん?」
「は、はい。」
「それじゃ、今日はいったん解散しましょう。各々調べたり好きな事して午後1時にまた会いましょうか」
(「」×9)「・・・はい」
れいかさん迫力ありすぎ…怖いって。
「それじゃあ、また」
ぴろりん
れいかさんが抜けるとすぐに場は騒然となった
「はい~お前死んだなwww」
「ガチ嫌なんだけど!?」
「そのまま本当に死んでしまってくれればいいんですけどね。」
「うっわぁ辛口ぃ、楓花ちゃん」
「今からあなたのうちに乗り込んでその舌を切って差し上げましょうか」
「こっわぁ。あっははは」
「お前のその度胸の方が怖いわ」
「それじゃ、今日の夜は河井の拷問タ~イムってことで。」
拷問?
「なにする?」
「やっぱ鉈で殺ってみたくない?」
鉈?
「え~毒ガスとかの薬物乱用は?」
薬物乱用?
「クロロホルム使って縛り付けるとか」
なに、言ってるの?さっきから数分もたってない。でも、疑問しか頭に浮かばない。人の命はもっと大切にすべきなんだ。絶対。
「怖い怖い。やめてくれん?本人の前でそゆこと話すんは」
「笑ってんじゃねぇか」
そう、一人の男子生徒が言ったとおり河井の画面には爆笑しながら話している河井がいた。
なんで言われてる本人がふざけたように笑ってるの?笑い続けていられるの?意味が分からない。あり得ない。なんでこんなことになっちゃったの?あんなにきっぱり宣言したけど、今の私には策なんて、何も…
「いや、もう笑うしかないだろ?ここまでエスカレートしちゃったらさ。」
そうかも。
「それはそうだな」
(「」×8)「あっはははははは」
「愉快だけど誰もまじめに検索する気はないのね。」
「そういう唐崎はどうなんだよ?」
「私はきちんと調べたわ。でも…本当によく分かんない。こういう行事系は管轄外過ぎて意味わかんなくって」
ま、しょうがない。私もあんまり興味ないし。
「そうか…じゃ、みんなで調べるか。」
「さぼっちゃダメ~?」
「ダメだな」
「そんなぁ」
OKもらえると思ったんかい!
「お前は特にだぞ?河井」
いつの間にか片手にポテチを持ち、画面がなぜか半分隠れている河井にヘイトが向いた.
絶対動画見てんじゃん!
「ギクッ」
「いつもさぼってんじゃねぇか。今日はやんないとガチ拷問されっぞ?」
「ガチでやられるとさすがの僕も精神が参っちゃう。ってことでちゃんと調べることにするね!」
「いつもその調子でやってくれると心強いんだけどな。」
本当にね。いつもがどんな感じか全く知らないけど。
「それはちょっとお断り」
「そうか…」
「そんな残念そうにしないでよ。僕が本気になっちゃうじゃん。」
「やめろよ、本当に気持ち悪いからさ。」
「君たちのこと、僕はだーい好きなんだよ?」
ぞわぁぁぁぁ
な、なんか鳥肌が…
「ほ、本気で言ってる?」
「え、本気以外の何があるのさ!」
「河井…本音は言わないほうが身のためだぞ?」
「口は禍の元っていうからね」
「そうだぞ。」
「えぇぇ!?な、なに?ぼくそんな変なこと言った?」
「訂正してやろう。すっごく気持ち悪いことをお前は言ったんだ。」
「う、ご、ごめん、吐き気が…」
「楓花さん!?」
「う、神代…ごめん、ヘル、プ」
バタ
「楓花さん!!!」
「おい、お前のせいで人一人倒れたぞ?」
「た、助けにかなくちゃ!」
「あ、神代、大丈夫だから気にすんな」
「え?」
今回は本当にヤバイじゃん!
「ふぁぁぁ。おはようございま~す。あれ?まさか楓花、通話中に入れ替わちゃったの~?」
え?そんな他人事っていうか自分のことじゃないみたいないい方…っていうか本当に違う人みたい?で、でも、楓花さんの口で楓花の声で話してて???
「そうなんだ。そこにいる河井っていう馬鹿な男のせいでな。」
え、いや、なんで、そんなに普通に対応できて?
「あっれ~?君、ま~たやらかしたの~?やばすぎでしょ~www」
「楓花さん…」
「私は来未だよ?」
「そうでしたね…来未さん、すみません…」
やけに素直だなぁ
「まぁまぁ、夜に助けるのは楓花のためでもあるから、さ。あの子も来未なら勝てたのに…とかっていう変な責任もって変に傷ついちゃうしあんまり恐怖に強くないからね。逆に弱いくらいなんだから。どうにかしないとなんだよ、私が。…親はかみ合うどころか反対に彼女の心と真反対の提案をしてくるから。可哀そうだよ。」
え?最後、なんか言ったのかな?
「え、ええと、この状況を説明してほしいんですけど、構いませんか?」
「いいよ~。えっと、私は楓花の中のもう一人。二重人格者ってやつの普段は表に出ない裏側の性格の人間なんだ~」
「性格の違いに補足しておくと、楓花が知能系、来未さんが戦闘系ってとこ。ま、来未さんも頭いいけどね」
浦賀ナイス!ときたまやるやつナンバーワンだよ!
「なんか不名誉な賞をもらった気がするんだが…?」
「気にしない気にしない!」
「それが君の素なんだね」
「あ、えっと、あ、うん…じゃなくてはい」
「あ、きにしないで。別に、堅苦しそうにしてて同士を見つけた気がして」
なんか嫌だな、スルーしよ。
「そういえば、来未って珍しい名前ですよね。」
「あ、戻った…」
残念そうに肩をすくめた露木
お前の同士にはなってやらないからな
「そうだね。これは私のペンネーム?みたいな。本名がごっちゃになっちゃうでしょ?」
あ、そっか。二重人格だから本当は来未さんも楓花さんなんだ。
「さて、夜も頑張ろうね~」
来未さん…じゃなくて楓花さんは下を向いた。
「っえ?」
するともいつもの(いや最近は変だからいつもの、というのはおかしいのかもしれないけど)楓花さんのように戻っていた
そうして夕方まで雑談を繰り返すのであった。
あれ?
午後11時ごろ。寝てもどうせ疲れるだけなのでゲームをしていた私は思った。
なんで、れいかさんは午後1時になっても通話に帰ってこなかったんだ?ん~れいかさんに限って自分の言った時刻を忘れるとかはなさそうだし…ま、別にいっか。とにかく、夜は頑張んないと。体力は平気かもしれないけど、精神があり得ないほど削られるからね。まだまだ時間はあるだろうし
チラリとパソコンの時計を見た
さて11時17ふ、ん?なんで、ねむ、気が?い、や、d
だ、という言を発音できないままに強制的に眠らされた。時刻は11時18分。悪魔の時間が始まった。
否、地獄の時間が始まった。
目ををけるとそこは病院だった。
いやだいやだいやだ見たくもない、イヤダ。みんなと話して多少はましになったけどそんなものは気休め程度でしかない。
私は一目散に近くの病室に駆け込んだ。
「ふぅーふぅーふぅー」
心臓がバクバク言ってる。まだ誰にも会ってないのに。ここは…だめだ。血がそこらに飛び散ってる。っう、血の匂いが強すぎる。昨日は鼻づまりだったから平気だったけ、ど。
「無理やぁぁぁぁ!」
フぅ…結構落ち着けた。叫ぶっていいね。
「かわいいおめめがほ~しいなぁ。恐怖ににじんだかわいいおめめ~」
あぁ~来たよこれ。
「手足はちぎってかざろぉか?」
多分さっきの大声が原因なんだろうなぁ。でもなぁ…
「頭はみぃんなそろえて神棚にぃ。」
あんまり近づかれるとパニック症状が出ちゃうから嫌なんだよね。どうしよ…
「臓物ねじってぞぉきんにぃ」
これは賭けるしかない。
そう思って私はスライドドアへと張り付く
チャンスは一回
「心臓の血ぃはみずがわりぃ」
ガラリ
今だ!!!
私は思い切ってダッシュする。そして先生と扉の隙間に滑り込んだ。そのまま右側に向かって走っていく。私だって足は遅いわけじゃない。これだけ距離が開いてしまえばいくら先生が速かろうが大丈夫だという自信があった。人間相手だったら、の話で測ってたけど。
ダっ
すさまじく強い踏切がなされた音がした。
大丈夫大丈夫大丈夫!!だから、パニックにならないで!?
ここでパニックになってしまったらさっき逃げた意味がなくなる。余命を数秒伸ばしただけの意味のないものになってしまう。
それだけは嫌だっ!4秒ほど速く走ったからきっと25メートルは離れてる。私の…ってもう邪魔だ!考える暇なんてない!!
そのまま5段ほど階段をとばして降りた
うわっ!?っと、あ、あぶな・・・
「まって?」
「いやです!せんせ、ガっ!?」
いた、い?
痛くて痛みの中心である胸を思わず見る
っ…ぁ
「ダメでしょう?先生の言うことはちゃあんと聞かなきゃ」
「ぅあ」
「少し待ってくれませんか、先生」
不意に頭上から声が聞こえた。
「あら、雇人さん?」
あれ?
「違いますね…この世界はあなたの世界ですよ。」
なんでなんだろう?
「私の世界?よく分かりませんけど、何の用ですか?」
「いったん、この子のこと治しますね。」
私は動かせないはずの手を動かせた。呼吸も楽になり、先程の痛みでパ二ックは収った。でも、手がふるえてやまなかった。
「言う前から直してるではありませんか…」
「別にいいでしょう?さて、この小説のルールを、いえ、失礼。この小説の一部を朗読させていただきます」
男は恭しくお辞儀をした
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