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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
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第5話「……気持ち悪」

日陰で慎ましく・たくましく生きる植物を、気にも留めず踏みにじるとどうなるか知れ動物が。あの野球とサッカーはハードル(体育)のとき、無様なわたしたちをあざ笑って不快だった。今日のこと――ぶつかったうえに本まで踏んで謝罪もない――で厭悪から憎悪へ境を超えた。

 汗くさい・イカくさい男の友情、絶ってやる。


「…………」


 まずは実名で、〝左近翔〟〝右京健〟で検索してみる。帰宅して家だ・夜だ、パソコンでだ。

 フェイヌブックでも出てくるかと俟ったけど、それらしきものはなし。画像検索もまたなし。


「…………」


 次は〝サコショー〟〝さこしょー〟で検索してみる。これは野球のあだ名で特徴的だから。

 ツイックーでも出てくるかと俟ったけど、当てが外れた。〝ー〟を〝ウ〟にしても外れた。


「…………」


 次は〝石田与尋〟〝与尋〟〝ヨヒロ〟〝よひろ〟で試す。これは左右一味のひとりで剣道。独特な・古風な(?)名前だから、情報の大海原といえどなかなか針に引っかかりやすいはず。


「…………」


 引っかかった。ツイックーのやりとりで『よひろがおまえのこと好きってよ』というのが。とはいえこの『よひろ』が石田かどうかはまだ未確定。まったく別のよひろさんかもしれない。このリプライをしている者、およびその相手のつぶやきを眺めていく。どちらもどうも動物だ。


「…………」


 わたしと同じ高校の誰かだ。学校名を明記しているツイートがあったから疑いようがない。ゆえに先の『よひろ』は石田与尋であると確定した。この動物やそのフォロワーを精査しよう。


「…………」


 石田とおぼしいアカウントを見つけた。yhr0511――おそらく与尋だ・誕生日だ。剣道についてつぶやいているうえに剣道の画像まである。赤の他人というなら奇なり・怪なり。石田を捕捉できたら左右の検挙ももはや秒読み。願わくは鍵をかけていないことをと神頼み。


「…………」


 あった・やった。右京のほうは戸締りしていて覗けないけど、左近は開けっぱなしで見放題。見てくれと言わんばかりに文章も画像も痛々しい。女子にやたらにリプライして絡んでいる。

 そのほか前田・後藤・赤崎・青山など、芋づる式に検挙できた。左右は連中とも親しいから。動物たちはこうやってネットでも馴れ合って、卒業しても末永くダラダラと懇意なんだろう。


「……気持ち悪」


        ◎


「よ、横浜・神戸の人って~、出身を聞かれて神奈川・兵庫って答えないわよね~」


 どんな話題ですか・ひきだしですか!? 確かにそんな気します! 県を言え思います!

 萌にヤれヤれ言われた翌々日、水曜・放課後。今日は散歩からのバトミントンを実行する。明日は一緒に料理・ゲームする。残る僕の1位キャンプは休日(今週末の土曜)にでも。


「…………」「…………」


 制服の男女が並んで・はにかんで歩く――傍目にはカップルと・青春と映っていると思う。きまりの悪さ・気分の良さが半々ある。だが路傍の人よ、わかるまい・信じられまい――

 僕の彼女は24歳だ!


「あっ、昨日アルバイトでね~、りかちゃんに再会したの~・接客したの~」


 巡条さんは居酒屋で働いてる。その給料でひとり暮らしの生活費をお父さんと折半してる。お母さんとは芸能活動を巡って諍いが絶えず、ついには勘当されてそれで家を出たんだとか。

 他人が口も緩衝材も挟めないけど――いつか溝も傷もなくなったらなって願ってやまない。あの黒川を友達にできたサンカレンさまなんだから、お母さんとだってきっと復縁できるよ。


「りかちゃん?」

「りかちゅぴちゃ~ん」


 りかちゅぴとは人気沸騰中のギャル系モデル。なんと巡条さんのモデル時代の後輩らしい。


「私なんて忘れてると思ったのにね~、『巡さん!?』って気づいたの~・喜んでくれたの~」

「え、すごいね・よかったね。……『巡さん』ってしぶいね」

「そう~? ふふっ、それでね~、ちょっと楽しくお話して~、ルイン交換しちゃったの~」

「…………。それ、萌にも誰にも言わないほうがいいよ」


 昨日りかちゅぴが来たって話自体、言わないほうがいいよ。


「は~い、もちろん言いませ~ん。秘守義務で~す」

「……逆だよ、守秘だよ」


 僕に言っちゃったよ……。まあ家族とか恋人とか、親しい人はセーフかな?

 恋人――か。


「…………」「…………」


 話が終わってまただんまり。息も二の句もつげなくなる。恋人だと意識して緊張して……。そもそも恋人になる前から、気まずくはないけど変な間ができてしまう。この間が困る・焦る。レンちゃんもたぶん同様で、それで無理に話題を・ひきだしを。……沈黙は別に悪くないのに。

 かえってチャンスなのに。


「…………」


 目線を斜め下に手をつなごうと勇気が――出ない! さっきも無言のチャンスに出なかった。

 真の3位は手をつなぐこと。そんなことかと思うなかれ、つなぎたいんだ! ぎゅ~って! 手をつなぐことでカップルとして心がつながりだすんだ! いや、ただ普通に触れたいんだ!

 結局手はつなげず・話は続かず――公園に着いた。

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