第7話「吸い込んで吐き出すのもやっつけたことになるんだけどね……」
「あっ、ええ、見たことあるわ~。今の~……あの~……やつよね~?」
なんて言うかは知りませ~ん……。勉強もゲームもさっぱりなの~……。
散歩・バトミントンの次の日、わたしのおうち~。六畳一間の安~い・古~いアパートよ~。ベッドとタンスと勉強机で~、萌々奈が言うにはほぼぎゅう(ほぼぎゅうぎゅう)らしいわ~。パソコンもテレビもないけれど~、クマくんゲームできるって言うの~。……どうするの~?
「テレビ画面に比べたら小さいけど、これでふたりでできるから」
赤と青でカラフルな両端を取っちゃって~、ローテーブルの真ん中に斜めに立てかけて~。取っちゃったふたつをなにかにカチャって付けて~、かばんからまたなにかを取り出して~。
「コントローラーどっちがいい? こっちはプロコンって言うんだけど」
「プロ~? 無理よ~、私はアマチュアよ~」
「別に操作難しいとかじゃないんだけど……わかった、じゃあ僕がこっちでいいね」
カラフルなほうを私に渡してくれたわ~。軽~い、これでゲームができるのね~。
「それでどんなゲームをするの~?」
「カーピィやろう。知ってる?」
電源をつけて画面のキャラクターを指して聞くの~。ピンクで・まんまるでか~わ~い~!
「この子も見たことあるかも~。カーピィってお名前なのね~」
「今年の3月に出たやつなんだけどね、レンちゃんとやるために今さら買ったんだ」
「まぁ~、そうなの~? なんだか悪いわ~……」
「悪くないよ。で、えっと……僕も初見だから、新鮮な気持ちを共有できると思うから」
ゲームスタート~。私を1P・カーピィにしてくれて~、クマくんは2P・ワドルティ~。カーピィ、声も動きもとってもかわい~! 口を大きく開けてなんでも吸い込んじゃ~う!
「あら~、剣を持ったわ~・帽子をかぶったわ~」
「敵のなかには能力持ってる奴がいるんだ。それをコピーするのが醍醐味だよ・特色だよ」
「敵~? え~、敵なの~!? 動いてるほのぼのしたキャラクターたち、みんなが~……?」
「うん。剣でズバズバやっつけよう」
「かわいそ~う……。みんな吸い込んで吐き出してあげたいわ~」
「吸い込んで吐き出すのもやっつけたことになるんだけどね……」
かわいそうって言ったけれど・思ったけれど――剣でズバズバ楽し~~! 気持ちい~~! 次から次へ変身して~、車や自販機にもなっちゃった~。お気に入りは爆弾、ぽいぽいぽ~い。
そしてボスっていう巨大ゴリラさんと戦いに~!
「こ、こんなの勝てるの~!? あ~ん、痛~い・ひど~い!」
「硬いというかタフというか……普通に手ごわいね。これは長期戦になるよ」
新能力でアイススケートみたいに滑って逃げて~、やられちゃわないよう必死~・全力~!
何度か負けて最終的にクマくんひとりで倒しちゃった~! お役に立てずごめんなさ~い……。
熱中していてお互い気づかなかったけれど――いつの間にか肩と肩が密着していたわ~!
「ふふ……」「はは……」
少~し照れました~・離れました~……。
それからも熱中してわいわい楽しくって~。時計を見たら19時過ぎてるわ~~!
「ここらでやめよっか。ありがとう、すっごい楽しかった」
「こちらこそありがと~、楽しかったわ~。続き、またしましょうね~」
奥行きがあって広くって~・美しくって~、絵本のようなかわいらしい世界で素敵だわ~。
「この短時間で上達したね。最初は能力捨てようとしてぴょんぴょん跳んでたのに」
「ふふっ、そうだったわね~。YとAのボタンを間違えて~、長押しもよくわからなくって~」
「なにしてもなんになってもかわいいかわいい言ってたけど、どれが一番かわいかった?」
「ん~、そうね~……水の上を移動するとき~、浮き輪していたカーピィが一番かしら~」
能力がない子を吸い込んで~、お口(お顔?)いっぱいふくらんだのもとっても好きだわ~。
「それじゃあカーピィみたいにおいしいもの、食べましょ~」
まずはエプロンを付けま~す。私はパジャマの上からよ~・クマくんは学ランの上からよ~。だらしないけれど寝間着兼部屋着なの~……。ちゃんとした私服、いいかげん見せないとね~。
玄関横の狭~いキッチン前に並んで立ちました~。
「ちょっと昔を・収録を思い出すわ~」
「昔? 収録?」
「ネット番組でコーナーを持っていてね~、〝しおりんまいるどくっきんぐ〟って言ってね~」
毎週メンバーにお料理を作るの・教えるの~。こうして隣に立ってもらうとなつかしいの~。前編・後編5分ずつのミニコーナーで~、あとはジャージで体も声も張るバラエティ番組~。〝未∞知∞数の無量大数〟~。グラビアの次に観たって言われるわ~、今でも観れるみた~い。
「それはさておいて~、はじめましょ~。本当におまかせでいいの~?」
「うん。萌にはまた丸投げのクソ男って言われそうだけど……素人でわからないし任せるよ」
あ、丸投げのクソ男って思ってる……? 思ってないわ~、クソなんて言わないの~。
「けれど素人もなにもないわよ~。食べたいものを遠慮な~く言ってくれていいのよ~?」
「いやでも……一緒に作るってなると遠慮なく言いにくいというか……。ごめん……」
「謝らないで~、私のほうこそごめんなさ~い。一緒にお料理なんて七面鳥な彼女よね~……」
「七面鳥……? ああ、七面倒かな……。そんなことないよ。う、嬉しいよ」
うつむいて赤くなっちゃって~――か、かわい~~! カーピィくらいかわい~~~~! と思ったら笑ってる~~! 「七面鳥な彼女……!」ってつぶやいてる~~・噛みしめてる~~!
「なによも~ぅ! そ、そうよ~、七面鳥なところがあるの~!」
両腕ぱたぱた羽ばたいてみたらもっと笑われました~……。
「レンちゃんのそういうとこ、好きだなぁ」




