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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
七章
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第3話「し、しおりんおしゃぶり~ん?」

12月の1日(木)・2日(金)が前半戦で、5日(月)・6日(火)が後半戦となっている。オール3、4で大したことない僕だけど、ふたりの赤点を・留年を回避するために一生懸命。この前の中間テストでは、巡条さんに教えるためにいつもよりがんばったから成績が上がった。

 人のためになれば自分のためにもなる――言うは嘘くさい・偽善くさいけど行うは本当だ。


「膜電位の変化によりイオンの透過性が変化するチャネルは?」

「はいイミフー」


 だろうな。電位依存性イオンチャネルな。


「レンちゃん、特定の物質との結合の有無により、イオンの透過性が変化するチャネルは?」

「え~……? ん~……?」


 頭痛そう・煙出そう……リガンド依存性イオンチャネルだよ。


「チャネルってなに、あのブランドのニセモノ? アンタそれわかって言ってんの?」

「……わからん」


 こういうのは呪文にでも思って覚えるんだ。チャネルってのはタンパク質の――なんかだ。

 左右岩石が二分した翌日、昼休み。問題集片手に生物の出題してる。理科系は小難しい……。うっとうしい鬼ごっこはなくなり、左右は前後とつるむように(黄緑が赤青に接近したように)。岩石も別の二人組と合流した。心なしか前より活き活きして見える。こう、上からいってる。

 人間関係は対等じゃない。友達ですら立場に上下が・強弱がある。凹凸、と言ってもいい。左右岩石の四人だと後者は凹だったんだろう。それが今では岩田・石田が凸になって見える。そして左近・右京のほうは、前田・後藤に対し下手に出てる。なんなんだろうこの力関係は。

 自分たちでいえば萌が凸で、僕とレンちゃんが凹。ふたりで横から挟んでるイメージかな。


「はー、期末ダルー」


 両手を挙げて伸びもあくびもした。爪もスマホも普通にいじりだす。


「……おい。逃げるな」

「イヤー。朝から疲れたしー」


 細切れの時間だけどこの自習は毎休み時間やってる。一番長いのは言うまでもなく昼休み。


「今やらないでどうすんだよ」

「夕方やるしー。カレン今日もバイトじゃーん? だからその分、今集中して教えてやってー」


 その代わり佐ぁ今日アタシんチねー。は? ……は?


「テメコラ、二回言うのやめろって――」

「わかった・悪かった! おまえんチってどういうことだよ」

「カレンとこで夜まで教えるみたいにさー、アタシんとこ来て教えてってことー」


 巡条さんがバイトの日は放課後で解散してる。マンツーマンでこいつの勉強見てもというか、こいつにその気がなかった。なのに『来て教えて』? やる気があるんだかないんだか……。


「ダメ~~! ふたりきりにならないで~~!」


 両腕を×に嫉妬で嫌がる・燃えあがる。……かわいい。目も×に見える。


「うわ、うっざ。アタシと佐ぁでなんかあると思ってんのー?」

「心配しないで、ないから。ありえないから」

「む~ぅ……数学みたいに証明してくださ~い」


 ……屁理屈言わないでください。口も柄も悪いし品ないし、タイプじゃないし女っぽくない。まあ体は女っぽいしいい乳・いいももしてるけど――男みたいにキレるわ暴力振るうわ……。


「萌々奈、ちょっと~」


 手招きして顔を寄せさせる。こそこそ・ひそひそ耳打ちした(僕には聞こえない)。


「ッチなこと、くれぐれもしないでね~?」

「えー、たとえばー?」

「たとえば~……その~……しゃぶる――とか~?」


 アハハハ吹きだした・叩きだした。……机にまで暴力を振るうな。


「清純ぶっててむっつり・がっつり知ってんじゃーん! し、しおりんおしゃぶり~ん?」

「しおりん雨漏り~ん! 知りませ~ん! 昨日舞歌に言われたの~!」


 あ、コバさんと呑んだんだ。……なにを言われたの?

 話は見えないけど萌の笑いも収まって、レンちゃんのふくれっ面も風船みたいにしぼんだ。


「でさー、佐ー」


 アタシが赤点ぜんぶ回避できたら言うこと聞いてー。……言うこと聞いて?


「あげる、だよな?」

「あげなーい」


 なんでだよ……。


「モチベ上げるためにいいじゃん。言っとくけど赤点取ったらアンタのせいだからー」


 なんでだよ……。


「じゃあアンタの言うことも聞いてあげるー。お互い一個ねー」


 爪の尖った人差し指を立ててにんまり笑う。それでモチベが上がるなら――まあいいか。


「わかったよ。おまえが赤点ぜんぶ回避できたらな」

「は~いは~い!」


 元気よく・姿勢よく挙手して対抗する。


「私もぜんぶ回避できたら言うこと聞いて~」


 防災訓練よろしく机の下にさっと隠れた。……回避を表現してるんですね。


        ◎


「はー、終わった終わったー」

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