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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
73/214

第10話「お……お……おっぱい~~~~~~!」

 翌土曜。ジーニアス黒川に教えてもらったデートプラン、キャンプに代わって全力で楽しむ。スキーぐらい着込んで・受験ぐらい意気込んで駅前で待ち合わせ。11月19日10時10分前。


「クマく~~ん!」


 僕が来てまもなく巡条さんもやってきた。ベージュのニット帽・赤いマフラー・白いコート。下も厚手のパステルピンクの長ズボンで防寒マックス。初めて見るレンちゃんの私服……!


「おはよ~。待たせちゃった~……?」

「ううん、今来たとこだよ。おはよう」

「温かそうでいいわね~。いつもよりたくましく見えるわ~」


 言われてみれば僕も初めて見せる私服だった。普段は学校から直で家行ったりしてるから。


「私は太って見えるかしら~?」

「見えないよ。か、かわいいよ」

「っ……も~ぅ……うふふ……」


 かわいいよ!

 電車に乗り込む。髪型は今日は文化祭のときのしおりんよろしく、ポニーテールにしてた。ニット帽の下から尻尾が出てる。隣り合って座ると柑橘系の――香水かな、いい匂いしてくる。


「私、やったことないの~。だいじょうぶかしら~」

「まあ……大丈夫だよ。僕もやったことないけど慣れるってあいつ言ってたよ」

「あいつ~? 萌々奈~?」

「あ、いや……うん」


 今回のデートが萌の助言っていうのは言ってない。別にやましくも悔しくもないけど。


「ふふっ、やっぱりそうだったのね~。クマくんの発想っぽくないな~って思ったわ~」

「はは……そうだよね」


 逆立ちしても瞑想しても思いつきはしない。これだから僕は陰なんだ・奴は陽なんだ……。


「けれどキャンプでもよかったのよ~? とにかく今日で最後ね~」


 今日で・今週でデートは終わりだ。12月頭の期末テストまで残り十数日、本腰入れないと。


「めいっぱい遊びましょ~」

「うん。昨日やった法則、覚えてる?」

「フラミンゴの法則~?」

「……フレミングの法則」


 めいっぱい遊んでめいっぱい勉強しよう!

 人も揺れもまあまあ多い電車に乗ること4、50分――降りてちょっと歩いて到着した。冷気漂う建物のなかへ。靴を履き替える。うわっ、歩きにくい。普通に足首ひねりそう……。


「ク、クマくん、助けて~……ひとりで歩けないわ~……」


 早速手をつなげた! ふたりしておそるおそる氷上へ。そう――ここはアイススケート場。人はそれほど多くない。親子連れが結構いて、5歳くらいの小さい子も手を引かれて滑ってる。友達同士で来てるだろう人らもだいぶいる。あとは男女、すなわちカップルもちらほらと……。


「お、危ない」

「……えへへ」


 彼女がこけかけて抱き寄せられて照れてる・惚れてる! あ、あんなことが茶飯事……!?

 よそ見しつつスケートリンクの前まで来た。一歩足を踏み出せばそこは白き・冷たき地面。


「僕から行くね、気をつけてね」


 率先して氷の上に降り立った。左手は手すりに右手はぎゅっと離さない。


「ど、どう~? 平気~?」

「うん。足を斜めに傾けなかったらこけることはないよ」


 でもまだ不安そうで垂れ目・垂れ眉が下がったまま。困った・弱ったその表情、好みです。

 少しして意を決して足を出して――無事立てた。


「はぁ~……ドキドキしたわ~……。こけないかはもちろん、氷が割れないか心配で~……」

「割れないよ……。じゃあまずはこのまま――」


 って、こけた! それはもう見事な・豪快なお尻もち!


「だ、大丈夫!?」


 すぐに手を引っぱる。握ってるのに防げなかった……意味ない・申し訳ない。


「あ~ん、いきなり濡れちゃった~……。パンツまでしみてるわ~……」

「…………。ごめん……」


 助けられなくて……。変な想像して……。


「いいえ~、いいの~、ごめんなさ~い。滑る前からこけるようなドジっ子おばさんで~……」

「おばさんじゃないよ、お姉さん!」


 ドジっ子お姉さん!

 気を取り直してまずはこのまま手すり伝いに、ぐるっと・すいすいーっと一周することに。巡条さんの手を引く・前を行く。腕も脚も小刻みにぷるぷる震えて危なっかわいらしい。


「そんなに怖がらなくても」

「だ、だって~……とっても痛かったの~……」


 さっきのが恐怖になってるみたい。青アザとかになってないといいけど……。

 心を痛めたのもつかの間――


「ぁ……!?」


 またこけかけてこっちに寄りかかってきた。やんわり抱きとめる。


「ご、ごめんなさ~い」


 ぽっと照れて・ぱっと離れて手すりに体を預ける。お……お……おっぱい~~~~~~!

 ア……ア……アイススケーベ~~~~~~!

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