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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
74/214

第11話「ラッキースケベするならアイススケーベ場へ!」

 ぐるぐる・ゆるゆる何周もする。巡条さんはしょっちゅうこけかけて、抱きついてきて……。僕も一回こけかけて、コート越しでもやわらかい胸へダイブしてしまった。アイススケーベ! 手なんて当然握りっぱなし、手袋越しでもドキドキしっぱなし。ありがとう、焼きそばーか!

 12時過ぎになると昼食を摂ってひと休み。13時に再開、手すりを・外周をついに卒業する。


「ほ、本当にだいじょうぶ~? とっても怖いわ~・危ないわ~……」

「大丈夫だって、十分練習したよ」

「けれどこう~、犬かきで海を渡るようなものよ~……」

「そこまで無謀なことかな……」


 確かにリンクは広いよ・僕らはつたないよ。でも見てよ、子どもでもぜんぜん滑ってるよ。バランス感覚は覚えた・養えた。寄る辺ない内側をふたりで突っ切る――普通にできると思う。


「行こう。なんなら最初から……えっと……だ、抱きつく?」

「いいえ~、それは悪いわ~・恥ずかしいわ~……。こけそうになったらおねがいね~……?」


 いざ挑戦。せっかくだから一番長い距離を、わかりやすくド真ん中一直線をコースと定める。


「行くよ?」

「え、ええ」


 手をつないで横並び。空いてる左手で手すりを押して勢いをつけて、氷の大海に繰り出した。


「あ、あ、あ~~~~!」


 早速おびえた・うろたえた声をあげる。けど難なく・なんとなく滑れてる。

 手押しの推進力が尽きてきた。そろそろ自分たちで、足で進まないといけない。


「いける? 無理そうだったら棒立ちでいいよ」


 僕だけが滑って引っぱる形になったっていい。いや、むしろそうなりたいって言っていい。年下で普段頼りないのはよ~くわかってるから、こういうときこそ男を見せたい・磨きたい。


「い、いえ、私だって滑るわ~」


 おっかなびっくりスロースケーティング。観察してると段々と――股が開いてきてる……!


「足が斜めに傾いてるよ! 氷に対して垂直に!」

「え、え、そのつもり――で~~~~!?」


 ぱっかーん割れた(120度大開脚)! こうして見るとほんと脚長い……スタイルいい。

 こうして見てる場合じゃない!


「大丈夫!?」

「じゃないわ~~! このままだとお尻も割れちゃうわ~~!」


 尻は元から割れちゃってます!


「もう体勢立て直せないよね!? じゃあいっそこけよう!」


 力強く手を引いてわざと・しかと衝突させる。僕を下敷きに巡条さんは安全に転倒できた。


「クマくん!? クマくん!」

「いてて……思ってた以上に固いね・冷たいね……」


 後頭部からいったら最悪死ねるね……。尻からでよかった・助かった。


「なんてことするのよ~……怪我はない~?」

「ないよ。レンちゃんは?」

「おかげさまで~。本当にごめんなさ~い、ありがと~。…………」


 一件落着したのに僕の上からどいてくれない。ぼーっと・ぽーっと見つめてくる。


「な……なに?」

「ぬ、ぬねの~」


 またなにぬねの……? おとといも思ったけどまぶたが・唇が迫ってくるかと……。違うか。

 見つめるのをすぐやめてゆっくり立ちあがる。僕の手を引っぱって立つのを補助してくれた。


「あの~……はっきり言うけれど~……。今のは男らしくって~……かっこよくって~……」


 ますます好きになったわ~ともじもじ打ち明ける。鼻から下を両手で隠して斜め下を見て。


「え? ……え?」


 それはどうも……。かわいいなぁ……こっちだってはっきり言おう。


「僕も……す……好きだよ……毎日ますます……」

「……うふふ」


 小3くらいの男子が近くを通りすぎて、不思議そうに・邪魔そうに見てきた。…………。

 ふたりだけの世界に浸るべからず。再び手と手を握り合い、向こうまでどうにか辿り着いた。外周を繰り返してそれなりに上達したように、今度はこのド真ん中一直線コースを反復する。さっきの失態があったからかな、巡条さんは棒立ちで僕にただ引っぱられるのを良しとした。これがまあ楽しいったら・誇らしいったら! 年上のこんな綺麗な彼女をエスコートして! たまにバランス崩してやっぱり抱きつかれて――アイススケーベ、バトミントン超えました! ラッキースケベするならアイススケーベ場へ! いやあの、ガチの・プロの人、怒らないで。


「クマくんクマくん、そろそろ私も滑るわ~」


 けん引されるうちに慣れが高じた・おそれが減じたのか、白い息を吐いておっとり宣言した。内股気味だけど滑れてる。僕を見て学んだとか。もう脚がぱっかーん割れることはなかった。そしてとうとう引っぱってくれるまでに成長し、気分はまるで全自動マリヲ。マンマミーア! 前を行くレンちゃんのポニーテール・赤マフラー――より、尻ばっか見てた。ホンマデケーヤ!


「ははははは」

「ふふふふふ」


        ◎


「シネ」

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