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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第12話「は~い、私が犯人で~す」

初日の三つ(生物・現国・世界史)はふたりとも、自信も手応えもあるとファミレスで語った。学校から直で最寄りの・流行りのとこに行って、巡条さんのおごりで食べて夕方まで勉強して。そのあとは、夜は萌宅へ行ってまた勉強して、晩ごはんはザーピー――じゃなくてオムライス。冷蔵庫に余りまくってた卵で巡条さんが四人前ぱぱっと作ってくれた。僕も祝くんも大喜び。萌は悔しそうに「ライスオムとかあざとー」とか愚痴りながら食ってた。……ライスオムって。

 次の日も同様で土日はレンちゃんの家へ(テストは4days、あいだにホリデーズ)。あんな高い・広いとこに住んでるくせに、こんな低い・狭いアパートのほうが萌は好きらしい。……言葉が・比較が過ぎました、僕も好きです。空間的には窮屈だけど匂いが・居心地がいい。レンちゃんの気で満ち満ちてる。名づけて花気。花のようにかぐわしい気――花恋の……気。そういえば呼び捨てで呼べてない。萌がいる手前、ここぞってときがない……ムードがない。期末テストを乗り越えたら聖夜だ・冬休みだ。クリスマスが励みに・楽しみになるなんて!

 ムードもムーブも普通にある。ッチな動きが・雰囲気が――絶対ある。


「ク~マ~くん。クマく~ん」

「うん?」

「うん? じゃないっての。ぼーっとしてないで出題しろ」


 頭バシっ、すぐにヨシヨシ、僕嬉し。5・7・5です。テスト最終日、朝の教室です。


「も、問題探してたんだよ。じゃあ……『三角錐、四角錐などのように――』」

「多面体」

「……最後まで聞け。合ってるが」

「ふふっ、クイズ番組みた~い。私も私も~」

「『へこみのない――』

「凸多面体~」

「早いよ……合ってるよ。流れでわかってたね?」


 右の口の端のほくろに人差し指を当ててすっとぼける。……かわいいってわかってたね?


「『各面がすべて合同な正多角形であり、各頂点に集まる面の数がすべて等しい凸多面体――』」

「をなんと言うかってー? 正多面体ー」

「ですが~? ですがですが~?」


 クイズ番組じゃないんですが……。正多面体ですが、で続けるなら――それは何種類ですか?


「5種類~。正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体~」

「4の倍数と見せかけて六があって十六がないヤツねー。ひっかけひっかけー」


 にぎやかに・なごやかに最初の数Aの最終確認といく。暗記で・文章題で点を稼いでもらう。肝心の計算問題は正直ふたりとも理解が浅い。まあ僕もそこまで偉そうなこと言えないけど。

 今日は前赤から小佐まで全員もう来てる。8時過ぎに事件は起こった・赤崎は怒った――


「いいかげんにしてよぉ……!」


 突如として・憤然として甘ったるくも甲高く叫ぶ。教室中が奴らのほうを、後方を振り返る。四方四色はロッカーの上に並んでたむろ、ひと際やかましくしゃべりまくってたけど黙った。あいつらは、1軍はロッカーが指定席・特等席だ。普段からそうでかつては黒川もそうだった。


「なにがしたいのぉ!? あんたらの誰かなのぉ!?」


 数枚の紙を叩きつけるように投げつける。今日もまた仕込まれていたのか――前黒の写真。

 テスト初日のあれははじまりにすぎなかった。翌日も下駄箱に投下され、赤崎は怒り狂った。土日をまたいでテスト三日目、今度は机のなかに仕込まれていた。赤崎は昨日も怒り狂った。四度目になる本日はさらに込み入ったところにあったんだろう。発見が遅れたというべきか。


「まあ落ち着けや、毎朝キレんなや」

「うるさいハゲぇ! 関西行けぇ!」


 萌みたいにバシって頭はたいた。ハゲ(丸坊主)だから僕より音がいい。そんなことはいい。


「あたいらがこんなことするわけないっしょ」

「ダチ疑うとかダチガチなくす系」

「やっぱ黒川じゃない? 確か二か月止まりじゃない?」

「だから三か月までいったマナに妬いてんじゃない?」

「今さらモモナが妬くか? セッタが好きだろ、あれ」


 青後黄緑右が口々に言う。前はだんまり・げんなり。雪駄じゃないぞ・好きなわけないぞ。

 不思議なのは前田が取り乱さないこと。彼女と一緒になってブチギレてもよさそうなのに。

 奴は印刷された写真(ツイックーの投稿)を拾い上げ、頭より上に掲げて教室中に尋ねた。


「おまえらオレのツイックー知ってんのか? 知ってて覗いててこんなことやってんのか?」


 答えはない、どころかみんな顔を背けた。背けなかったのは僕らくらい。そのくらい怖い。

 前田は写真を、夏の・萌の思い出を遠い目で見はじめる。代わって赤崎が吠えた・燃えた。


「あんたらマナたち見てんのぉ!? SNS見てんのぉ!? プライバシー侵害ぃ!」


 最後に黒川をにらみつける。疑念も怨念もまだあって、どうせなら犯人であってほしいんだ。


「プライバシー侵害って公開してるからじゃん。するならもう自慢じゃなくて鍵すればー?」


 ふんぞり返って嘲弄する・挑発する。椅子の背もたれを肘置きに、脚を組んで半身で半笑い。こいつも以前はSNSでも奴らとつるんでいたそうだが、ソロ川化と同時にやめたという。


「萌~々~奈」


 逆なでしないの~ってたしなめた。レンちゃんはさっきから困り顔で、なにか迷って見える。しきりに小林・佐藤のほうに目を向けていた。ふたりの席は遠くなくて隣同士。読書してる。


「ねぇ誰ぇ!? マナに・シュウに恨みでもあるのぉ!?」


 赤崎がまたキーキーわめきだす。「テメーは猿か、ああん!?」とか仕舞いに萌キレそう……。

 僕と同じくそんな状況が浮かんだのかな、どこか覚悟を決めて巡条さんが立った・言った。


「は~い、私が犯人で~す」

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