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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第14話「美桜ちゃん……なんであんなことしたの?」

「は?」


 は? 赤は言った・皆は思った。ヨリ戻してくれ? 冗談よしてくれ。


「やっぱオレ、おまえのほうが好きだった! 写真見て気づいたんだよ・思い出したんだよ!」


 ポケットから一枚一枚続々出してひらひら舞わせる。処分してないのか……触発されたのか。『前田くんには萌々奈のことを思い出してほしくって~!』――本当にそうなったというのか。冷静で・神妙で遠い目をしていたのは心が揺らいでいたんだ。そして心がまた――移ったんだ。

 十字キーで元カノに切り替えるな!


「黙れ・くたばれゴカゲオ。テメーから捨てといて何様だコラ」


 自分の席、じゃなくて机にドカっと乗った。椅子のほうは不在中にレンちゃんが座ってる。『ゴカゲオ』ってなんだって聞いてみたら、「わかんだろ、ゴミカスゲスオトコ。来年流行らす」

 そんな略語わかるか・流行るか! 響きも字面もなんとなくゴキブリか!

 赤崎は床に落ちた写真を何枚か踏みにじり、彼氏の両肩をつかみ自分に向かせて激昂する。


「どういうことぉ!? マナのことはぁ!?」

「フるわ。結局おまえもメンドくせーわ・マ×コくせーわ。乳ねーし細ぇしそそらねーし」

「はいゴカゲオー、赤崎ざまー! アハハ、アハハハ、アハハハハ! ハハハハハハハハハ!」


 むちゃくちゃ笑いだした……。まあそうか、そういう気持ちにもなるか。ざまあみろ、か。


「っ……しねぇ! シュウも黒川もおばさんもしね~~~~! セッタもしねしねしね~~!」


 罵詈を・涙をほとばしらせて教室を飛びだした。青山があとを追う。後藤は前田に迫った。


「モモナのときも言った系。女乗り換えるとか最悪・罪悪――次やったらダチガチやめる系!」


 ひょろ長い脚でひと蹴り入れて走って出て行った。赤青を追うんだろう。


「んだよアイツ、オレの勝手だっての。――なあモモナ、ヨリ戻そうぜ・前よりヤろうぜ!」


 萌は座ったまま突くように腹を蹴った。いや、玉だった! ひざも悪態もついて痛がってる。


「キ×タマ潰れてオトコとしてシネ、クソチ×コ! ――佐ぁ・カレン、ほっといて行こー」


 とっとと行ってしまう。僕は立ってついて行こうとする。巡条さんは前田に手を差し伸べた。


「レンちゃん、ほっといて行こ――うよ?」


 背が震えてて様子がおかしい。怒ってる……? ぞっとするほど冷たい声音で問いかけた。


「萌々奈を・赤崎さんをなんだと思っているの? 女の子のことをなんだと思っているの?」


 つかんだ手をはたくように振り払う。振り返って僕にニコってしたけど……目が赤かった。



 翌日、1軍は二分した。


        ◎


 詳細は不明だが昨日ようやく破裂したとみる。わたしがふくらませた風船、赤崎の嫉妬心。彼女の悋気りんきを狂気にまで悪化させ、ひと暴れさせる算段だったが――実際はどうなったのか。ないとは思うが前田が黒川に変心・執心し、赤崎と別れる乱心っぷりで崩壊したならなお愉快。なんにせよ赤崎・青山・後藤と、前田・左近・右京に分かたれた(黄島・緑原はどっちつかず)。何枚も印刷して毎朝投下した労もこれで報われる。これからは『調子乗んな』よ動物たちよ。

 ただ――解せないことがある。


「小林さ~ん・佐藤さ~ん」


 4時間目が終わって昼休み、その解せない人がわたしたちのもとに来た。


「これから食堂に行くの~。一緒に行きましょ~・食べましょ~、同じ班でしょ~?」


 例の優勝賞品、学食三千円分は半分も残っている。物にもよるが五人でもう一食はできる。


「…………」「…………」


 ふたりで顔を見合わせた。少なくとも・心なくともわたしは行きたくない。ありがた迷惑。


「もしかして――嫌~?」

「嫌、というか……あの……」

「苦手……です」


 あの場もあなたもギャルの子も。共通しているのは明るいということ。まばゆいばかりに。


「そ、そう~。じゃあ無理にとは言わないわ~、買ってきてあげる~」


 代わりに購買でパンをと言いだした。それならやぶさかではない。遠慮しつつ希望を伝える。


「ふたりともソーセージパンでいいのね~? は~い、わかりました~」


 笑顔で承って振り返って、懇意のふたりがいなくなっていて。慌てふためいて駆けて行った。


「巡条さんって優しいね」

「そうね」


 お人よしね。自らが犯人だと名乗るほどに・偽るほどに。意図も理由もまったく解せない。わたしが真犯人と知っているのか? 知らないまでも罪をかぶった・人をかばった? なぜ。


美桜みおちゃん……なんであんなことしたの?」

「はい?」

「赤崎さんの下駄箱に紙を入れてたよね?」


 ……見られていたのね。そうよ、悪い? あなたも張られたでしょう、『調子乗んな』を。


「正義よ・復讐よ。それで? わたしだってバラすの?」


 バラしはしないがこの目で見たと。わたしが犯行に及ぶところを目撃していた女の人をも。


「巡条さんって優しいね?」


        ◎


 テスト最終日から三日後、12月9日(金)――早いもので全教科返ってくる。運命やいかに。

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