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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第8話「ごら~!」

ダンス部はしおりんさんを特別コーチに迎えたいとのことだった。普通に入部しませんかとも。


『アルバイトがあるから部活動はできないんです~……。特別――コーチ? もその~……』


 勉強でいっぱいっぱいで時間は割けない。申し出を嬉しく思いつつも丁重に・慎重に断った。


『それならテスト終わったらどうですか?』

『終わったら――そうですね~、いいかもですね~』


 その言葉を・約束をしっかり覚えてて、部長と副部長はやってきた。巡条さんは快く了承。快くないのは僕らがふたりきりになること。はりつけにするくらい釘を刺して、早速連れてかれた。これから冬休みまでの二週間、昼休みはダンス部へ。ただし明日(=今日)だけはパスした。

 黒川にギャルにされるから。


「…………」


 登校してみればふたりともいない。いつも僕より早いしかばんあるし来てないことはない。たぶんトイレにでも行って、メイクしてる・されてるんだろう。ギャル巡条さんどんなだろう。

 想像してたらモモからルインがきた。


『もう学校来てる?』

『来てる』

『今からそっち行くけどアタシ見んな!』


 ……は? 意味がわからない。ギャル巡条さんの出来がよすぎて比較するなってことか?

 まもなく謎のフルメイク・ミニスカート美女が現れた。


「おはよ~……」

「お、おはよう」


 誰ですか・マジですか!? ノーマル巡条さんが影も形もない! カリスマギャルみたい! つけまつ毛がぶわーっと逆立って、ゆる~い垂れ目がアイシャドウで鋭い吊り目になってる。周囲は銀色のラメでキラキラして、頬はべったり桃色の――チークとか言ったけ、だと思う。髪はシュシュでまとめてなくて毛先を巻いてる。黒川みたいに茶金髪にしたらまさにギャル。


「ど、どう~……? キツくな~い……?」


 スカートを引っぱって伸ばすように両手で押さえ、寒そうに・恥ずかしそうに聞いてくる。靴下は普段モモが履いてるような足首までしかないヤツで、長い脚が・白い肌がほぼ丸出し。カーディガンの裾がスカートの裾とかぶってて、パンツ見えない限界ギリギリまで攻めてる。そのカーディガンも上からふたつボタン外してて、花魁おいらんみたいな肩出し・着崩しでシャレてる。


「キツくないよ。元がいいからそこまで化粧したらすごいいいよ」


 ただまあ10代には見えないかな……。着られるっていうけど赤抜けすぎてて完全に着てる。

 男の1軍・2軍+がほっとかない。女は――とくに赤崎は――冷たくにらむように眺めてた。

 神対応のギャルしおりんの背にでっかい虫がくっついてる。


「……おまえはずっとなにをしてるんだ?」


 両肩をつかんで顔を押しつけて中腰で、レンちゃんが入ってきたときにとっくに気づいた。気になるのは髪型・靴下。シュシュで毛先でまとめてる。普通に紺の膝下までのヤツ履いてる。

 脚見られたりスマホで撮られたり。応対が終わると背中デカ虫にお母さんみたいに言った。


「萌~々~奈。いつまでそうしているの~?」


 返事はない、というより聞こえない。さっきも僕になんて言い返したのかわからなかった。


「私はクマくんにもみんなにもがんばって見せたわよ~。次は萌々奈の番~」


 体を揺すって促す・振り落とす。なかなか離れない。僕のほうを見て苦笑い、事情を話す。


「せっかくだから私も萌々奈にお化粧してあげたの~。一日花恋やってもらうの~」


 シュシュは貸して靴下は交換したという。スカートも交換しようとしたけどそれだけは嫌。ダサすぎて死んでもご免と拒絶されたとか。それ以外は受け入れてナチュラルメイクらしい。

 そういうことか、『アタシ見んな!』って。


「いつもと違って素朴でかわいいの~。笑ったりしないでね~?」

「しないよ。――笑ったりしないから見せろって」


 やっと・そっと背中を離れだす。いつになく伏し目がちに・遠慮がちにゆっくり振り返った。


「……おはよ」

「お、おはよう」


 誰だよ! レンちゃんは白ギャルになってるけど、モモのこの仕上がりなんて言うんだよ! 元の目をごまかしてる常のつけまつ毛が取っ払われて、切れ長の透き通った黒いまなこが泳いでる。洗顔して落としたんだろう、常のべたべたの桃色のチークも取っ払われて褐色の頬がツヤツヤ。まとめた髪は左肩に流し、毛先を・シュシュをいじってる。パっと見、茶色いレンちゃんだ。


「ほぼすっぴんでホント恥ずかしいんだけどー……メイク百パーから十パーなんだけどー……」

「私は逆に10%から100%よ~。毎朝こんなにお化粧して大変じゃな~い」


 しなくてもいいのに・かわいいのに~ってほっぺたつんつん。ムカついて容赦なく頭はたく。


「あう~……。じゃなくって~――え~い!」


 バシっ! ぜんぜん弱いけどはたき返した!


「あたしは頭叩いたりしないっての~! ちゃんと花恋やれっての~!」

「ご、ごめんなさーい……。クマくんクマくん、モモナこわーい」


 座ってる僕に抱きついてくる。は、離れろよ。巡条さんの匂いするな、香水もしてんのか。


「なにやってんだごら~!」


 腰に腕まわして引っぱがそうとする。……なにやってんですか? はじまってんですか?


「佐~! デレデレしてないであんたもはがせごら~!」

「デ、デレデレなんかしてないよ」

「ごら~!」


 ごら~って! なんのロールプレイなんだろう……一日萌々奈・一日花恋がはじまった。

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