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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
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第6話「え~い!」

「うふふ、若いっていいわね~」

「……あれは幼いって言うんだよ」


 幼児から小学生まで子どもたちがはしゃぎまわってる。この寒いなか、元気に・無邪気に。保護者のお母さんも何人かいて、白い息を吐いて話し込んでる。円安で大変とか聞こえてきた。


「子どもの頃、どの遊具が好きだった?」

「ん~、ブランコ~」


 90度を超えちゃうくらいびゅんびゅん立ちこぎしたものよ~。……意外とわんぱくだね。


「座りこぎで飛んだり靴を飛ばしたり~、飛距離を競って遊んだわ~」


 あとでちょっとやりましょ~って提案してきた。いいけど……もうブランコ窮屈と思うな。

 ちびっこたちのなかを通りすぎて遊歩道へ。まっすぐ伸びる道の両脇に芝生が広がってる。冬で・平日で人っ子ひとりいなくて物寂しいけど、ここでバトミントンがやりたいんだって。


「この辺にしましょ~」


 全体の中ほどで道をそれて草に踏み入る。あどけない声もだいぶ遠ざかった。


「は~い、ラケット~」

「ありがとう」


 適度に距離をとって楽に構える。グリップも風も冷たい……。だけど顔は・心はあったかい。

 巡条さんはラケットで顔を隠し、網の向こうで頬を染めてる・ゆるめてる。


「な、なんだか照れちゃうわ~……」


 かわいい……もう嬉しそう・楽しそう。表情も心情も隠せてない。


「い、いくわよ~」

「うん」


 緊張の・紅潮の面持ちで球というか羽根を「えいっ」

 ヒュン! そそくさと拾う。


「い、いくわよ~」

「うん」


 ヒュン! そそくさと拾う。ま、まあ寒いしね……それでだよね。


「い、いくわよ~」

「う、うん」


 ヒュン! そそくさと拾う。…………。


「いくわよ~」


 ヒュン! なにくそと拾う。らしくないよ、イライラしないでよ! 僕の返事待ってよ!


「羽根を上にぽいっと投げるんじゃなくて、下にぱっと放してみよう。たぶん簡単に打てるよ」

「ほ、本当~? 下に――ぱっ」


 えいっ。やっと当たった・飛んできた! なるべく山なりに優しく打ち返す。


「ほっ」

「えいっ」

「よっ」

「えいっ」


 サーブが下手なだけでラリーはちゃんとできる。以後、ヒュンと空を切ることもなくなった。

 ……『えいっ』がいちいちかわいい。癒やされる。


「え~い!」


 スマッシュなおかわいい!

 僕たちは時間を忘れた・童心に帰った。気づいたときには辺りが暗い・あどけない声がない。


「え~~!? もう17時過ぎてるわ~~!」

「1時間もやってたんだね……体感10分だね」


 楽しいときはあっという間。スポーツ嫌いだけどバトミントンよ、おまえだけは認めよう。カップルでやるのに最適だ・最高だ! いやあの、ガチの・プロの人、怒らないでくださいね。

 あ、それからボウリングも。また行きたいな・やりたいな。


「はぁ~、とっても楽しかったわ~。ありがと~、拓真~」

「っ……う、うん……」


 ここぞってときに呼び捨て! どぎまぎして泳いだ目を巡条さんの顔に戻してみたら――


「うふふ……」


 苦笑いのような照れ笑い。お互いドキドキ・むずむず……。なんとも言えないいい気持ち。

 そんないい感じで遊歩道を引き返し、閑散とした遊具のうちブランコにそれぞれ腰かけた。


「あれ~、こんなに小さかったかしら~? 締めつけられて痛いわ~……」


 やっぱり今となっては窮屈だった。両の鎖に締めつけられるほど、大きいお尻みたいです。

 こぎだしたけどどうも昔みたいにいかないみたい。少しして止まって隣の僕を見て言った。


「飛距離競争、やめましょ~。できないわ~……」

「はは……成長したってことだよ」


 男の僕さえキツいしね、丸みを帯びる女の人はそりゃあね。なんて言ったら普通にセクハラ。

 ベンチに移動してバトミントンを振り返った。僕が一回、まぬけにこけて尻もちついたこと。レンちゃんが一回、スマッシュし損ねて頭に羽根が当たったこと。幸せな笑い話ができました。


「ふふっ、そろそろ帰りましょ~。明日はゲームね~・お料理ね~」


 駅まではまた散歩して別れた。しいて心残りを挙げるなら――つなぎたかったな、手……。


        ◎


「これ、知らない・見たことない? 任大堂の」

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