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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
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第12話「ハゲ、おまえが盗ったんだろ!」

「……死ぬか」「あ~ん……」


 至福のデートの二日後、月曜・昼休み。ふたりでみやげ話もといのろけ話したらこの反応。


「イソスタだったらいいね押してるわ。死ねばいいねってねー」

「おまえな……」


 死ねばって……。あれってそうなのか、いいねの前に〝どうでも〟とか本心では……?

 昨日は、日曜はこいつともども勉強会の予定だった。巡条さんの家で三人で朝から晩まで。でも僕らは慣れない運動で全身筋肉痛、あまりにひどくて勉強どころじゃなくて中止に……。素人だし滑りかたもまずかったと思う。かかとの皮がめくれて痛いの赤いのなんのって……。


「まーなに、楽しそうでよかったじゃーん。とくに佐ー」


 こっち見てわざとらしくウインクしてきた。「手ぇマジ握りっぱでさー」って目が言ってる。こう見えて案外口も義理も堅く、僕に助言したことを黙ってる。まあ巡条さんにバレてるけど。


「けどケンゼンでいつまで続くかなー」

「は?」「え?」


 小声でぼそっと聞こえなくてふたりして聞き返す。健全、とか言ったか?


「べっつにー。はい、あーん」


 なんの真似か・冗談か、自分の弁当のタコのウインナー近づけてきた。


「……は?」

「あーん」


 あーん、じゃないんだよ……。圧が・ドスがすごいんだよ……。


「む~ぅ」


 向かいのレンちゃんがぷくっと頬を膨らませる。黒川は斜向かい。


「は~い、あ~ん~」


 対抗してなんかサラダ近づけてきた。レンちゃんの弁当はおかずが単品で、今日はサラダ。白飯と合わせて名づけて二色弁当。だけど今日はサラダで色んな野菜あるから普通に色多い。


「…………」


 こんな公衆で、教室で恥ずかしいけどいただいた。正直ウインナーのほうが食べたくはある。


「キっモ」

「う、うるさい、だから――」

「ピュっア」


 ああ!

 それからもしゃべってときに売り言葉に買い言葉、獅子になぶられる・天使になでられる。巡条さんが甘味料だとしたら黒川は香辛料。さしずめハチミツとハバネロ、究極の対極にある。

 何度かバシっ・ヨシヨシのち、ごちそうさまでした。その直後でした。


「ハゲ、おまえが盗ったんだろ!」


 石田が教室中に響き渡るほど声を荒げる。対するハゲ、左近は首をかしげる。


「なんでやねん、なんでおれやねん」

「とぼけんな・ふざけんなハゲ! 生まれも育ちも東京だろ、竹刀でドタマかち割るぞボケ!」

「よっひー落ち着け、おまえもエセ関西味出てる。さすがにこいつも盗ったりはしないって」


 右京が擁護する。サッカー部で爽やかで良く言えば好青年・悪く言えばキザ。一番モテそう。


「サコショーが盗ったと思う根拠は?」


 岩田が質疑する。柔道部でそれこそ岩みたいな顔つき・体つき。一番強そう。


「金ない金ないあれくれこれくれ日頃から言ってるだろ! ハゲしか思い当たる節ねぇわ!」

「ハゲハゲうっせぇな。バットで竹刀も防具も叩き割っぞ」


 ますます怒れる石田に左近も喧嘩腰。前者は一番頭悪そう・後者は一番タチ悪そう。

 一触即発の剣道と野球――教室にいる全員が息を殺した・目をこらした。


「なにあれ? なにモメてんの?」


 萌が声も眉もひそめて僕らに言ってくる。巡条さんは首を横に振り、憂えた・うろたえた。


「しらばっくれんなら調べさせろ! おまえの机とかかばんとか!」

「いいぜいいぜ、調べろよ。出てこなかったら謝罪な・罰金な」


 石田が荒々しく机・かばんのなかをあらためだす。なにか知らないけど出てこなかったよう。


「まだだ!」


 教室後方のロッカーへ。左近はそこに部活の、野球のかばんを突っ込んである。


「おいおいヨヒロ、んーな必死こいてどした?」

「みぃんな見てるよぉ・引いてるよぉ?」


 近くにいる前田・赤崎が冷やかす。一緒にいる後藤・青山もせせら笑う。

 格上の1軍の四人を意に介さず――石田はどうやら・なにやら見つけた。


「おい見ろ! これはなんだこれは!」


 財布を掲げて戻ってくる・威張ってくる。左近は驚愕・動揺した、右京と岩田は失望した。


「おまえ……」「…………」

「ち、違う、おれじゃない!」

「おまえだろうがハゲ!」


 剣道じゃないけど面を殴った! 一触即発から一打勃発、喧嘩がおっぱじまる……!


「死ねっ! 泥棒っ!」

「違う! おれじゃねぇ!」


 胸ぐらをつかみあって蹴り合う・罵り合う。右・岩がそれぞれ止めに入るも教室中が火中。石・左の火だるまが脇目も振らずに転がって、方々のグループに少なからずぶつかって――

 僕ら三人のとこにも来た! それも黒川の机に派手にダーン! やばい……キレる……!

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