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神話キャラが学校に通う世界線

#7 昼下がりの事故

作者: 第3類医薬品

午後の体育の授業。今日は外でバドミントンをするらしい……。

体育はあんまり好きじゃない。バドミントン自体は苦手でもなんでもないんだけど……じゃあなんで好きじゃないかって……?


「かーらーすーくんっ!一緒にやろう!」


ヒドラさんが来た、こうなる。別に彼女の根本が嫌なわけではない。むしろ可愛い子と一緒に居れてるということは自分でも最高だし、周りから見ても羨ましいだろう。何が嫌なのか……、それはやってればわかる。


『……他の子と組んだ方が楽しいんじゃない?僕上手くないし』

「……私からすくん以外で仲良い人いないもん…………」


僕が断るとムスッとした顔で上目遣いで睨んできた。今じゃ怖いとかなくなってきた、あざとくて可愛い。


『……わかった』


こういうところがあるからこうやっていちいち承諾してしまう。あーぁ……やらかしたなー……


「私からやるね!」


今ではもうさっきの不機嫌そうな顔もいつもの笑顔に戻ってた。頼みを受けてしまったことに後悔してたけど…可愛いからいいや……ヒドラさんがサーブやるらしいけど、こっから地獄の連鎖が続く。


「おら!!!」


普段の可愛らしさとは到底結びつかない力強い声と一緒にスパーンと飛んできたのはヒドラさんが打ったバドミントンのシャトル。僕の横をスレっスレにを通ってめちゃくちゃ遠くに飛んでいった。この人と体育をするとこうなる。絶対に打ち返せないシャトルが無限に飛んでくる。生憎なことに、公式ルールかは知らないけど一応点を獲得した人からサーブを打たないといけないらしい。そのおかげで一生僕は打てない。打ち返すとかそんなの考えられない。このゲームは避けるんだよ。そんな感じ。

それに加えて、僕を過ぎたらえげつないスピードでえげつないところまで飛んでいくからそれを僕が拾いに行かなくてはならない。別に足速くないんだけど……しかも、外なのでコートもクソもないので余計だ。コート外に落としたからヒドラさんの負け!とかになるわけもなく、いくら飛ばしたって落とした僕が負けなんだって。世界がコートってことか!?(?)

これを15回ぐらい繰り返すと僕の精神と肉体が崩壊してくる。もういい。さすがにしんどい。


『ちょっと…!ヒドラさん休もう……!』

「……疲れた?」

『もう……無理……』


フラッフラのおぼつかない足取りで頑張って立ってる。今にも後ろに倒れたい……汚れなかったら絶対にそうしてた。


「じゃああと1回だけ!」


そもそも僕とこんな試合してて楽しいの?…もう動けないや……


「いくよー!!!」


そうしてヒドラさんによって飛ばされたシャトルは過去最高レベルの速さで風を切って進む。でも足が疲労の限界で動く気にもなれない。だからシャトルの先には……


あ……


僕の顔面があった。僕の顔面はシャトルからの衝撃で身体ごと巻き込んで後ろに倒れた。死んだな……僕……

晴れて澄んでいた空がだんだんとぼやけていって、いつの間にか僕の視界は真っ暗闇だった。


それから僕が次に目を覚ましたのは白基調の部屋だった。どうやら保健室らしい。


「……ごめんね」


すごく悲しそうな顔をしてる。


『僕が下手だっただけだから……大丈夫だよ……』

「……」


逆に申し訳ない。なんだその悲しそうな表情は!!…今思えば最近僕この人の表情に振り回されすぎだな。


お互いに申し訳なさがいっぱいでただただ静寂だった。そんな時に保健室の扉が開いた。


「大丈夫?」


保健室のアフロディーテ先生が来てくれた。


『大丈夫です』


アフロディーテ先生は男子から人気の美人先生。なのに、アポロン先生以外のオリュンポス十二神と呼ばれる階級高めの先生全員と関係を持ってるらしい。僕は男子だけど別になんとも思ってない。この人の酷い浮気癖を知ってしまったら憧れもなんも湧かない。

僕がこの前命懸けで職員室まで行ってアポロン先生からくだらない話を聞いた時。そのくだらない話がアフロディーテ先生の()()()()だった。ほとんどの人が草を生え散らかすようなやばい誕生秘話だから見てみて欲しい。どんな秘話なのかはちょっと話しにくいから気になる人は『アフロディーテ 誕生 神話』とでも調べよう。うちはそんな下ネタとかダメなの、作者が恥ずかしくて書けないの。

ボッティチェリの有名な絵画『ヴィーナスの誕生』はこのアフロディーテ先生を描いてる。僕的にはブーグローの『ヴィーナスの誕生』の方が好き。(どうでもいい)


「ヒドラ、次からは気をつけなさい」


「わかりました……」


しばらくしてから僕とヒドラさんは一緒に帰ることにした。保健室内ではヒドラさんが僕の目の前でアフロディーテ先生にめちゃくちゃ説教されてた。先生たちは謝らんくせに…!!


「あの……ほんとにごめんね……」


ヒドラさんにまた謝られた。本当は僕が思ってたよりずっとずっといい子で、思いやりがあって、責任感も感じれる優しい子なんだろうなと思った。ずっとこんな雰囲気でいられては僕自身も困る。いつもの笑顔はどうしたんだよ……


『別に大丈夫だって……』


「……何か出来ることある?なんでもやる!!」


謝るヒドラさんをなだめようとしたら、そう言われた。でも、特にして欲しいことなどないし長考してしまう。何でもとか言われてたら変なのしか思いつかないよ。最終的に出た結論で抹茶ラテを奢ってもらった。


ついでに連絡先も交換した。

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