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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第13話「ざっけんなゴルァ~~~~!」

 静まり返っていた教室にざわめきが・驚きが一瞬にして広がる。私が犯人? ……私が犯人?


「しおりんが……やったのぉ……?」


 当事者の赤さえ信じられないといった観。部外者の皆も同様で、それほど徳が・人望がある。


「ええ、私よ~。萌々奈に教えてもらってね~、赤崎さんたちのSNSは知っていたの~」

「はぁ? 教えてなんて――」


 黒川の口をふさいだ。耳元で「なにも言わないで」と小声でお願い(至近の僕には聞こえた)。


「しおりんはんなことしねーだろ、動機がねーだろ?」


 つまり犯人じゃねーだろと前田が聞く。写真を再び高く掲げて示すように振って。


「動機はあるわ~、その~……し、仕返し~。萌々奈を傷つけた・悲しませた仕返しなの~」


 そう言ってかがんで黒川の肩を抱く。萌はお願いを守ってなにも言わない。


「前田くんも赤崎さんも萌々奈を裏切ったでしょ~? 私ね~、やっぱり許せなくってね~。それなのにあの~、お付き合いして三か月でイェーイみたいな~? ふ、ふざけんなごら~」


 ちょうど斜め前にある僕の机を蹴り上げた。いや、蹴り上がってない。ぜんぜんキレてない。


「だからその~、あの~、仕返しなの~! 赤崎さんには横取りした愛を見てほしくって~! 前田くんには萌々奈のことを思い出してほしくって~! ふたりともきら~い! さいて~!」


 赤点です……演技って科目があったなら、30点にも満たないです……。

 レンちゃんと親しい僕と萌は見え透いた芝居ってわかったけど、果たして周囲はどうなのか。

 少なくとも赤崎は犯人と断じた。


「横取りした愛? は? ざっけんなゴルァ~~~~!」


 ほ、ほ、本性出たぁ……! 萌が言ってたんだ、赤崎もキレたら自分と変わらないと……!

 150ちょっとの小さい体が迫ってきて大きくなる。うつむき加減で目が前髪に隠れてる。ふわっとウェーブがかった茶髪のボブヘアーを振り乱し、レンちゃんに向かって右手を――

 振らせない。


「や、やめろ。叩くのは……ち、違うだろ」

「黙れセッタ放せ」


 せ、雪駄じゃないから黙らない・放さない。黒川が「やるじゃん」って僕の隣に加勢する。

 担任が来てホームルームでひとまず一難去った。ホームルーム終わりのわずかな間に話す。


「カレン芝居ヘタすぎ・迫力なさすぎ。そりゃ女優にはなれないわ」


 その~とかあの~とか歯切れ悪すぎ。ドラマの犯人観たことある? 堂々と白状すんだけど。


「萌の真似して机蹴るの要らなかったよ。やるなら本気で鬼気迫ってやらないと」


 そのあと急に大声になって、怒りのボルテージ無理やり上げなくても。怒れてなかったしね。


「ダ、ダメ出ししないで~! これでも一年間、お芝居のお稽古もしたのよ~……」


 ……ご苦労さまでした。

 ではなぜ台本も演技力もない芝居をしたのか。テストが終わったら話しま~すだそうです。

 鬼門は数Aであとの地理・情報はたぶん心配ない。教科書読み込んだ・ワード詰め込んだ。横や後ろはカンニングになりかねないから向けないけど、巡条さんも黒川も僕の席の右斜め前。ちらっと見たらふたりとも背中からでも真剣さが見て取れた。萌なんか授業中よく寝てるのに。


「終わったー!」「終わった~!」


 女同士で抱き合う・喜び合う。……僕は・男は駄目ですか? あいだにどうですか?


「佐ー!」「クマく~ん!」


 ふたりで片手ずつでハイタッチしてきた。パワーの差はあったけどテンションの差はない。

 教室中が解放感に・安堵感に包まれる。担任が来て「席替えするぞー」でさらに歓喜した。いつもは毎月初め(1日)に席替えする。けど連日のテストで今日(6日)にまでずれ込んだ。レンちゃんを真ん中に斜めに並んでた11月の僕らだけど――おのれくじ引き、これはない!


「頭叩き放題じゃーん」

「そんな放題ないわ!」


 真後ろに萌はないわ! 10月もこいつと横に隣り合ったのに、今度は縦に隣り合った……。窓際後方でこいつの席(最後尾)といえば巡条さん。転校してきた僕の左隣、窓際美人さん。


「私だけ離れちゃったわね~……。お昼一緒に食べるとき~、机を動かすのが大変だわ~……」


 これまたおのれくじ引きで、僕らの対極、廊下際最前に。ああ……頭なで放題がよかったな。


「遠すぎるし椅子だけ持ってきたらいいよ。僕の机で・隣で食べよう。あ、いや、普通にね?」

「あら~!」「キっモ」


 早速叩いてきた! 冬休みあるから今月は短いけど、脳がやられる・先が思いやられる……。

 席替えも済んで嬉々としてみんな帰りだす。なのに前田が僕ら三人のもとへ来た。


「なあ黒――いや、萌々奈。ちょっと来いよ」

「はぁ? 下の名前で呼ぶなクソヤロー」


 いいから来いって腕を引こうとつかむ。触るなクソヤローと振り払い、渋々ついていった。

 後赤青は前を待つのか帰らない。左右黄緑はたぶん部活に行った。今日から再開だと思う。

 赤崎が僕ら二人のもとへ来た。「ぜぇったい許さないから。おばさん」とそれだけ言いに来た。


「あ~ん、嫌われちゃった~……当然よね~……」

「あ、そうだ、そのことだよ。なんで自分が犯人なんて言いだしたの?」

「それはね~、テスト初日の朝にね~、下駄箱で見たの~」


 赤崎さんのところになにか紙を入れている子を~。……え? じゃあ真犯人知ってるの?


「ええ、あの子だと思うわ~。けれど赤崎さんたちに言っちゃうと~、いじめられちゃうわ~」


 だから私が犯人で~す、とのこと。いやいや、かばうことないよ……卑怯な・陰湿な奴だよ。そのせいで憎まれてまたおばさん呼ばわりだよ? せっかく〝しおりん〟になったのに……。

 あのとき小林・佐藤を気にしてた。あいつらか・どっちかか? メガネでより陰気な小?

 少し経って冷めた萌が戻ってきた。あとを追う前田がすがりつくように「ヨリ戻してくれ!」

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