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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第7話『佐のチーズいっぱい出た』

「食べたいの――いや、とくにないが」

「じゃあピザねー。――もしもしー?」


 電話しだした。その隙に祝くんが小声で吐露する・暴露する。


「ふつかにいっかいピザなんだよ」


 それでさっき『ピザ』って挙げたんだ……。お母さんは帰ってこないの・作ってくれないの?


「かえってこない。つくってくれるのはがっこうのおべんとうだけ」


 そ、そうなんだ。電話し終わった萌に正面切って言ってやった。


「……お姉ちゃんなんだろ? ピザばっか頼まないでなにか作ってやろうとか思わないのか」

「はぁ? アタシが無理して下手な料理作るより、宅配頼むほうがよっぽどウマいわ・賢いわ」

「……そうか」


 祝くんは今から風呂に入るという。ねえちゃんもおにいちゃんも入ろって手を引いてきた。


「兄ちゃんは食べたらもう帰んの。姉ちゃんはピザ来んの待たないとだからひとりで入んな」

「わかったよう……」


 不服そうだけど聞き分けがいい・あきらめがいい。小さい背中を寂しそうに風呂へ行った。

 広々したリビングに・ふかふかしたソファーにふたりきりになる。


「おまえとは似ても似つかないいい子だな」

「そりゃまー父親違うしー」


 お、おもいっきり地雷踏んだ……! ただの・いつもの憎まれ口だったんだ……。


「……すまん」

「べつに気ぃつかわなくていいんだけどー。ちなみに祝もアタシも父親覚えてなーい」


 ひとり目もふたり目も結婚してすぐママごと捨てたんだってー。…………。


「お母さん帰ってこないって聞いたけど……なにしてる人なんだ?」

「キャバ嬢」


 ナンバーワンとかで相当稼いでるとかで、だから毎日宅配が頼める・駅近タワマンに住める。母親らしいことは学校で食べる弁当を作るだけ。萌より祝くんに目を・金をかけてるんだとか。


「スケートもそうだけど塾と英会話も通わせてんの。アタシと種違いで大違いなんだけどー。そもそも娘より息子のほうが欲しかったってねー。祝オトコだったから〝祝〟なんだってさ」


 一方〝萌々奈〟は母親ではなく父親の命名で、由来は不明というか忘れてしまったという。


「ママはひらがなで〝まよ〟がよかったんだって。萌々奈でよかったわー、ねーずじゃん?」

「は、はは……は」


 下手な・半端な苦笑いをしてしまう。頭はたかれた。


「気ぃつかうなつったろコラ。マヨネーズってわかんだろ、もっとウケろ」


 笑いを強要するな……。黒川まよ――か。ねーずってことはないんじゃないか。

 複雑な生い立ちを聞いてまもなくピザが届いた。


「はい、ザーピー」


 ソファーの前のテーブルに置く。寿司をシースーは聞いたことあるけどザーピーって……。

 冷蔵庫から缶コーラを二本持ってきて、僕の隣に座ってきて、手づかみで早速食べだした。


「祝くん出てくるの待ってやれよ……」

「待ったからってどうなんの? 冷めるしとっとと先食べるし」


 佐ぁも食べろってひと切れ渡してくる。コーラ以外がいいなら冷蔵庫から好きに取れ、とも。


「コーラでいいが……先に食べるの気が引けるんだが」

「いいから食え。じゃないと顔面投げるから・焦げるから」

「焦げるってどんだけだよ、焼きごてかよ……わかったよ」


 んっ、普通に美味いな。ホワイトチーズがとろ~り粘っこい。いくらするんだ、これ……。

 コーラもぷしゅっと開けて乾杯した。二日に一回ピザ・コーラってそのうち太るぞこれ……。


「てか祝、アンタになつきすぎでウケるわー」


 今まで連れてきた男には寄りつきもしなかったとか。前田みたいなのばっかりだからだろ。あんな金髪のごつい・いかつい浅黒チャラ男、同級生の僕でも怖いわ。小学生には酷だ・悪だ。


「たぶん『姉ちゃん初めてまともな彼氏できた』って思ってるわー」

「小2で彼氏とかまだわからないだろ。というか彼氏じゃないしな」

「今はねー」


 は? ……は? キレるの覚悟で実際に二度聞き返せばよかったかもしれない。『今は』?


「あ、そだ、写真撮ってカレンに送ろー」


 片腕を取ってむにゅっとくっついてくる。お、おい、近いな・でっかいな……。


「ほら、ピザ持ってまぬけに・底抜けに口開けろ」

「馬鹿みたいな・カバみたいな演技指導するな……これでいいだろ」


 仏頂面まではいかないけど、やらされてる感が伝わるような顔をする。口はそんな開けない。

 スマホを掲げてふたり写るよう自撮りした。ピザを食べる瞬間が仲睦まじく切り取られる。

 レンちゃん嫉妬しないかな・誤解しないかな……。


「んー、イマイチってかクっソつまんな。もっとエロいの撮ろ」


 スマホを渡してきて僕の前にしゃがむ。チーズ垂らせって言うからピザを傾けるやる――と。糸を引く白~いドロドロを! 舌も色気も出して受け止めた! 撮れって膝叩いてくる……。


「アホか!」


『佐のチーズいっぱい出た』って一文添えるつもりだったらしい。……正直言って興奮した。


        ◎


「ばかばかばかばか~~~~!」

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