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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第8話「あれって中敷きのせいかしら~・裸足のせいかしら~?」

 ぽかぽかぽかぽか! レンちゃんが両腕ぱたぱた萌を叩く。グーというより猫の手にゃ~。


「朝からうっざー・うっさー……バカってなにがー?」

「ばかばかばかばか~~~~!」


 聞いてないし効いてない!

 気が済むまでばかばかぽかぽかして、スマホを出してびしっと・ばしっと言い放った。


「これよこれ~・なによれこれ~!」


 僕と萌の写真だ。チーズぶxかけは撮れる・送れるはずもなく、結局最初のヤツにした。


「こんなにくっついておいしそうに・楽しそうにピザ食べて~!」


 一方その頃バイト中だけど気になって見てしまい、かえって気が気じゃなくなったらしい。


「ッチなこと、くれぐれもしないでね~って言ったわよね~!?」


 拡大して証拠のように見せつける。片乳が片腕にむにゅっと沈んでしっかり当たってる。


「こんなのべつにエロくないじゃーん。エロいことなんかなーんもしてないから」


 ねー? って陽気に・のん気に見てくる。……エロいこといくつか普通にあったけどな。

 巡条さんの追及は僕にも及んだ。


「クマくんもクマくんよ~! お乳が当たってデレデレして~!」


 拡大して証拠のように見せつける。や、やめてよ、ラッキースケベ顔ズームしないでよ……。


「デレデレはしてないよ」

「じゃあドキドキは~!?」


 ……しました。無言を肯定と捉えられました。


「ばかばかばかばか~~~~!」


 ぽかぽかぽかぽか! ぜんぜん痛くない、かわいくない!? お姉さんの嫉妬かわいくない!?

 淑やかなしおりんが穏やかじゃなくて周りがほっとかない。1軍が群がった・からかった。


「どしたどした、しおりん怒り~ん?」

「怒ってもかわいいってずるぅい。あざとぉい・あくどぉい」

「あくどくはない系。その調子で今日の決勝、しおりん無双系?」

「しおりん含めて黒川さん以外ザコっしょ」


 言葉くらいは交わすくらいに国交正常化したものの、赤黄緑ともども『黒川さん』と呼ぶ。萌のほうも四色を苗字で呼び捨てで、前田はいまだ〝クソヤロー〟・後藤は変わらず〝ケイ〟


「ん、んんぅ」


 取り乱したのをなかったことにするみたいに咳払い。お騒がせしました~と優しく人払い。


「と、とにかくふたりとも~! こんなにくっつかないの~・ドキドキしないの~!」


 僕は真っ当に・萌は適っ当に受け止めた。それを咎めつつひとつ聞く。


「『今日の決勝』ってなんだ?」

「ディベるヤツ。今日で最後じゃん」


 あ、そうか、あれか。今月は総合の時間でディベートが・トーナメントが毎週行われている。ディベートーナメントと銘打たれ、優勝した班にはささやかな賞品(学食三千円分)まである。若い担任の自腹だ(太っ腹だ)。ほかのクラスは・年配の先生はたぶんこんなことやってない。教師一年目・23歳のお兄さんだからこそ、良くも悪くもエンタメ性を打ち出したんだと思う。


「あっ、私も忘れていたわ~。優勝してみんなで食堂で食べましょうね~」


 僕らだけじゃなく小林・佐藤にも声をかける。席は遠くなくてふたりは曖昧にうなずいた。

 ひと班四~六人の規定があって、三人組と二人組で合流した形になる――が。交流はない。巡条さんだけが一方的に・好意的に話しかけてる。人のこと言えないけど小林も佐藤も空気。座ってるだけでなにもしゃべらない。まあ黒川が本気すぎて・熱気すぎて、しゃべる必要ない。

 たとえば直近(先週)の準決勝は――


『ほら、学校とか病院は長じゃん? なのにホテルとか劇場ってなーんで支配人なのってわけ』

『ああん!? 支配なんて人聞き悪いに決まってるわコラ! それで話終わりだろうがゴラ!』

『シネ! クソデカオンナ! 170オーバーのスポーツオンナとか一生モテるかゴルァ!』


 ディベるヤツなのにディスる奴! 最終的にブチギレて人格攻撃するな……。

 なお、議題は〝支配人って人聞き悪いか悪くないか〟――そうです、レンちゃんの提言です。相手は黄島・緑原の2軍+班で、やっぱりコミュ力・身体能力が高い陽キャたちが勝ち上がる。ぜんぶで八班、二勝して決勝に進んだのは――僕らもといほぼ萌の単独と、前後左右赤青だ。

 1・2・3時間目を経て4時間目、決戦の刻がきた。


「最初はグー、じゃんけんぽん」「最初はグー、じゃんけんぽん」


 左近と僕がまずじゃんけん(人選に意味はない)。パーで勝って提言権を得た。


「よし。レンちゃん」

「ええ。…………」


 机に両肘をついて頬を両手で包み込み、右へ左へ頭をゆらゆら思案しだす。……かわいい。

 教卓から向かって右側に四方赤青・左側に僕たち。机を横付けて縦に並んで相対している。そんなふた班をその他のクラスメイトが、窓際・廊下際・ロッカー際の三方からコの字に囲む。教卓の前にはくじで選ばれた二名の判定人が見守り、教卓の担任は裁判長がごとく見届ける。

 今さらだけど物々しい・重々しい……。


「あっ! は~い、ひらめきました~」


 頬杖をやめてにこやかに手も声もあげた。


「裸足で靴を履いたら脱ぐときにね~、靴の底がぺろ~んってめくれちゃうことってな~い? あれって中敷きのせいかしら~・裸足のせいかしら~?」


 どんな議題ですか・ひらめきですか!? 靴下履いてたらまずめくれないから裸足のせい!

 狂犬黒川に負けず劣らず、レンちゃんの不可思議な提言も強みです。

 僕らは中敷き・奴らは裸足で討論開始。……こんなディベートある?

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